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61 キラキラ登場

閲覧ありがとうございます

勢いでここに来てしまったが、少し冷静になり父達が心配するかもしれない事に思い当たった。


しかしこの世界には電話のような物がないので、エーデル侯爵にお願いして父に状況説明の伝達魔法をお願いした。


指先に浮かんだ玉に、伝言を記録させて相手まで飛ばす。


魔法があるから文明の発達が遅れているけど、伝言を載せた光の玉が飛んでいく様子はとても神秘的で、これはこれでありかなと思ってしまう。


けど帰ってきた伝言玉からは神秘的とは程遠く、

「だ、大丈夫なのか?石が光っていたが、ザイナスがいるから危険は回避できたのかな?しかしどうやって、ルキアーナが?と、とに、無事に帰ってくるんだよ?ザイナ…」

パニックになった父のメッセージが届き気が重くなった。


誰にも言わず勝手にこんな所に来てしまい、今更勝手な事して申し訳なくなった。


団長様に注意された事が、今になって胸に刺さる。


本当ルキアーナちゃんは、危険な場所に行っていい子ではなかった。

お城や家にしっかり守られているべき子なんだと実感する。


回避はしてあげたいが、この国の王妃になる可能性のある子なのだから。

帰ったら父とオリビアさんにしっかり謝ろう。


そう心に決めて、私はルンバール医師とカリミナさんの助手兼食事係助手を頑張った。


そしてこの3日間カリミナさんは治癒魔法を使いまくった。


なんせこのインフルエンザもどきは対症療法を施しても騎士が高熱で痙攣を起こすくらい凶悪だった為、脳炎の心配もあり、自然治癒を待っていられないと判断されたからだ。


これほっといて、ここに閉じ込められたままになってたら、本当にみんな死んでいたかもしれない。

そう思うとやっぱり毒クラゲともっさり王子は許せんと思う。


もっと内部を調べてから隔離したら良かったと思う。

そもそも風邪なんだから。


まあ、屈強な騎士がバタバタ倒れていって、援護しに来た騎士も倒れたら、何が起こっているのか分からず魔獣も相まって危険意識は高まるよね。


周りを守ろうとするのもわかるけどね。

こっちの風邪がどんな物かあまり知らないけど、蔓延速度が早過ぎたらまた呪いとかって騒ぎになるのかも。


そんな事を考えながら、皆で昼食を外でとりながら、後2日ほどで全員復活出来そうな兆しに喜んでいると、エーデル侯爵と団長さんが上を見た。


「「殿下の結界が消えましたね。」」


⁇ そうなの?


上空の感じが全く変わらないからよくわからない。


「殿下のおかげで、結界内の魔物が行き場を無くして、討伐対象でない魔物までやってきたので難儀していたのですが、これで分散されるので助かりました。」

団長さんがシチューもどきを食べながら苦笑いする。


「ああ、あのお腹が痛くなるやつ。魔物もお腹が痛くなるのですね? 魔物も痛いの嫌だったか〜。」


私がエーデル侯爵に食事を渡しながら言うと、団長さんはスプーンを振った。


「いえいえ、こういう場合の結界は触れたら気絶するんですよ。魔獣がいる中での気絶は勘弁です。」


…………気絶だったり腹痛だったり。

何故、気絶?

もっさり王子のチョイスが意味わからん。


あれか? 絶対通さない的な?


ただの結界でいいはずなのに、もっさり王子が結界張ると呪いがかかるのがエグい。


「無理矢理突破する者の排除でしょうね。恥ずかしながら私や団長様が倒れてしまいましたので、こちら側の統率が取れないと判断なされたのでしょう。」

エーデル侯爵が優雅に食べながら言う。


やっぱりそうか、だとしてもだよ、もっさり王子め〜みんなを閉じ込めるなんて!

というかその命令を出した毒クラゲ共々、お説教だわ!


手尺を握る手に力を込めると、上空から風が舞った。


雪山の風は冷たく、皆の髪をはためかせた。


上空を見上げるとキラリと輝く物体が飛んでいた。

「何? 鳥?」

眩しくて顔に手をかざす。


カチャ、カチャ、ザザザザザザっ。

周りのみんなが一斉に片膝を付いて頭を下げた。


「え?」


急な行動に驚いていると、上空から鳥が消えて人影が降りて来た。


綺麗に着地した人物に誰かすぐ分かった。


毒クラゲ!


急な登場に驚くと共に、周りのこの行動に納得もした。


この場に似つかわしくないほど、キラキラした服装にげんなりする。

暖かそうなマントにキラキラ刺繍が全体に施してある。


1人だけ立ち尽くす私に怪訝そうな顔をしてネクス殿下は見た。

「お前は誰だ?」

初めて聞く冷たく低い声。


あ、この恰好だからわからないのか。


一応医務服の端をつまんでカーテシーをする。

「ルキアーナです。」

「は?」

本気驚いたようで、間抜けなくらい殿下の目が丸くなった。


そして怒り出した。

「お、お前は、どういう格好をしているのだ⁈ 仮にも公爵令嬢であろう?」

「は?」

今度はこっちがイラッとする。


「仕方ないでしょう、このような場所でドレスを着ている方がおかしいでしょうよ!ドレスなんて着ていたら何もできないわ!」

グワっと怒ると周りで頭を下げている人たちが騒ついた。


一瞬殿下が怯んだが、

「その、なんで顔を隠している! 不審だろう!」

私の顔を指さしてくる。


バカなのか?

突然来て喧嘩を売ってるのか?

このままでは殿下も感染する。


「チッ。」

舌打ちすると、さらに怒ってわーわー言ってるが無視。


私は近くの消毒薬を取って手にかけると、そのビンを持ったままネクス殿下に近寄った。


私が寄っていくと、顔が見えたのか、

「その瞳、本当にルキアーナ嬢だな。なんなのだ、お前は!」

上体を逸らしながら一歩下がった。


私はガシッと片腕を掴むと引っ張って歩き出した。

「危険ですので、ついて来てください!」

「触るな!不敬だぞ? 何処へ行く⁈」


抵抗する殿下を見上げた。

「この地は病が流行っています。殿下もうつりたくなかったら、早く来てください!」

私の言葉に殿下はグッと口を紡ぐと素直に歩き出した。


「皆さまは食事を続けてください。エネルギーは大事ですので!」

私の言葉に頷くエーデル侯爵達を見て満足すると、私は殿下を大きいテントへ連れて行ったのだった。


  


閲覧してもらえて嬉しいです


キロネックス殿下はマントまでキラキラ


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