表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/137

49 毒花で開花

閲覧してもらえて嬉しいです。

冬になってきた。

こちらの世界にも四季のようなものがあるんだな〜。


空も真っ青ではなくブルーグレーで吐く息がうっすら白い。


季節は移っても、記憶喪失持続って事で学園にはまだ通えてない。


ルキアーナちゃんには申し訳ないけど、日々王宮教養で学ぶのは私的には楽しい。


地理だってね覚えて、こっちの世界にも海の街があったり、宝石産業の盛んな鉱山地帯があったり、避暑地があったり、行ってみたいなと思う場所も出てきた。初めての地理から始まった勉強もバッチリよ。


言葉は書くのもズルで日本語が見えるから、どんな語学でも読めるし覚えるのも早い。


マナーはまあ、頑張るけど、なかなか面倒くさくて面白くはないまま。


やっぱり1番面白いのはなんといっても魔法学。

ルキアーナちゃんは興味なかったかもしれないけど、私は何を聞いても楽しい。

今は私を通じて少しでも面白いって感じが伝わってればなと思う。


だってね魔法って、ただ手から何かが出るだけでなく、薬1つとっても魔法を合わせると効能が倍増したり、性質が変わったり。意味不明な効果を発揮する。


習い始めた魔法陣は精密に描く事がとても大切らしく、精密に書いていかないと発動しない。

今は1番簡単と言われてる置くと物が揺れる(いつ使うかわからない)魔法陣を何度も紙に描いている。

殿下方は横で意味がわからないくらい複雑な魔法陣を描いている。

隣の毒クラゲにはよく笑われるが、この簡単な魔法陣を描いているだけで楽しいから、いつも無視している。


魔力は手からじんわり出す事を実践している。

もっさり王子は大出力を段階に応じて出せるように制限する練習。

この間も気を抜いたら練習場の壁をぶち抜いて森に滑走路みたいな道を作っていた。

油断してたらびっくりして心臓が止まりそうになる。


私はとにかく魔力が重いから、少し出すだけでもすごく力がいって顔が真っ赤になる。

いつか頭の血管が切れるのではと本気心配になる。

ようやく出した魔力量は味噌っカス。なかなかに難しい。


そんな私達を見て大笑いする毒……ネクス殿下がマジでムカつく。

器用にして見せて優越感たっぷりに見下ろしてくるのだ。

いつか見てろよと思う。


まあ、なんだかんだ3人でわちゃわちゃ過ごすのも慣れてきて、今日も魔法学を楽しみに1人で王宮をウキウキ歩いていたら突然足が出てきた。


柱の影から足、が出てきたのだ!

赤いハイヒール!

バッチリ靴まで見えてるのに未だ筋力が足らず、避けきれず引っかかった。


「うわっ⁈」

教科書を前にぶち撒け、膝と手のひらを強打する。


「いったーいいっ……。」

あまりの痛さにうっすら涙が滲む。


「まあ、大丈夫ですか?足がもつれたようですが。お怪我はありませんか?」

甘ったるい声が降ってくる。


いや、明らかに足引っ掛けたよね。


ムカっとして見上げると、ふわふわのケープを纏った少し顔の丸い女性が楽しそうな顔をして立っていた。


全然心配してないじゃん! 顔とセリフが合ってないよ!


そう思って見たその顔には覚えがあった。

「……あ。」


確か開かずの間の人の横にいた男爵の………忘れた。

顔は覚えてる、毒花名だった事だけ覚えてる。


「思い出していただけました?」

丸顔女子がにんまり笑う。


「いえ、顔はわかるのですが、名を………忘れました。」

素直に答えると、丸顔女子は怖い顔をして、赤いハイヒールの先端で私の左手を踏んできた。


「サーフラン・コルヒチンですわ!」

「痛い痛い、痛い………痛いって!」

手を必死に左右に振って引き抜いて、しゃがみ込む。


「ふーふー。」

めっちゃくちゃ痛かった。


そんな私にサーフランさんは顔を近づけて囁いた。

「私の便利なお友達がいなくなって不便になってしまったわ。だーれにも開けれないようなお部屋に閉じ込めてしまうなんて、怖い事しますわよね。」


「私じゃないわ。私に閉じ込めるなんて無理だもの。しかも監禁されそうになったのは私です!」

反論すると、顔に扇子の風を当てられた、空気が冷たいから寒い。


「監禁だなんて、聞けばルキアーナ様のドレスを好意で直してあげようとしただけと伺いましたよ?その言い方はあんまりかと。」

確かにそう言われて案内された。


うぐぐっと言葉に詰まると、サーフランさんは目を細めた。

「貴方に殿下方の相手は無理よ。年が離れすぎてるの。殿下にはもっと吊り合いの取れた方がいるの、貴方は小さいのだから王宮から離れて領地でお勉強なさい。」


結局そこか。殿下に相応しくないのよ、私のが相応しいのよってか?


「サーフラン様はどちらの殿下が好きなのですか?」

ため息混じりに私が聞くと、一気に顔を真っ赤にして慌て出した。


「あ、あ、貴方!そ、そのような事、公衆のめめめ、面前で、き、聞くものはないわ!」


「そんなに慌てなくても聞いただけじゃないですか。で、どちらが好きなのですか?」


「そ、そ、それは、もちろん第一おう、おう、王子でん、でん、殿下ですわ。でも、わ、私には恐れ多いですわ。」


おうおう、でんでん、聞き取りにくいが、毒クラゲの方か。

嘔吐・下痢のサフランと一瞬で死ねるキロネックスクラゲ、サフランのがパンチが甘いがまあまあいいんじゃないか?


「いいんじゃないですか、似合いそうですよ?」


ケロッと私が言うと、更にサーフランさんは頭に血を上らせて、

「わ、わ、私の爵位が低いのを馬鹿にして! 年上を揶揄うものではなくってよ!非常識な!」

叫ぶと足早に去っていった。


「馬鹿にも揶揄ってもないけどね、誰かに殿下方を渡したいのは本音だし。それに非常識はあっちの方よね、普通人を転かせたり、手を踏んだりしない。」

ふうっと独り言をこぼす。


もう床の冷たさで膝の痛みはよくわからなくなっていた。


手の甲は赤くなっていて、少し擦りむけていてヒリヒリする。

右の手で優しくさする。


医務室で塗り薬もらって行こうかな。


…………そう思ったけど、この間の神殿での治癒師を思い出した。

こう手のひらを近づけて、手から光線出してたね。

見よう見真似でその格好をしてみる。


どうせ魔力を手のひらに集めて出しているんだろうから、

「ふんっ‼︎」

力を込めてジワ〜っと集めて魔力を出してみる。


重い重すぎる………チョロチョロ出だした気がする。

これがキラキラ〜ってビーム…が………え?……え。


目が丸くなった。

目の前の手から僅かに舞い降りる金の粉、本気光ってる何かがパラパラ出ていた。


驚いて力が抜けて魔力の移動が止まると消えてしまった。


幻?目を擦って手のひらを見る。

ただのルキアーナちゃんの小さな手。


でも、反対の手の甲にあった小さな傷は無くなっていた。


グッと眉間に皺を寄せる。

私は、治癒属性…………みたいだ。突然知ってしまった。


もう一度やってみよう!

膝が打ち身になっているはず!


私は座ったまま膝を立てると、ドレスをたくし上げていった。


「お、お、お、お前はこんな所で何をしているんだ⁈ 馬鹿なのか?」

頭上から毒クラゲの声がして、手首を掴まれた。


は?

邪魔するなっていう思いを込めて見上げると、顔をこれでもかと真っ赤にしたネクス殿下の顔があった。


「は?」

意味がわからず首を傾げると、殿下はグイッとドレスの裾を下げて怒った。

「お前は痴女か?こんな所で女が足を晒すものではない!」


お、現代ではなかった、膝くらいと思うが足出し禁止の世界だった。


検証に夢中になって周りが見えてなかった。

場所が悪かったな、自分の部屋ですべきだった。


「申し訳ございません。」

私が謝ると、

「転んだのか?ドレスも汚れている。」

殿下が眉を寄せた。


正確には転かされたのだが、どうでもいい。

「はい、転びました。なので怪我の確認をしようとして。」


そこまで言うと、体が浮いた。

「は?」

見ると殿下のキラキラ顔が近く、抱きかかえられていた。


「えー!」

「耳元で大きな声を出すな!」

驚いて出た声に、厳しい顔で怒られた。


だってびっくりしたんだもん。

頬を膨らましてそっぽを向いた。


そしてそのまま医務室に連れて行かれ、殿下が私を抱っこして急に行くから医務室が大慌てとなり、ものすごく厳重に手当されたのだった。








閲覧ありがとうございます。


千笑は治癒属性、属性分かって良かったね。


面白ければ、ブックマークや評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ