39 生徒が増えた
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開かずの間が開いてから、悪事を働いた令嬢の事件が解決するまで2週間経った。
詳細はわからない、教えてもらえなかった。
良い事にはならなかっただろう事は想像できる。
だって王様はルキアーナちゃん大好きだもの。そのルキアーナちゃんを害そうとしたんだから仕方ないよね。
「あ〜、やっと外に出れる。」
大きく伸びをして、城を見上げた。
今日からまたお勉強の開始だわ。
気合いを入れて意気揚々と講義室に向かった。
♢♢
入ってすぐ固まった。
何故なら目の前に第一王子が立っていたから。
ヒクッ………頬が引き攣る。
「やあ、ルキアーナ嬢、おはよう。今日から私も師団長の魔法学に参加させてもらう。」
いつものキラチカ衣装にキラキラ笑顔の王子。
何でここに。
「おはようございます。あの、第一王子で」
「キロネックス。」
ヒクッ。
「でん」
「キロネックス。」
顔が引き攣る。
コイツ………呼びたくないんだよ。今まで第一王子とか毒クラゲ王子としか呼んでこなかったから。
キロネックスって呼びにくいんだよ。そのまま呼ぶのも癪だ。
キロ殿下……キロが手って意味だったと思うから、手殿下…………微妙。
ネックス殿下……ネックスは確か殺人って意味だったと思うから、殺人殿下…………流石に気の毒か。
他にネックス………確かネクストが次へとかって意味よね。
次代っぽい…………けどちょっと人として足りないから文字消すか。
よし、王子はネクス、上等だ。
勝手に愛称をつけ、愛称を強調して話しかける。
「キロ…ネクス殿下はもう魔法学の受講終了していますよね?政務はよろしいのですか?」
満足そうにネクス殿下は頷くと。
「政務は問題ないよう調節した。それに私は院で魔法の研究をしているから、基本に戻って学び直してもいいかと思ってね。」
めっちゃルキアーナちゃんの監視をするぞっていう雰囲気が出てるんですけど?
普通に政務しといたらいいと思う。
「うふふふ、そうでしたか。勤勉でいらっしゃるのですね。」
苦笑いの中、私は自分の席につく事にした。
すると隣にネクス殿下も座った。
コイツ、近いよ……。
離れてくれないかな〜と考えていると、いつものように後ろが揺らいだ。
そういえばこの兄弟が揃うのを見るのは初めてかも。
そう思った瞬間、
「兄上!」
べちゃっ。
第二王子の弾んだ声と共に後頭部に何かがくっついた。
えっ⁈
頭を振るが取れない。
振った拍子に見えたネクス殿下がこっちを見て目をまん丸くしていた。
な、何がくっついたの?
怖くて触れもせず、立ち上がる事もできずにいると、
「あ、兄上も一緒に受講ですか?」
今日も安定の真っ黒なもっさり王子が胸の前に拳を握って、めっちゃ殿下に近寄った。
しかも珍しく興奮した様子。
え、何、お兄ちゃん大好きなの?
すごく懐いている感じのもっさり王子にびっくりする。
でもネクス殿下は私の頭を見たまま固まっている。
そして私と視線が合うと、ハッとしたように弟の方を見た。
「お前の神獣とルキアーナ嬢はどうなっている?」
「あ、これモップ様?」
手を上に伸ばし触れるとモフッとした。
あ、この感じ、可愛い。顔がへにゃりとゆるむ。
感触を堪能し始めると、
「わからないのです。モップがルキアーナ嬢の魔力を気に入ったようで食すのです。それで今日も来ないようにしたのに付いてきて。」
もっさり王子が困惑気味に説明する。
お兄ちゃんには普通に会話できるのがすごい。
怯えずスムーズに喋る王子を初めて見た。
「は?使役している者以外の魔力を食すのか?そんな事あるはずないだろう。」
ネクス殿下はびっくりしすぎて目を見開いてる。
「そのはずなんですけど、この間僕が魔力暴走を起こしてしまい魔力枯渇を起こしかけて、モップに魔力が与えれなかった時がありまして。その時にルキアーナ嬢に接触して保護結界を解呪してもらい、そのままルキアーナ嬢の魔力を食したようです。他の者では僕の結界に触れたら腹痛を起こす上に誰も触れれませんから。」
少しバツが悪いのか、肩をすくめて申し訳なさそうに説明した。
ああ、そういう事?お腹空いてたの。
頭の上のモップ様をなでなでする。
「いや、それでも食しはしないだろう?そんな事あるのか?本当にルキアーナ嬢、君はなんなのだ!」
急にそう言われても困る。
三者三様困惑していると、エーデル侯爵が入ってきた。
「これはまた、どういう集まり具合なのですか?」
確かに、1番前で隣同士に座る私と殿下の間にもっさり王子が立ち、私の頭にはモップ様。
狭いエリアに密度高い。
「今日から私も師団長の講義に参加する事にしたのだが………。」
横目で私を見ながらネクス殿下がエーデル侯爵に言う。
「それは光栄ですね。よろしくお願い致します。」
エーデル侯爵が一瞬私を見て、殿下に頭を下げる。
そして急にハッとしたもっさり王子は私から離れ、殿下の隣に座った。
えー…………みんなしてなんなの? それにもっさり王子よ、今まであんなに離れて座っていたのに、お兄ちゃんの隣はいいんだ。
お兄ちゃん大好きじゃん。
「それでルキアーナ様お久しぶりですが、何故モップ様を頭の上に?」
エーデル侯爵が目の前に来て首を傾げる。
「また保護結界を解きましたね。」
やっぱり?そうかなとは思ってたのよね。
またもっさり王子が動いてモップ様を掴んだ。
けどモップ様の爪が私の編み込んだ髪に入り込んでいたので、
「いたたたたた!」
私が痛がると、もっさり王子はパッと手を離し、自身も飛び退いた。
「……………も…いい、……その………ま…ま。」
そう言うとまたお兄ちゃんの隣に座った。
「師団長、使役獣は使役した者以外の魔力を食べる事があるのか?」
一連を見て驚きを隠せないネクス殿下が困惑気味に聞いた。
「まずありません。使役とは魔力を与える代わりに力を貸すという関係で成り立つものです。」
「私もそう学んだ。」
ネクス殿下がこっちを見る。
「魔力を確かに食べているな。」
「え、今食べているんですか?」
私がそう言うと、殿下は更に眉を顰めた。
「魔力を吸われているのにわからないのか?」
考えてみたけど、全然わからない。
「はい、わかりません。」
当然だと胸を張って答えると、殿下はますます眉間の皺を深くした。
「どういう事なんだ。いつもこんなにルキアーナ嬢は不可解なのか?」
困惑するネクス殿下が面白かったのか、エーデル侯爵が笑う。
「そんな風に戸惑っている殿下を久しぶりに見ました。そうしていると年相応に幼く見えますね。」
そんな言葉に嫌そうな顔をしたネクス殿下は確かにいつもより幼く見えた。
そして久々の講義は、楽しそうに笑うエーデル侯爵に困惑気味の第一王子、お兄ちゃん大好きオーラの第二王子、そしてモップ様を頭に乗せた私の不思議な状況で始まったのだった。
閲覧ありがとうございます。
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