28 私の魔力は重い
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嬉しいです。
ドアを開けると、先客がいた。
白衣にピンクの短髪。
「ルンバール先生! おはようございます。」
声をかけると、先生が振り返った。
「ああ、良かった。ここで合ってたのですね。誰もいなかったので、場所を間違えたかと思いました。」
あからさまにホッとしてる。
「すみません。少し知り合いとお話をしていました。先生は今日はどうしてこちらに?」
私が首を傾げると、答えは後ろから返ってきた。
「前に言っていた魔力を感じる実践の為に、私がお願いして来ていただきました。」
振り返ると、今日も麗しのエーデル侯爵が入り口に立っていた。
よし、今日は実践!魔法ロープ無しだ!
心の中でガッツポーズしていると、
「本当、魔導師団長様に声をかけてもらい恐縮です。それに殿下とルキアーナ様に魔力を流すと言う責任重大な。」
焦りと興奮気味にルンバール医師が答える。
「では、ルンバール医師は治癒属性なのですね。よろしくお願いします。」
膝を折ってお願いする。
「やめて下さい、ルキアーナ様。ニキービ薬の事もありますし、私で力になれる事があるなら、喜んで協力致しますよ。」
手を顔の前で振って、恐縮気味だ。
ふふふ、いい先生。
そう微笑んだ時、部屋の後方が歪んだ気がした。
来たか。
見るとやっぱり音もなく第二王子が現れていた。今日も真っ黒。
私が後ろを見たので、ルンバール医師も向いてびっくりしている。
口パクパクなるよね〜私は慣れてきた。
なんか王子にめっちゃ見られてる気がする。
もっさり髪で目は見えないけど。
振り向いたから気に入らなかった?
フイッと視線を逸らす。
「殿下おはようございます。本日は魔力を感じてもらうために、ルンバール医師に来ていただきました。ルンバール医師であれば殿下も診察等で関わり合いがあり、安心かと思いまして。」
エーデル侯爵がもっさり王子に話かける。
ソワソワ…ソワソワ……ソワソワ…………。コクン。
ははは、なかなか慣れてくれないのね。
「さあ、殿下の許可も降りましたし、早速魔力を感じていきましょう。」
エーデル侯爵が私とルンバール医師の間に来る。
「私が治癒属性を持っていれば、もう一度魔力を流して差し上げたかった。」
うっそり微笑むから、先生がビクッとなってる。
私は無理!力いっぱい首を横に振る。
「残念です。」
そんな顔されても無理よ、めっちゃ気持ち悪かったから!
「では、ルンバール先生、ルキアーナ様に魔力を流してみてください。ルキアーナ様は感じた感覚をしっかり覚えて下さい。」
先生は頷いて、
「ではルキアーナ様お手を失礼します。」
と言って私の両手を取った。
思ったより大きな手に少し驚いた。同い年くらいの男性に手を握られたのは久しぶりだったから恥ずかしくなる。
いや、ルキアーナちゃんにとっては年上でも、中身私。やばい顔が赤くなりそう。
そんな私にお構いなしに、ルンバール医師が集中する。
「いきます。」
その瞬間、繋いだ手から温かい何かがゆーっくり流れてきた。
「あたたかい…。」
「そうです、それです。それが魔力です。」
エーデル侯爵が勢いよく肯定してくる。
「全身にその温かさがないか探ってみてください。」
全身の温かさ。そういえば、体の所々温かいような?
目の前のルンバール医師を見ると、すごく眉間に皺が寄っていた。
「先生、辛いですか? やめていいですよ。」
そう私が言うと、先生が目を開けた。
「なんと言うか、ルキアーナ様はすごく魔力が詰まっている感じで、流すのに物凄く押して入れないと魔力が流れていかないのです。すごく重い。ゆっくりしか流せず申し訳ありません。」
そして手を離した。
重いとな。
離しても点在して温かい。これが魔力かな? すごく所々だ。
これを体中に動かす………。
何処に力入れるの? 全くわからない。
私が頭にいっぱいクエスチョンマーク飛ばしている中。
「そうなのです!ルキアーナ様の魔力はとても濃いのです。は〜素晴らしいですよね。堪能できて羨ましい。」
とエーデル侯爵が自身の体を抱きしめながら宣った。
ルンバール医師は苦笑いだ。
「ルキアーナ様、体内に感じる魔力をサーッと通してスーッと循環させてみてください!」
出た!エーデル侯爵の擬音説明。
サーとスーの違いなんだろう?
分かるわけ無いだろうと半目になっていると、
「ルキアーナ様、今温かく感じている魔力を体の中心から手足に向けて、また手足に感じる魔力を中心に戻すイメージをして行ったり来たりさせて下さい。」
ルンバール医師が身振り手振りで説明してくれた。
行ったり……来たり………。
「重いらしいから、しっかり押したり引いたりする感じですか?力がいりますか?」
「そうです。かなり力を入れて押します。」
しっかり力を入れて、押したり………‥引いたり…………じわっ。
あ……………、なんか分かった気がした。
すごく力がいって、ゆっくりしか動かせないが確かに温かい何かが移動してる感覚がある。
すごいっ私分かったよ!と目をキラキラさせて顔を王子に向けると、姿が消えていた。
……………逃げたな。
なんかこの喜びを分かち合いたかったのに、目が座る。
そして、王子が消えている事に気付いたエーデル侯爵が慌てて転移していったのだった。
閲覧していただき、ありがとうございました。
もっさり王子の逃げ足早い……。
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