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27 あっという間に世紀の大発見

閲覧ありがとうございます。

嬉しいです。

「ありがとうございます。」


そう言って私の手を両手で握ってブンブン振るのは、ニキビがすっかり治ったポスターさん。


あれから医局長とルンバール医師の頑張りがすごかった。


ポスターさんをすぐ見つけて、医務室に連れ込み、王宮解呪師を側に置いて処置や実験の嵐。

治療の効果を認めると、王宮勤務者で呪いがという人を片っ端から集めて検証。


そしてキハダ樹皮からニキビ薬まで作ってしまった。ルンバール医師は魔法薬作りが大得意らしく、アクネ菌やマラセチア菌に有効そうな効能を説明したら、現代と遜色ないニキビクリームが出来上がった。


更にニキビ呪いの一件で解呪を請け負っていた解呪師が詐欺で一斉に捕まった。

中には解呪なんて全く出来ないのに、解呪師を名乗っていた人までいたそうだ。詐欺だ、詐欺。


解呪に来た人に適当な呪文を唱えたり、呪符を販売したりしていた。でも相手がニキビなもんで効果あったように、ほっといても3日ほどで治る。再々ニキビ出る人には呪いが根深いとか言って、更にボッタくる。


呪い(ニキビ)の払い方とかってマニュアルもあったらしい。


全くただのニキビによくそこまで浸透して騙されてたなって思う。


この呪い(ニキビ)になったら失格者の印を押されたように、役立たず、能無しというレッテルを貼られ、どんなに優秀な人でも傷持ちのような扱いを受けてきたらしい。


馬鹿馬鹿しい、ただのニキビ。誰でもできるわ。


医局長は研究結果論文を作成し学会で発表、その際ニキビの赤い発疹がキービという実に似ている事から皮膚肉にできるキービという例えで「二キービ」という名を浸透させた。


プッ前と同じ様な名前が付いてる。

しかもニキービ、なんか笑える。


そして今、呪いと忌み嫌われいたのが実は病で治療可能と分かり、しかも若者は思春期特有によくニキービができるものという事が世間で急激に浸透していった。


治すのも洗顔と塗り薬で安価。差別される人が居なくなった。


そうなってくると発案者のルキアーナちゃん凄い説が急浮上、次期王太子妃安泰と期待値がマックスになってしまった。


王太子妃辞めさせたいのですが…………。

嘆くは私ばかり。


両親をはじめ、王宮医師団、王様と盛大に喜ばれているのだった。


  ♢♢


王宮教養受講の為、王城内を歩けばすれ違う人が尊敬の眼差しで見てくる。


12才の女の子に向ける眼差しじゃないよ。

「は〜。」

思わず長いため息をつく。


「これは申し訳ありません。お手に触れるなど、無礼な事を!興奮したとはいえ、大変申し訳ございませんでした。」


私のため息に、ポスターさんが我に返ったとばかりに顔を青くして平伏す。


ああ、回想してた、ポスターさんに捕まったんだった。


「いえ、大丈夫ですよ。」

慌てて笑顔を作る。


そんな私を見て、ポスターさんは眉を下げた。

「本当に感謝しているんです。治すこともなかなか出来ず、レッテルばかり貼られ肩身の狭い思いはしてきましたから。ルキアーナ様には助けられました。」


ただのニキビと思うが、この人にとっては大変な事だったんだろう。


何はともあれ、私で役に立てたのなら良かった。


「悩みも減って、治って良かったですね。」

心からそう思うと笑顔になる。


そんな私の顔を見て、

「貴方様という方は………。」

ポスターさんも笑顔になった。


  ♢♢


そんな和やかな雰囲気を崩す声、

「んまー、まだ貴方いらしたの?お父様にわたくしの気分を害したのだから辞めさせてとお願いしたのに!」


ギョッとして声の方を2人で見る。


また、こりゃすごい出立ちだな。

立っていたのは真っ赤なスパンコールのドレスに黒レースと黒薔薇コサージュを付け金髪ファサッと靡かせたキツそうな美人さん。


あら、この人この間ポスターさんを威嚇してた人?


ちらっとポスターさんを見ると、苦笑いで頭をかいていた。


やっぱり、あの人なのね。

「あの、辞める必要性は無いと思います。ニキービは呪いではなかったのですから。」


思わずそう言うと、女性はバッと扇子を開いて口元に当てて目を細めた。


怖っ…。

そして上から下までしっかり見られる。


「貴方礼儀がなってないわ。身分が上の者に話かける事はマナー違反よ。学んでこなかったの?目上の者の話に子供が入ってくるものではないわ。」

「あ、あのこの方…。」

「貴方も同様よ。私に意見をするの?」


私を庇うように出たポスターさんの言葉を遮る。目線だけでポスターさんが萎縮する。


私の方が絶対目上だし。実年齢25歳!

誰かわからないけど、ルキアーナちゃんより身分が上の人?


首を傾げてしまう。


「貴方どなた?ご両親にマナーについて助言して差し上げますわ。」

そう詰め寄った時、

「おや、ベラドンナ様ではないですか。今日はどうされましたか?」


この声。

振り向かなくてもわかる。


間違いなくキラッキラだろうと思われる人物の靴音が近づいてくる。


ポスターさんはすでに手を胸に置き、腰を折っている。


ああ、久々に会った。

しかもこの人にあの人、この空間濃いすぎる。


私が振り向くのを拒絶していると、ベラドンナさん?が猫撫で声を上げた。

「まあ〜殿下、このベラドンナ・アルカロイドがご挨拶申し上げます。本日も麗しく、お会いできるとはなんと素晴らしい日でしょう。」


2オクターブくらい声が高い。


声が違いすぎてギョッとして、驚いて思わず彼女の方を振り向いてしまった。


ベラドンナさんはカーテシーをして頭を下げたままで、毒クラゲ王子の視線は私に向いていることに気付いてない。


今日も青、黄色、シルバーとキラキラ………眩しい。


コツコツ歩いて近寄ってくる。

「ここで何を?」

「受講に向かう途中です。」

挨拶もせず、そっけなく答える。


そんな私の態度を楽しそうに笑い、今度はベラドンナさんに声をかける。

「頭を上げて。アルカロイド侯爵の付き添いかな。侯爵は先程議会が終わられて、帰宅する旨を言われておられた。ベラドンナ様も向かわれた方がよろしいかと。」


「ま、まあ、そうでしたの。それではそう致しますわ。」

片手を赤い頬に当てて、体をくねくね。


このキラキラにやられているのか? よく見てみ、王子の目全く笑ってないぞ。


「お送り致しましょう。」

王子が白手袋の手を差し出すと、ベラドンナさんは顔を真っ赤にして震える手を乗せた。

「よ、よろしく、お願い致します〜。」


そしてキラキラ、チカチカな2人が並んで進んで行った。


演歌歌手とアイドル……。


殿下チラッとこちらに含み顔を見せるのやめて下さい。

………何を考えているんだろう。怖いじゃないか。


「よろしかったのですか?」

控えめにポスターさんが顔を上げた。


それは婚約者候補の事を言ってるんだろうな。

「全然大丈夫です。」

ニッコリ笑う。


そんな私を見て、ポスターさんは優しい顔をして

「何か助けがいるような時はいつでもおっしゃって下さい。私に出来ることはお手伝いさせてもらいます。本当にありがとうございました。」

とお礼を言って去って行った。


ポスターさんいい人。

反対に、は〜、あの含み顔、嫌な予感しかしない。


がっくりしながら、講義室に向かったのだった。







閲覧していただき、ありがとうございました。


毒クラゲ王子、今度は何を考えているんだろう。


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