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18 王様との謁見

閲覧ありがとうございます。

昨日も見上げたけど、今日もお城を見上げると思ってなかった。


しかも王様に会う為に………。


父のエスコートで馬車から降りてから、ドーンと構える城を呆然と眺めながら立ち尽くす。


今日も大きい………。


父は城の職員のような人と話をしている。


昨日は毒クラゲ王子とお茶をし、その後もっさり王子に遭遇し、今日は母への執着が強い王様と会うのか。


あの個性的王子達の親。

…………絶対変わってる気がする。


思わずため息をついてしまう。


王様が私の行動に甘いのなら、父が王様に許可をもらうだけで良くない?

私が王様に会う必要あるかね?


………王子様の教育に、参加させてもらうわけで……普通は出来ない…………そうね、良識ある大人なら自分でお願いするね。

でないと参加しにくい、うん、会う必要あるみたい。


気が重く、下を向いていると、父が私の手を取った。

「さあ、陛下が時間をとってくれるそうだ。行ってみよう。」


おお〜、もう会うんだ。

昨日と違って、豪華な階段に廊下を進んで行く。


華麗な花が廊下を彩り、大きな絵画を通り過ぎ、豪華な扉に辿り着く。


「陛下に取り次ぎを。」

父が入り口に控える者に促す。


しばらくして、重厚な扉がゆっくり開いた。


中から煌びやかな光が見えてきて、父の手をギュッと握る。

「大丈夫だよ。さ、行こうか。」

父も優しく握り返してくれる。


父のエスコートで歩みを進める赤い絨毯は柔らかで、足音を消してくれる。

視線の先に階段があり、その上に座している人が見える。


王様だ!

やばい、謁見というやつだ。

乗せた手にじっとり汗が滲む。


父が足を止めて、胸に手を置き膝をついて頭を下げる。

私も父から手を離し、父に習って膝を落として頭を下げる。

「クルリスターの輝く太陽、ゲイル王にアーサー・ノア・ウィンテリアがご挨拶申し上げます。」

「娘のルキアーナ・ノア・ウィンテリアもご挨拶申し上げます。」


父と私の声だけが響き、消える。


おお、声が少し響いた……。


そして、上から布の擦れる音がして、

「珍しく今日は、ちゃんと挨拶してくれるのだな、アーサー。よい。かしこまる必要ないぞ、頭を上げよ。」

低い穏やかな声がする。


「ルキアーナ嬢も久しいな。」


頭を上げると、赤いマントを着用して豪華な衣装を着た渋めのおじ様がこちらを見下ろしていた。


あの人が王様。


「陛下、珍しくとは失礼では? 今日はルキアーナも一緒に登城したのですから、親として手本を見せるのは当たり前です。」

父が砕けた感じで王様に苦言を呈している。


艶のある茶色の髪に青瞳、渋く地味めな感じが、毒クラゲ王子と結びつかない。

もっと線の細い感じの人を想像してた。


あの人が王命でルキアーナちゃんを望んだ…………。


じっと王様を見てしまう。


視線に気付いて、王様と目が合った。

にこりと微笑まれる。

「大変な目に遭ったと聞いている。大事はないか?」

心配そうな声色。


本当にルキアーナちゃんを心配しているようだ。


「はい、しばらく療養致しましたので、この通り陛下の前へ来ることが出来ました。」

スカートを持ち、ふわっと会釈をする。


「そうか、それは良かった。無理をするでないぞ。」

「はい、あたたかいお言葉、もったいないことです。」


お嬢様ではないはずなのに、スルスルとセリフが出てくる。

自分でびっくりする。

ルキアーナちゃんの体が覚えてるのかしら。


「それで、王宮内教育であったか?」

王様が父に向き直す。


「はい、ルキアーナはご存知の通り、昨今の誘拐の後遺症が出ており、まだ療養が必要となっております。学園に通わすには安全の確立と療養が必要で、長期に学園を休む事は留年を余儀なくされます。が、将来王太子妃となる身、留年させるよりは王宮内教育を受けさせていただいて経歴に憂がない状況の方が良いのではと考え、陛下にお願いに参りました。」


王様が顎に手を当てて、肘掛けに片肘をつく。

「それは、アーサーお前の考える通りだな。こちらとしてもルキアーナ嬢に憂が付いてくる事は避けたい。王宮内教育を受けるのであらば、王宮医師の診察も受けるように。諾となるなら受けても構わぬ。ルキアーナ嬢の望むようにしてやったらよい。」


ルキアーナちゃんにとても手厚い、それだけ王太子妃として求めてるのね。


父がこちらを向いて視線を合わす。

お互い言葉はなくても、諾の意を汲む。


頷き合い、王様に向き合う。


「過分な配慮ありがたく、陛下の御意向のままに。」

「陛下のご配慮に感謝申し上げ、謹んで精進して参ります。」


深く頭を下げる。


と、急に空気が軽くなる気がした。

それもそのはず、王様が軽い足取りで階を降りてきたのだ。


「堅い話はそのくらいだ。アーサー、ルキアーナ嬢は本当に大丈夫なのか?記憶は戻らぬままか?」

父も普通に楽に立ち、

「そうですね。未だ記憶は戻っておりません。」

「息子達のことも覚えておらんと聞く。」


「ははは、よっぽど印象が薄かったんでしょう。私の事などは覚えておりましたよ。」

と嫌味を交え、ご機嫌で嘘八百を並べ始めた。


父⁈


「こりゃ、手厳しいな。しかし、ラトルスネイクは会うてないから記憶は難しくとも、キロネックスの方はよく会うておったであろう。それにあれは優秀で見目も良かろう。女性受けの良い面持ちをしておる。思い出せぬか?」

王様は苦笑いをして、青い瞳で私を見る。


すみません、中身別人なもので全く知りません。昨日会って驚いた所です。


「思い出せず、申し訳なく思います。」

頭を下げると、ますます王様が笑う。


「よいよい、まだルキアーナ嬢が成長するまで時間がある。これからまた知り合うて、仲を深めていけば良い。どちらも優秀な王子達だ。ルキアーナ嬢も気にいる方が出てこよう。」

「…………。」


「上は、学園で会長もしておったくらいだ、優秀で人当たりが良い。あの容姿も相俟って人気も高く社交に富んでおる。下は頭脳がずば抜けておる。希少な闇魔法の使い手でもある。少々寡黙であるが、男はそのくらいが良い場合もあろう。共に良い男に育ってきておる。」


めっちゃご機嫌に笑って息子を勧めるじゃん。


けど、私と父は顔が引き攣る。


王子達のどの辺りを見ておられる?

ダメな所が見えないフィルターがかかっているのでは?


第一王子の毒の部分と第二王子のもっさり引きこもりはガン無視ですか⁈


「ま、まあ、陛下、今はルキアーナには療養が1番ですので、王子達の事はおいおい時間を設けていこうと考えておりますので、本日はこの辺りでお暇させていただきます。」

父が少々動揺しながら、帰るよう促してくれる。


「おお、そうであったな。無理はいかん、しっかり療養せねばな。さすれば、記憶も戻ってこよう。」


ルキアーナちゃんが目覚めれば、記憶戻るだろうけど、今の状況だとルキアーナちゃんに希望が見出せてないので、全く目覚める気がしませんよ?


「帰る前に王宮医の診察を受けるが良い。体調の管理をさせよう、今後無理なく王宮内教育が受けれるよう配慮するように管理官に指示しておく。」

そう父の肩をポンと叩くと、王様は踵を返して扉に向かっていった。


「過分な配慮と議会前に時間を設けていただき感謝致します。」


父に習って王様が去るまで、頭を下げて礼を保つ。


扉の閉まる音と同時に、父が私の頭を撫でた。

「ね、大丈夫だっただろう。しかし陛下には参るね、殿下方の何を見ておられるのか。」

「本当に。」

共に苦笑いしてしまう。


しかし、極度の緊張と長いカーテシーで、私の足はプルプルよ。

無事やり過ごせてよかった。

と安堵したのだった。








閲覧していただき、ありがとうございました。


王様は割に地味め。


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