17 学校があったらしい
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ひとしきり4人で話をした後、父が言った。
「では、ルキアーナの学園復帰はまだ先にした方がいいようだな。」
え。。。
ルキアーナちゃん学校行ってたの?
「学校があったの?」
思った事がそのまま口を割って出てしまった。
手で口を押さえたけど、皆んなには聞こえた様で注目を浴びた。
「そうだよ。ルキアーナは学園も覚えていないか。」
少し寂しそうな顔をして父が目線を合わせてくれた。
「10から14歳までが初等科学園、15から18歳が高等科学園に通える。貴族の子息令嬢はほとんどが通って教養、マナー、魔法等を学び、更にそこで人脈も作り、卒業後はその能力に応じて職に就いたり、自領を治めたりして生活をしている。王宮など特別な職に就く者は必ず学園を卒業しておかなければならない。」
そりゃそうか、小6だもんね、世界が違えど子供の学び場は必要だ。
学校行くよね。
「それなら、当然私も初等科学園に通っていたのですね。」
「そうだよ、通っていた。友人もいただろう。」
‼︎ 友達‼︎
それ、大事じゃない?
友達って心の救世主のはず
ぱあっと顔が明るくなる。
がしかし、次の父の言葉にがっくりくる。
「しかし、今は記憶喪失なのだから、友人も覚えていないのではないか?」
確かに! 知り合いがいるわけないから、全くわからない。
更にサンタール医師も思案げに言う。
「ルキアーナ様は立場があります。記憶喪失で学園に向かわれたら、どの方が友人か判断できかねます。正常な判断ができぬまま、悪しき考えを持つよからぬ者が近づく可能性がありますな。」
「ルキアーナの記憶喪失は王族とごく限られた者以外他言無用で、周りに知られていない。それに魔力も安定してない。」
「そうですな、記憶喪失の事は知られない方が賢明でしょう。それに魔力も見えませんし、見えない事は危険回避が遅れます。精神的ショックがどこまで影響をきたしているか。まだ安心はできませんな。」
「親としては、娘を傷つける者がいるかもしれない所に行かせる訳にはいかない。しかし学園を卒業する事も貴族としては大切だ。」
う〜ん。誘拐も学園に関わる貴族の可能性が否定できないという所か。
そうよルキアーナちゃんにとって変わって、王子たちのお妃様になりたい貴族がいるって言ってたね。
学園に行けば、またルキアーナちゃんを害そうとする者がいるよね、今は学園に行かない方が良さそう。私も全然学園の事わからないし。
けど将来の為には、学園を卒業していた方がいいか。嫁になるにしろ、嫁を回避するにしろ。
「そうですな。犯人は捕まっておりませんし、安心して学園へ行けるという保証がありません。が、ルキアーナ様は高貴な身分、余計に学園を卒業しておいた方がいいでしょうなぁ。」
父とサンタール医師が眉間に皺寄せて唸る。
この世界には通信教育はないのかしら?魔法とかあるんだし、なんかできそうじゃない?
もしくは特別学校とか。
と考えていると、エーデル侯爵が顎に手を当てて、
「ルキアーナ様は確か王宮で王太子妃教育を受けていたはずです。現在は療養でストップしていますが、王太子妃教育のように王宮で王子殿下方の王宮内教育に参加しては、どうでしょうか?」
と提案してきた。
「確か、第一王子は学園卒業後、院に進まれていましたか。今期が卒業の年ですな。」
サンタール医師の言葉に、エーデル侯爵が頷く。
「そうです。殿下は学院に通われていますが、公務もあるので通う時間がない時は、王宮内で研究をなさっていらっしゃいます。そうする事で、学院同様の単位取得ができるよう考慮されています。」
ふむ、忙しい中でも、毒クラゲ王子は大学みたいなところに進み、公務もし、研究もして意外に真面目に過ごしているんだな。
20歳の王子は横柄な態度に遊び呆けてると思ってたら、違ったな。
外面が良くて覚えめでたい…………か、これも思惑があってしてそうだな。
「第二王子殿下は学園に席を置いておりますが、健康上の理由の為に学園には通われておりません。全て王宮内教育を受けていらっしゃいます。殿下は優秀ですので飛び級で単位を取得しておいでです。」
おお、もっさり王子の方も引きこもって学園には通えてないけど、勉学に励んで偉いじゃないか。
飛び級とか、すごい。頭いいんだな。
感心、感心。
2人の意外な頑張りに、お姉さん心がわきあがる。
確かに、ルキアーナちゃんの安全と学業を考えたら、受けさせてもらえるなら王宮内教育を受けた方が良さそうよね。
でも学園も見てみたいな〜もう学校卒業して何年も経つから学校生活も送ってみたい!
どっちも捨て難く、考え込む。
そんな私を見て、父が私の頭に手を置いて、優しく撫でた。
「ルキアーナ、王宮で殿下方と一緒に学ばせてもらおうか。学園は安全性が確保されて、心身が良くなってから通ったらいいじゃないか。どうだろうか?」
うん、私も父の考えに賛成だ。
まだ知らない事多いし。
「はい、そうします。」
ニコッと頷くと、父は満足そうに笑って、エーデル侯爵に言った。
「では、エーデル侯爵もご指導にあたることになるでしょう。よろしくお願い致します。」
えっ⁈
エーデル侯爵にも教えてもらうの?
怪訝そうに見上げると、エーデル侯爵はにーっこり笑って、
「もちろんです。魔法学を教えております。あぁ、ルキアーナ様の魔力と触れ合えるなんて、こちらこそ歓喜で踊り出してしまいそうです!」
と自身を抱きしめてる。
怖いんですけど………。
「では、体調が宜しければ、これから王宮に向かいますか?王宮内教育の場所や内容をご案内致しますよ。」
エーデル侯爵が手を差し出す。
けど、父がその手をすげなく払う。
「大丈夫ですよ、エーデル侯爵。そこまでしていただかなくても、私がおります。それに何度も言うようですが、ルキアーナは殿下方の婚約者候補です。家族でない男性と触れ合ったり、同じ馬車に乗ることはありません。」
「私が一緒に同行すれば、何者にも危害を加えられる事なく、送迎して差しあげることが出来ますよ。私では護衛になりませんか。」
「師団長の実力は折り紙付きと存じております。過分な配慮はありがたいのですが、無用な噂を立てる事は避けたいと申しあげているのです。それに先に陛下にも王宮内教育を受ける許可をいただく必要があります。」
父とエーデル侯爵がにこやかに牽制し合ってる。
間でサンタール医師がオロオロ。
しばらく父とエーデル侯爵は見つめ合っていたけど、何か2人の間で無言の折り合いが付いたのか、お互い視線を逸らして空気が和らいだ。
「では、今から王宮に行くのではないのですね?」
恐る恐る父を見上げる。
「うーん、これからは流石に遅いから、明日朝から仕事で城には行かないといけないから、そうだな私と一緒に登城して陛下にお願いしてみようかね。」
父が優しく頭を撫でる。
えっ。明日私も王様に会うの? 大丈夫? めっちゃ緊張するんですけど……
顔が強張って固まる。
「ははは、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。陛下はルキアーナに弱いから、許可しか出さないよ。」
陽気に笑うけど、それでも日本でいうと天皇に会う感じでしょ⁈
「大丈夫、大丈夫、さあ、明日は出かけるつもりで用意をしておいで、ゆっくり休むんだよ。」
そう父は言うと私の背を押した。
仕方ないので、
「では、エーデル侯爵様もサンタール医師も、先に失礼致します。今日もありがとうございました。」
とお辞儀をして、父の書斎を出た。
はぁ〜、今度は王様に会うことになってしまった。
めっちゃ憂鬱。
大きく息を吐いて、自室に戻るのだった。
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どこの世にも、学校あるね。
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