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14 全身黒ずくめと遭遇

閲覧ありがとうございます。

え〜、困った。


帰り道を全く覚えていない。


こっちから来たと思うけど………横をチラッと見る。


いや、違うかもしれない。


いやいやルーラまで辿り着ける自信がない。


その辺って侍女さんらしき人見当たらないし。


こうなったら、戻って毒クラゲ王子追って帰り道を聞くしかない!

急がなくちゃ。


ドレスを少し持ち上げ小走りに走って行く。


さっきまでいた、テーブルを通り過ぎて、どこまでも庭園が続いている。


しばらくして薔薇の垣根が途切れてきた頃、女性の声が聞こえてきた。


ああ、誰かいるみたい、この際毒クラゲ王子でなくても、誰でもいい。


歩みの速度を落として、ゆっくり薔薇の垣根を覗こうとして、

「ふふふ、こちらに来てよろしかったのですか? 12歳のお姫様を置いて。婚約してもらわないと困るのでしょう?」


聞こえた内容に足が止まる。


「関係ないさ、つまらない時間だよ。この私の妃になれて、即位の際は王妃だ。栄誉だろう、何を悩む必要がある。政略結婚であるのに、お互いを知ろうとは思わないのか?と言われたよ。ははは、婚約者になるとはいえ、女とも思えない子供の何を知る必要がある。生意気に意見を言い、あまつさえ逃れようとする、全く何様だ。」


「まあ、殿下、大切な婚約者様ですのに、女は成長しますわよ。」


「前のように亡霊のようでも気味が悪いが、生意気にものを言う子供はそれ以上に好きではない。君のように女性として成長し、私の利となる者でなければ話にもならない。」

「ふふふ、早く手懐けて王太子になってくださいまし、そうすればいつでも側で癒やして差し上げますわ。」


垣根の向こうでイチャイチャして、リップ音も聞こえる。


なるほどね。

父が言っていたように、女癖に難ありだな。


どこが急ぎの案件なんだ。


コイツはどうにもならん奴だ。どうやって育ったらこんな子になるの⁈ 普通王子様とかって、優しく紳士なんじゃないの? ルキアーナちゃんのお父さんの方がよっぽど王子様!


こっちから願い下げだ。あれは選んではダメだ。世の中に悪い!


うふふ、あははと笑い声を背に、私は怒りのオーラを背負って来た道を引き返した。


本当にどうすれば、あの第一王子の婚約者を辞退できるだろうか?

元々子供と思われ好かれてないから、嫌われる事をしても辞退には至らなさそうだ。

王太子という肩書きが欲しいのと、優秀な跡取りが欲しいだけだもんな。


考えて歩いてるとさっきのお茶会のテーブルまで戻ってきた。


帰り道はこっちと思った方にまた行ってみるか。


歩きながら怒りが増してくる。


ルキアーナちゃんは道具じゃないし。

あれは王太子にしたらダメな奴だ。国が滅びる。

国民の事は全く考えないだろう。

あの誰か分からない姉さんと、よろしくやって王宮から消えた方がいい。


そう考えながら歩いていたが、ふと足を止めて、周りを見渡す。


やだ、ここ何処?

絶対こんな景色の所通ってない。建物の出口何処?


キョロキョロ歩くが、誰にも会わない。


と、脇に外に出れるアーチを見つけた。


ここから出て、外をぐるっと回ったら門に辿り着くんじゃない?

そう閃いた私は城の壁を触りながら歩いて行く。


かなり歩いた先にガゼボのような屋根が見えてきた。


あそこまで歩いたら、少し座って休もう。

酷いお茶会で、お茶も一杯しか飲んでない。


喉乾いたな。


と思った瞬間、見えない膜に全身が当たる。

「え、なに、なんか当たる。」


そのまま進むと、スポッ…と抵抗があったが通れた感じがした。


髪や服に触るが、何か付いている感じが無い。

蜘蛛の巣では無いようだ。


振り返って、さっき通った方に手を伸ばすが、何も触れない。


き、気のせい?


首を傾げていると、ガゼボの方から、

「うわーどういう事?はね返ってきた‼︎」

と焦ってる声が聞こえた。


どうしたんだろ?

助けがいるかな?

小走りに寄っていき、木々の間から抜け出ると、全身真っ黒の人がお腹の辺りを押さえて屈んでいた。



病気?怪我?

大変‼︎


「大丈夫ですか?」

大きな声をかけながら寄って行くと、黒い人は大きく肩をびくつかせ、顔を上げた。


「驚かせて、ご「こっちに来るな!それ以上近寄るな!」」

あまりの剣幕にこっちがびっくりして足が止まった。


そしてお互い微動だにしない。


「「……………」」


え〜ッと?

出した手も引っ込めれず、様子を伺う。


行ったらいけないのよね?


怪訝そうに見ると、その人はお腹が痛そうにしている。

痛そうだけど、その人の姿が不審。


黒髪が肩にかかるくらいモッサリ伸びていて、前髪も長く表情が全く見えない。

服も喪服のように真っ黒。

手も黒革手袋をはめており、見える肌色は顎だけ。


どういう状況なのか………


まじまじ観察する私をよそに、その人物は前屈みのまま、

「くそ、どういう事なんだ。とにかく解かなくては、いたたたた…………レーナ・クナミタイ。」

ぶつぶつ呟く。


レーナ………?


パッと黒い人が一瞬黒く光った。


すると体調が良くなったのか、その人物はゆっくり起き上がった。


意外に背があり、全体にヒョロ長い印象だ。


よく分からないけど、治ったっぽい。


けど、あまりに全身黒くない?

本当に顎以外全部真っ黒。


じっと見つめる私に、その人物はこっちを見てる風だった。


そして小声で、

「どうやって、ここに来た?」


何か言ったように感じるが、なんせ5メートルは離れてる。


聞き返すように進もうとしながら、

「え?なんて言いま「こっちを来ないで‼︎」」

また拒絶され、ピタッ止まる。


だるまさんが転んだ状態だ。


何、近寄ったらいけないの?


声が割に高めだけど、背が高いから男の子だよね?


「なんて言ったか聞こえなかったんですけど?」

私が大きめの声で返すと、


「どうやって、ここまで来た?」

やっぱり小さい声で普通に返答している様子。


なんて言ってるか聞こえないんだが?

動けず、首を傾げると、


その黒い人は地面を指差し、

「リゲラタ・エコンセ。」

と唱え黒い線を引いた。


リゲ………魔法か?地面にスタートラインのような黒い線が出てきた。


黒い人が地面指差し、今度は私を手招きする。


そこまで行っていいという事?


怪訝そうにゆっくり進むけど今度は止められない。


黒い線で止まると、黒い人が

「その線超えたら、腹痛の呪いがかかる。」


「え‼︎怖いんですけど⁈」


「超えなければ大丈夫。」


いやそういう問題ではないと思う。

まじまじ地面を見る。

確かによく見ると線というよりは、何か文字が書いてあるようだ。


文字と黒い人を交互に見る。


「どうしてこんな事。」

「必要以上に寄ってほしくない。」


相変わらずボソボソ言うが距離が3メートルくらいになったので、かろうじて聞こえる。


変わった人だ。


「ごめんなさい。」

とりあえず謝る。

「帰り道が分からず迷ってしまって、外に出れたからお城を壁伝いに歩けば、門まで行けるかと思って。」

そう私が説明すると、


「え、夜までかかる」

反対に驚かれた。


それは遠すぎたらしい。

いい方法と思ったのに。


ショボンと落ち込む。


そんな私を見て、黒い人は喋ろうとして、やめてを繰り返してる。


挙動不審だなぁ。


そう思ってると、意を決したように言った。

「ここまで、どうやってきた?」


どうやって?

「だから迷って歩いて。」


「そうじゃない。」


否定された。


ちゃんと歩いてきたよ。

「何処を通ったのか分からない、そりゃ途中小走りもしたけど、基本歩いてきました。」


「だから、そうじゃない。」


何を言ってるんだ、コイツは。

お互い理解不能に陥る。


何が聞きたいんだ?

首を捻る。


「結界…があった……」

ボソッと黒い人が言う。


結界⁇

そんなものあった?


と、さっきの膜みたいなのを通過した事を思い出した。


ポンと手を打ちながら、

「さっきの膜!あれ、結界だったんですか。私魔力が見えないんですよ。」


と言うと、黒髪が揺れる。

「…………魔力見えないほどしか魔力有してない奴、通れない。」


魔力は多いらしいけど、見えないんだよね。どう説明したら…


「…………。」

無言でいると


「そもそも、通過したら呪いがかかる。」

黒い人が言う。


「え、呪いが⁈」


ビックリするんですけど!


「結界は入れないか、入れても腹痛を起こす。」


腹痛好きだな〜でもお腹痛くない。

お腹さすって、首を傾げる。


「結界失敗してましたかね。お腹痛くなりませんでした。大丈夫です。」


そう言うと、黒い人が顔を背けた。

「僕に呪いを返してきた………」


顔をあっちに向けたから、よく聞こえないんだが。


「なんて言いました?」

「なんでもない。」

「私は魔力は多いんです。」

「知ってる。結界通過したから多いのはわかる。」


あー、そうだよね、通過してるもんね。


「けど、この間死に目に遭って、精神ショックと記憶喪失で魔力が上手く流れないらしく、瞳にも障害があって、魔力見えないんですよ。」

とサンタール医師に説明されたままを言ってみた。


するとこっちを向いた。

「ああ、君はウィンテリア家のご令嬢なんだね。」


ルキアーナちゃん事件有名なのか、黒い人も知ってるみたいだ。


「はい、挨拶が遅れました。ルキアーナ・ノア・ウィンテリアです。」


じっと私を見ている感じがする。


顔が前髪で見えないけど、見てるよね。


視線をものすごく感じつつ、

「あなたは?」


そう聞くと、ビクッと肩を大きく揺らして、ひどくモジモジし始めた。


「……………、……。」


モジモジ……モジモジ……………


………聞いたらいけなかったようだ。


「では、帰り道を教えてください。」

私の声が聞こえないのか、ずっとモジモジしてる。


ああ、どうしよう。

帰り道も聞けなさそうだ。


どうしようと空を見上げていると、ややあって


「…………ラト。」


「ラト?」


「…………ラト。」


ラト? ああ、名前か? もしかして、ずっと言おうとしてくれてた?


「ラトさんですね。教えてくれて、ありが「ラトルスネイク・コア・クルリスター………。」


「………えー!」


被って聞こえた名前に目が飛び出た!


私の大きな声に後ろに飛んで下がった。


明らかに怖がってる様子を見ながら、第二王子だと確信する。

第二王子=引きこもり

この挙動不審さ、黒髪、そうなんだわ。誰よ日本人に近いって期待してたの!


「失礼しました。殿下。」

私が頭を下げると、自分の背後を恐る恐る指しながら

「あっちに向かって、50メートルほど歩いたら建物に入るアーチがある、通って真っ直ぐ行けば必ず使用人に出くわしてしまう。」


ははは、使用人に出会してしまうって………殿下は通らないルートなのね。

「ありがとうございます。行ってみます。」


殿下の言い方が可笑しくて、私はすっかり黒い線を忘れて通ってしまった。

「あっ………」


王子が何か言ったので、振り返る。


また前屈みになってる。

「大丈夫ですか?体調悪いなら、戻った方がいいですよ。」


「イタタタ、誰のせい…………レマトリゲ。」

また何か呟いて黒く光ってる。


心配してあげてるのに。


「気をつけて下さいね。ありがとうございました。」

膝を折ってお礼を言うと、治ったのかあっちを向いたまま、片手をヒラヒラさせた。


大丈夫そうな姿に安心して、私は言われた通り、アーチを探して歩いていった。


  ♢♢


王子はというと、私の後ろ姿を見ながら、

「僕の呪いを無自覚に弾き返すなんて、普通の魔力の人にはできないよ。本当に桁外れな魔力なんだな。なのに魔力が見えないなんて、そんな事あるのかな。」

と呟いていたのだった。


その後、無事ルーラの元まで私は辿り着き、めい一杯心配というお説教を受けて、帰路についたのだった。







閲覧していただき、ありがとうございました。


全身黒ずくめ=第二王子の登場


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