内気
お久しぶりです
影から出てきた2体の鬼。1体は筋肉質に少し金髪に感じる坊主頭、2体目は細身の身長が高い黒髪。
「んー…ここが鬼殺し達のアジト?なんか鉄臭いっていうか…」
「まぁそんなことを言うな。早く仕事を済ませよう」
金髪の坊主頭が歩き出した瞬間、金髪の坊主頭のふところに灰川が潜り込んでいた。灰川は黒木の命令でβ班と合流するために呉島を担いで移動してきた。
「よう…灰川じゃねぇか」
「岩坊主…!!」
灰川は刀を抜き、切りつけようとする。岩坊主と言われた鬼に刃は通らなかった。刀身を素手で掴む岩坊主。そのまま灰川の顔面に拳を振りかざす。鈍い音がこだます。
「灰川さん!」
近藤と木村は動き出す、ほかの隊員も動く。しかし、もう1人の鬼がゆっくり隊員の肩を触っていた。
鬼はニヤニヤと笑いながらその場から少し離れる。1人の隊員が近づく。
「おい、大丈夫か?」
「ああ…なんとも…」
その瞬間、触られた隊員の上半身がはじけ飛んだ。近づいた隊員は顔を腕で隠し、致命傷を免れた。だが、鬼がその隊員の体にも触れ、転ばし、足を掴む。
「よいっ…しょ!!」
鬼は隊員を人が多いところに投げ飛ばした。海斗は叫ぶ。
「その隊員も爆散するぞ!」
投げ飛ばされた隊員はそのまま爆散した。そして、その隊員の周りにいた隊員も腕や頭を吹き飛ばされた。
「海斗…!!」
「…触れたものを爆弾みたいにできるのか?」
「んー…やっぱり爆発の範囲は体重かな?まだ、自分の能力が分からないな…もう少し研究しなきゃね」
爆弾の鬼はニコニコと笑いながら腕を振り回す。灰川は岩坊主と戦っているが疲弊しきっている。そこに木村が参戦した。木村は辺りを見渡す。
「おいおい…影野がいねぇ!」
「…逃げたか?」
「あいつは忙しいんだ…お前らの相手は俺だぞ?」
龍也のナイフが威吹の体に届くのは初撃のみだった。そこから龍也は威吹の攻撃を防ぐことにしか集中するしかない。黒木も龍也の援護をするが威吹の蹴りを受け装甲車付近に吹き飛ばされる。
「…っ!!」
「なぁ龍也、俺が今まで感じてたこの組織への感情はなんだと思う?」
「あ゛ぁ?!」
「キレんなよ…失望だよ」
威吹は龍也の顔向かって蹴りを入れる。龍也は後ろに倒れかけるが体勢を立て直す。
「10年前とは違う、ぬるま湯に浸かりただ街に湧いた鬼共を殺し優越感に浸る…。なにより、決定機関の大黒は腐りきっているわ、最高戦力の隊員もいなくなっちまってるわ、なんのためにお前らはいるんだ?」
「…一般人が平和に暮らせるためだ」
「お前の本心はなんだ?悪いが俺はお前が他人のために戦ってるって思ったことは1度もないぞ。お前は他人なんてどうでもいいんだよ」
「黙れよォ!」
「ンだよ、叫ぶなよォ!!?」
龍也は威吹に向かって拳を振りかざす、威吹も同じように拳を振る。両者の拳がお互いの顔面に打ち込まれる。
「俺は入った時から何も変わってない!俺は周りの人達が幸せであるために戦うんだ!」
「そんな薄っぺらい理由はいらないって言ってるだろ!?お前は、鶏かぁ!?」
威吹はもう片方の手で龍也の腹に拳を入れる。龍也は腹を抑える。威吹は口を拭う。
「俺は…10年前の戦いで父親を亡くした。俺より能力の発動速度も持続時間も規模も遥かに上だった。だが、ある人間のせいで全てが失った。誰かわかるか?」
「知らねぇよ…俺に関係あんのかよ」
「ある。大いにある。お前は何も分かってないんだな。お前の親父は何も言わないのか…」
「…なんで親父が出てくるんだよ!」
龍也は威吹に向かって突進し、外に出る。外には訓練中の隊員が数人居た。威吹は龍也を引き剥がそうとするが龍也は体をギッチリと固めていた。そのまま絞め技に体制を移そうとする。だが、威吹は龍也の絞め技の体制を崩し何度も顔面に拳を振り下ろす。
「本当にお前は何も知らないんだなぁ!何も知らずにただ流れるがままにレールの上を走る!甘いんだよ!お前はよ!今でもそうだ!」
拳ではなく肘を振りかざし竜也の防御の体制が崩れる。服の襟を掴み、倉庫の方に投げ入れる。倉庫の扉が凹む。そのまま、龍也の腹に蹴りを入れる威吹。龍也の口から血が溢れ出す。倉庫の扉に穴が開き、そこから倉庫の中に転がり込み、龍也は倒れ込む。
「俺を殺すと言ったくせに殺す気もないのか?本気で来いよ」
「…なんで、和紀を殺したんだ…和紀を殺す必要なんてなかった…なのに…なのに…」
「…俺に…そんなこと…言うなァ!」
威吹はまた龍也に拳を振りかざす。だが、黒木の斧が威吹の拳を吹き飛ばす。
「…黒木」
「…ぶっ飛ばしてやるよ」




