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戦鬼争闘  作者: 封
協力者編
22/24

大黒

今回は執筆欲が高かったので早くかけちゃいました。

海斗と灰川は周りを見渡す。倒れ込んでいる威吹と呉島、そして頭と首が離れている日辻。灰川はすぐさま黒木の方を向く。

「黒木隊長!我々の仕事は終わりだ!武器を収めて!」

黒木は我にかえり、斧をその場に落とす。海斗は龍也に近づき肩に手を置く。

「おい…赤城?もうやめろ…」

龍也の目に光が戻り、海斗の方を見る。

「海斗隊長…」

名前を呼んだ瞬間、一気に咳き込みその場に座り込む。海斗は背中をさすっている。その場は静かになり、その5分後に第4部隊、グリーンチームがオフィスビル内に入ってきた。


今回の作戦はブルーチーム第1部隊、第3部隊、第4部隊による捕獲作戦として実行されていたが、狩人の上層部である大黒という機関がレッド第1部隊に討伐作戦として指示を出した。なお、この大黒からの指示はブルー、レッドのチームリーダーである犬島、猿山は報告を受けておらず、指示について知ったのは討伐対象の日辻とブルー第1部隊の対峙およびレッド第1部隊のオフィスビル屋上の到着と同時であった。

なお、ブルーチーム第1部隊には大黒から隊律違反の疑いとして青葉、ハリー、赤城、氷菓に組織裁判への出席が命じられた。特に赤城は呉島へのハンドガンでの発砲について触れられる事となっており、最悪除隊処分になる可能性が高くなっている。


「ここまでで異議はありますか、お二方?」

大きな丸机を3人で挟んいでる。坊主頭の男は今回の作戦に関しての報告書を読み上げていた。薄毛の落ち武者のような髪型になり始めている男も頷く。

「ここまでは良いでしょう…正直、青葉を除隊にできるように仕向けたいですが灰川との交戦だけでは除隊までには持っていけないな」

丸刈りの男はこの2人の喋りに吐き気を感じていた。明らかにこれは決定機関である大黒がしてはいけないことだ。なぜこれが賛成となってしまったのか。反対票を押していたにもかかわらず残り12人が賛成票を押してしまっているのが甚だ気分が悪い。

「五里山君…君はどう思うのかね?」

「山崎さん…私は前回の同じでこれに関して全てが反対です。まず、ブルーチームの管轄内での作戦をレッドにやらせたこと自体おかしいのです。今回の件は彼らだけで十分だったと思いますが?」

「五里山君や…彼らだけでは足りないのだよ…切り捨てというものが。我々に必要なのは冷徹な決定だよ。これは北海道の戦いで見せた桃太郎の考えだよ?」

「いえ、彼はそんな考え持ち合わせていなかった。筋を通した考えを持っていた」

「そんなものな、戦争という形になったら要らなくなるのだよ。五里山君、前線にいた君なら分かるだろ?もう、刀は触れなくなったが…」

山崎と田島は戦場には出ていない。他の12名もだ。だから分かる、鬼への罪悪感。そして、命を消すという重みを。今のレッドチームにはそれがないに等しい。

「それでもだ、赤城に関して言えば…」

「あーあー!赤城は絶対に除隊させる!こんな好機今までにないよ!」

「それは…なぜかね?」

落ち着いた声色。田島は後ろを振り返る。そこには総司令であるスティーブが立っていた。坊主頭が一気に白くなっていく。

「そ、総司令…何故ここに?」

「猿山と犬島から大黒の機関の決定方針に異議を唱えていてね。私も何も知らなかったから直接来たんだ」

スティーブは机にあった報告書に目を通す。そして、山崎の方を向いて喋り出す。

「悪いけどこれは誰が書いたのかな?」

「私、山崎ですが…」

「この報告書とレッドの発言では少し意見が食い違っているな。呉島に対して赤城は発砲していないらしいが?それを隊律違反だと被害者側とされているもの達が言っていないがそれに関してはどう思うんだい?」

山崎はパクパクと口を開けて閉じてを繰り返している。スティーブは五里山に向かって口を開ける。

「五里山、君は反対票に入れていたが何故だい?」

「私は公平性がないと感じたからです。これはブルーの管轄…レットの管轄では無い。ましてや我々、大黒という決定機関が指示を出していいものではありません。私はこんなこと断じて認めるつもりはありません」

「うむ…やっぱり五里山は最初の頃と全く変わっていないね」

「…ありがとうございます」

「山崎、田島」

「「はい!!」」

「今からレッド第1部隊に対して話を聞いてきなさい。それでなければその報告書は使えません。ましてや3人だけで決めようとする魂胆が間違いです。なにより、ブルー第1部隊を隊律違反として組織裁判に来させることは私が許しません。あともう1つ。こんな不当な指示を出し続けているようなら私は大黒という機関を無くしてもいいと思い始めていますよ」

「しょ、承知しました。急いで報告書を書き直します」

田島と山崎は急いで席を立ち、外に出る。

五里山はスティーブに向かって話し出す。

「総司令…申し訳ございません」

「謝ることは無い。彼がいなくなってから決定機関が良くない方向に動き出した。これは紛れもない事だ」

「あの人を呼び戻すことは…」

「無理だな。彼はこの組織に関わりたくないだろう…一個人としてはありかもしれないがね」


五里山とスティーブが会話してると同時刻にレッド第1部隊とブルー第1部隊が一室にいた。だが、ブルー側には威吹はいなかった。

「こんな部屋に呼んだのはなにか理由があるのか?黒木隊長さん」

海斗は黒木に向かって質問する。黒木は席を立つとゆっくりを頭を下げた。

「…この度は我々の身勝手な行いを許して欲しい。知っての通り、大黒側の指示でブルーからレッドへ管轄が変わり、対象の処遇も変更になっていた。処遇に関しては我々も異論を唱えたしブルーにやらせるべきだとも言った…あの後冷静に判断した結果だった…だが、それも却下された…。理由は納得してもらえるか分からないが…」

「言ってみてください」

龍也が黒木の方をじっくりと見つめながら口を開ける。黒木はそのまま続けて話していく。

「我々レッド第一部隊は鬼ヶ島エリアでの調査と制圧をドローンを使っているんだ。使える場所が限られるが…。そのドローンの使用権を大黒側は剥奪させようとしたんだ…これは日本領土の奪還という願いを叶えたい我々にとっては痛手だ…」

「でも、日辻さんをあんな風に殺す必要性は無かった」

「それに関してはドローンを操作してた米田が説明させてもらいます。ドローンで大黒側が日辻さんの殺害が出来ているのか確認をしていました。細工を試みたんですが時間もなく…殺害が明白になるにはあのようにするしか…」

少し沈黙が続いた。龍也は何も言えなかった。いや、言いたくなかった。もっとうまくできたはずだ。

「…俺に斬りかかってきたのは?威吹に斧を振り下ろしたのは?」

「それは俺も思っている。芝居じみたことをするならもっと上手いことできただろ?」

「奴らは本気度合いを見ている…こうするしか無かったんだ」

「ふざけんなよ」

龍也は立ち上がる。龍也は目の前にいるこいつらを殴りたくて仕方がなかった。

「俺の背中の傷は浅かったから良かったけど…威吹はまだ動けないんですよ!?それなのに許してくださいってただ頭下げられるだけじゃ困ります…。黒木隊長は俺に対してなにか因縁のようなものを持っているようですけどそんなの俺には関係ないですよ」

「…その通りだ。俺は君に勝手なことを押し付けていた。本当に申し訳ない。今は頭を下げることしか出来ない…だが、行動で君の納得がいくようにしていきたい」

「…っ!!」

龍也はその場に座り込み、下を俯く。ここでは手を出すべきではない。いや、出す必要性がない。

「…実は3人にはこれだけじゃなくて別件で話をしたかったんだ」

「別件とはなんですか?」

「青…海斗君は知ってると思うけど組織内の裏切り者についてだよ」

「!?それをいつ知ったんですか?」

「大黒側がペラペラ喋ってましたよ…あいつらは口がまったく固くない…」

呉島が毒づくように大黒の悪口を言う。海斗は黒木に向かって質問した。

「…裏切り者がわかったんですか?」

「…可能性かな。多分だが、裏切り者は2人いる」

「2人も?!日辻からは…」

「これは憶測です。それに今回の事件はその2人が関与してる可能性があります」

米田が口を開き、話し出す。そして、手元にあったパソコンを取り出す。そこには生体情報なるものが表示されていた。

「これは?」

「もしかしてX線技術を応用して鬼を判別させているの?」

「それに近い…もっというなら赤外線などの人体にあまり影響のない線たちを組み合わせてる。ドローンに搭載されてる」

「それで…裏切り者は誰なんですか?」

龍也が静かに口を開く。黒木は米田に顔を合わせる。言いづらいように口を動かし始める。

「…心して聞いて欲しい。裏切り者は…」


オフィスビルの事件から約2週間が立った。威吹は折れた足をかばいながら松葉杖で歩いていた。最悪酷く折れていなかったため、そんなに生活に支障はなかった。

今、装甲車が駐車されている車庫にいた。ここで龍也と一緒に装備の点検を行う。

「龍也?いるか?」

「おう、いるよ」

龍也は装甲車から顔を出す。タブレットに書かれている備品を2人で確認していく。

「なぁ威吹」

「なんだよ?」

「人が死ぬのってどう思ってる?」

「え?なんだよ。変な質問して」

「いや、気になって」

「あーそうだな」

威吹の考えは昔も今も変わらない。人が死ぬそれは

「当然のことだろう。死ぬことって」

「それが誰かの手で奪われたことだとしても当然だと思うか?」

「え、あーそうかも?運命的な?」

「そうか…」

龍也が下を俯く。と同時に威吹の喉から暖かい何かが昇ってきた。それは血だった。胸を見ると血が流れ落ちていた。龍也は手にハンドガンを持っていた。龍也に撃たれていたのだ。

「り、龍也?」

「悪いけど…作戦のためなんだよ」

重低音が車庫内に響いた。

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