存外
オフィスビルのイメージがむじぃ
龍也たちブルー第1部隊は日辻を説得する方向にした。第3部隊には討伐として処理してもいいのではと言われ、第4部隊には第1部隊に決定を任せると言われた。海斗とハリーは日辻の人柄を考えた結果、保護を考えた。威吹は討伐に対して強い意志を出していた。龍也は日辻を殺すことに躊躇いを覚えていた。だから、龍也は保護することを提案した。
第1部隊が3階建てのビル内に侵入し、第3部隊はビルから100mの位置でスナイパーとスポッターとして待機、第4部隊は連絡隊として待機していた。
ビルを侵入したとき威吹は龍也に不満な顔をして口を開いた。
「俺は華月の件があってから鬼に対して不信感しかない。お前もそうだろ?なのに、あんな女に対してだらけやがって」
「なんだよ、お前。不満なのか?お前は俺の彼女かよ」
「ちげぇよ。俺は友人を殺されて鬼は許しちゃいけないんだよ。だけど、お前は協力してるからってだけで簡単に鬼を信用するのか?お前は芯のない人間だったのか?」
「んだと、てめぇ」
龍也と威吹はお互いに拳を振りかざそうとする。しかし、海斗によって両者、脚を蹴られ悶絶する。
「…隊長?!」
「お前ら2人頭を冷やせ。俺たち第1部隊の方針は"保護"と決まったんだ。不満があるのもわかる。だが、決まったものは全うするしかない。ここで仲間割りする必要もない。上に行くぞ」
海斗の叱責で2人は静かになり、海斗とハリーの後について行く。2階に着くと扉を開ける。その先には日辻と椅子に縛られた白葉がいた。龍也は困惑しながら口を開く。
「日辻さん!やめましょう!こんなこと!」
「赤城くん!そんなことを言うためだけに来たのかい?!私を殺すために来たんだろ?!そうだろ!?」
龍也の前に海斗とハリーが前に出る。
「日辻。俺たちが来たのはお前とそこにいる白葉さんの保護だ」
「ほ、保護…?」
「そうだよ。私たちはあなたを助けるために来たの。あなたは私たち人間側にずっと協力してくれてた。なのに…」
「うるさい!うるさいうるさい!私は私の為にやってるの!人間を殺すべきだと思った!これはそのための第1歩なの!」
日辻はまるで子供のように叫ぶ。威吹は痺れを切らしていた。持っていたアサルトライフルを構える。
「こいつは…殺すべきだ」
「待て!威吹!」
「やめて!氷菓君!」
白葉が叫ぶ。威吹は驚き構えた武器をおろす。皆驚き、白葉の方をむく。
「この人は嘘を言ってるんです!争いなんてしたくないはずなのに!自分の家のことがあるから…人間と敵対したんです!好きな人間たちを恨むことは無いと思うから!」
「うるさいな!私が…人間が好き?…馬鹿なこと言わないで!私のことを怖く見ていた人間のことなんか…」
「じゃあ、なんでもう古くなった携帯電話を見つめるの?!それは人間だった頃に戻りたいし好きだからでしょ?!」
白葉は叫ぶ。龍也は彼女こんなに大きな声を出せる子とは思っていなかった。日辻は驚き続ける。龍也は持っていたアサルトライフルを床に置き、前に出る。
「龍っ…!」
「日辻さん…僕はあなたを傷つけるつもりもありません。あの夜教えてくれた…あなたの願い…欲望…両親にただ会いたい…僕はあなたの気持ちを少しだけ分かります。あの時言えなかったんですけど僕は母親が早くに亡くしています。もし、両親を人質に取られてるなら僕らが助けます。だから…戦わないでください」
「でも…でも…」
「日辻。今、名古屋のボイドに数人隊員を要請させる。お前の両親の保護…俺たちにやらしてくれないか?」
「…私はやっぱり戦いたくない!みんなと戦いたくないよォ!あ、赤城くん!」
日辻は泣きながら竜也の胸に飛びつく。龍也はどうすればいいのか分からなくなったが頭を少し撫でた。
「い、威吹…白葉を…」
「ああ…お前…体ガチガチになってるだろ?」
「いや…どうすればいいのか…」
威吹は白葉に近づいて紐を切り、拘束を解除した。少し白葉はほっと安堵していた。
海斗とハリーは少し嬉しいそうに笑っていた。威吹も嬉しそうだった。
「日辻さん、とりあえずボイドに戻りましょう。どうしてこうなったのか説明してくださいね」
龍也は海斗にこの後の命令を聞こうとした。
海斗の方を振り向くと窓を見ていた。ハリーも見ていた。龍也も窓を見た。窓には1台のドローンが見えた。白いカバーのようなものが覆われたドローン。
「こちら、第1部隊青葉。外にいるのは第4部隊のドローンか?あのバカの発明品か?」
『こちら第4部隊。僕の発明品をバカにしたな!まぁそれはおいといて…ドローンなんて僕ら出てないよ?』
海斗はもう一度窓を見る。白いカバーが開き、機関銃のようなものが見える。
「赤城!氷菓!物陰…伏せろ!」
海斗の叫びと同時に窓が割れ始める。バラバラと音がしながら。龍也と威吹は白葉、日辻をかばいながら近くにあった机に隠れた。銃は鳴り止む。ドローンは静かに窓から部屋に入る。海斗はアサルトライフルを向けると同時にドローンは海斗のほうを見る。と同時に海斗が入口のドアに吹き飛ばされる。
「海斗!なんなの、このドローン!」
ハリーが叫ぶと同時にドローンがハリーの方を向く。そして、海斗と同じように吹き飛び、壁を突き破って倒れ込む。
「ハリーさん!隊長!」
龍也は叫ぶ。威吹がドローンの真下に忍び込む。威吹の手元にはナイフがあった。
「威吹!」
伊吹はナイフをドローンのパーツがむき出しになっている箇所にナイフを突き刺そうとする。しかし、赤い光が漏れ出した。威吹は光に当たらないようにナイフを急いでパーツに突き刺し、急いでドローンから離れる。
「威吹!?大丈夫か?!」
「危なそうな光が出たからナイフ突き刺してきちまった…多分余裕で動くぞ…」
ドローンをゆっくりとこちらを向く。少しずつ近づいてくる。だが、ドローンの後ろから真っ二つになったドアが飛んでくる。ドローンに命中し、動かなくなる。海斗が投げたのだろう。正直ゴリラだ。
「今から命令をする!龍也は日辻を、海斗は白葉を連れて地上1階にいる第4部隊と合流せよ!ドローンは俺が足止めしておく!急げ!」
龍也と威吹は返事することなく、動き始める。威吹はハンドガンを持ち、龍也に向かって出口の方向を指差す。
「龍也は早く日辻を連れていけ!お前が本当に信じるなら俺も信じてやる…。出口なら非常階段を使おう。合図とともに走るぞ3…2…1…走れ!」
龍也と威吹は日辻、白葉を連れて走り出す。ドローンも動き出すが海斗にもう一度ドアの破片を叩きつけられる。
「どこの部隊のドローンだよ…てめぇ…マイクついてるだろ?」
「あまり…そのドローンには触らないであげてくれないか?青葉中尉」
海斗が名前を呼ばれ、声の方を向く。そこには灰色の髪をした男が立っていた。服装は狩人の隊服だが赤黒い。腰には刀のようなものをさしていた。
「あんた…レッド第1部隊の灰川少将…」
灰川が居る。それはこのオフィスビルにレッド第1部隊がいるということになる。嫌な予感がした。日辻が死ぬことになるのかもしれない。




