日辻
忙しすぎて全然かけてません。
会議の隊員たちがザワザワと騒ぎ出す。
「日辻!そんなことはありえない!入隊前には必ず身体検査をして、鬼かどうか調べているのだぞ?!」
中嶋が立ち上がり反論する。確かに入隊前には検査を行い、鬼かどうかを確認する。血液検査、心電図、X線…様々な検査をする。DNA鑑定で一気に鬼の証拠が分かる。その検査は全てグリーンで行われる。だが、ある年を除いてグリーンで検査が行われなかったことがある。
「去年はグリーンでの検査はしませんでしたよね?検査しなかった理由は…」
「DNAの鑑定できる、DNA鑑定技術者が事故による負傷か死亡しているため検査を外部で行って貰った。その後の入隊では検査はしていなかった…もし、DNAの鑑定などを偽造していたら…?」
「有り得るかと思います。なので、今期の入隊した隊員のDNA鑑定を一からするべきだと思います」
「うむ…黄楊少尉はグリーンにDNA鑑定の依頼を出して欲しい」
犬島リーダーはグリーンとのパイプが太い黄楊に連絡を出す。犬島リーダーは日辻に向き直す。
「君の中で…裏切り者だと考えられるやつはいるか…?」
「私の中では…」
日辻は口を開き名前を言う。多くの隊員が驚いた。
そのあとの会議は直ぐに終わった。日辻は会議室から離れ、訓練所の横を通る。訓練所のある箇所がまだ光っていた。日辻はそこを見ると赤城が訓練をしていた。重いダンベルを両手に持っていた。赤城がこちらに気づく。汗だくの顔をタオルで拭き、話しかけてきた。
「日辻さん、こんばんは」
「こんばんは。赤城くん。もう8時過ぎるよ?休まないの?」
「いえ、もう終わるところでした」
「そうか…あ!なんか奢ってあげる!」
日辻はすこしニコニコしながら自販機を指さす。赤城は少し困った顔になっている。
「いや…いいですよ。そんなに僕今金欠じゃないですし…」
「私に奢るということをさせてくれ!やったことがないから!」
「そ、それなら…じゃあこのスポドリを」
「おっけぇ!」
日辻はニコニコしながらスポドリと自分が飲むのであろう緑茶を選択、自販機から取り出した。
「はいよ、スポドリ」
「ありがとうございます」
床に2人座り込んで飲み物を口に含む。
「…なんで協力者をしているんですか?」
赤城が口を開き、質問をする。日辻は少し考えて口を開く。
「私は30年前のせいで普通に高校生から鬼っていう異形な生物に変わっちゃって、色んな人に怖がられた。親にも。友達にも。だから私は静かにみんなの前から消えたんだ。元々出身は東京だったんだよ。東京で20年近く一人で生きてた。あ、ご飯やお金は正当な方法で手に入れてたよ?そんな生活してる時に北海道を取り戻したって報道があってさ…あの時全ては変わったって思ったんだ。私の中で。人間は鬼より強い。そして、私もあの中で戦いたいって思ったんだ!だから、東京を出て福島に来た。福島で生活してたら偶然強盗にあっちゃったって感じかな」
「母親に会いたいって思わないんですか?」
「んー…会いたいけどそれは私が胸張って生きてますって言えるようになってたからかな」
龍也は黙った。龍也の中には鬼への憎悪が無くなりだしている。目の前にいるのは鬼だけど人間として生きようとしてる人…龍也が鬼の力を使って快楽を感じてる化け物…その両者のいるが果たして鬼は全て消し去るべきなのか分からなくなっている。彼の復讐心は鬼に対してだったのに。
「赤城くんってなんで狩人になったの?」
「え?僕は昔、海斗隊長の姿をみて…」
「本当に狩人になろうと思った理由ってそれ?」
「…なんでそんなこと思うんですか?」
「なんかもっとなろうと思った芯があると思うんだよね。もっとなんかこーう…二面性という何か」
「…僕はまだ鬼を殺すことを躊躇います。あの日、日辻さんと会った時も追いかけて蹴りをいれたりしたけど結局殺すことは考えてなかった…でも、心のどこかで鬼をズタズタにしたいと思っている自分もいる…」
「それはいいんじゃないかな?結局誰も殺したくないって言うのは悪くないと思う。私は嫌いじゃない。むしろ好きだよ」
「あ、ありがとうございます…」
日辻はニコニコしながら頷く。そしたら、しばらくして顔が真っ赤になっていく。
「あ、あ、あれだよ?!好きっていうのは好意じゃないからね?!あ、あの、えーと…」
「考えが好きの方ですよね?」
「そ、そうそう!あー年下にバカにされちゃうわァー」
後頭部をわしゃわしゃのかいている日辻の耳はまだ赤い。30年も長生きしてるのであればそんなに反応はあまりしないと思うのだがと龍也は思っていた。
「鬼って歳は取らないんですか?」
「歳はとるけど肉体の老化は結構遅いんだよね。でも、たまに早い人もいるらしいけど」
「じゃあ…日辻さんって40代?」
「…はい、アウト!女の人に歳聞くのはアウトですぅ!」
龍也はアウトと言いながら変なポーズをしてる日辻を見て笑ってしまった。それを見た日辻も笑っていた。そのあと1時間あまり龍也と日辻は語り合った。自分の家族も学校のことも。
・・・
日辻は龍也と思う存分笑いあった後自分が住んでいる家に帰ろと歩いていた。明日は狩人の中の裏切り者を調査しなければいけない。あと2分で家に着くと思った時、道中にある公園の入口に黒いフードを被った人がいた。そのまま通り過ぎようと思った時だった。
「日辻…いや、羊鬼と読んだ方がいいか?」
自分の鬼としての名前を呼ばれ反射的に距離を置く。それよりも1番驚いたのは自分の人間の方の名前だ。
「な、なんで知ってるの?あんたは誰?!」
「おいおい、もう夜だぜ?そんなに大声出すなよ。君にはお願いがあってきたんだ」
「お、お願い?」
「赤城龍也の心を潰せ」
とうぶんゆっくり書きます。




