その後
今回は短いです。
目を覚ますと初めて見た天井が視界に入った。体を起こして周りを見る。周りはレストランにいた同級生がいた。いびきをかいている人もいれば静かに寝ている人もいる。
「龍也くん…おはよう」
呼ばれた方を見ると白葉が本を読んでいた。
「おはよ…何呼んでるの?」
「借してもらえた本なんだけど…モモって本だよ」
「モモ?」
「そう。時間泥棒とその時間を取り返してくれた女の子のお話…読んでみる?」
「また今度にするよ」
部屋が開く音がする。部屋に入ってきたのは海斗とハリーだった。龍也は急いで立とうとする。
「立たなくていいぞ?」
「いえ、大丈夫です…動けます。威吹は?」
「今、事情聴取中。それとあいつのも行ってるよ」
「あいつ?」
「毒鬼だよ。柴田智成の」
地下には鬼の収容所がある。鬼は特殊な薬によって能力や身体強化を阻害される。薬は定期的に注射されている。事情聴取室が見える部屋の中に入る。部屋の中には第3部隊の伊藤、影野、木村がいた。事情聴取室の中には近藤、第2の副隊長である神崎がいる。
「もう一度聞くぞ。今回の事件は計画的に行ったのか?」
「何度も言っているだろ?計画的に行ったんだって。中学2年から」
「計画的に?どういうことですか?」
龍也は隣にいた木村に聞く。木村は少し暗い顔をして軽くうなすぎながら言う。
「ああ…さっきの質問で中学2年からクラスメートに月1でチョコやクッキーを配っていたそうだ。そのお菓子の中に微量の毒を忍ばしていたらしい。毒を摂取した人は少しずつ抗体ができているんだ。まず、これがやつの計画だった。抗体ができているかどうか検証するために」
「今回の食事会は抗体ができてるかどうか確認させるため?」
「ああ…そうだ」
「でも、なんで?俺らのクラスが?」
「それは答えてくれそうだな」
柴田の方を見ると彼は笑いながら話し出す。
「嫌いだったんだよ。あのクラスが。正義気取りのやつもいれば優しい心を持ったやつ…正直寒気しかしなかったんだよ。中2の時に毒で人を殺した時気に食わないやつは殺せばいいって思ったんだ。それに自分の毒が実戦で使えるかどうか試したかったし。あと仮説もあっていた」
「人の命を…!」
「人の命?鬼の命をなんだと思ってるんだ!?お前らもやってることは一緒なんだよ!命を狩ってるんだよ!何を偉そうに…!」
「逆ギレもそこら辺にしとけよ。お前は人の命を弄んだんだよ。そして、和紀の解毒方法はなんだったんだ!」
「教えるわけないだろ!お前らみたいな人1人守れない組織に!」
「くっ…!」
近藤は殴りたいはずだ。目の前にいる部下の仇を。だが、殴らなかった。ずーと押し殺している。怒りを。悲しみを。
・・・
事情聴取室から離れ、検査を受けたあと自分の寮の部屋に戻った。ベットの上に横たわり考える。あの時飲み物を飲んでいなかったら和紀を助けれていたのだろうか?分からない。でも、俺はあの時聞こえた和紀の最後の声が耳に残る。そして、思い出してしまう。学生の時の楽しかったみんなの笑顔が。その瞬間、涙が溢れ出た。
「ああ…うぅ…なんで…和紀が…あぁあ」
俺は無力だ。何も出来なかった。自分自身の無力さを呪った。きっとこれから自分自身を呪い続けていくだろう。今まで鬼は一体しか殺していなかった。ほとんどが無力化だった。でも、今は違う。
「俺は…俺や俺の周りに危害を加える鬼は絶対許さない…。狩る側に居続けてやる…」
龍也は目を擦り、ベットから起き上がる。隊服を手にして訓練所に向かった。
章がどんどん進んでいきます。




