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戦鬼争闘  作者: 封
福島駅襲撃編
10/24

執念

早乙女って苗字いいですよ。

福島ボイド、ブルー第5部隊隊長の早乙女希は海斗よりも一個上で入隊した。

第5は偵察部隊また隠密部隊として活動している部隊。第5だけでなく第10、第15といった5の倍数の部隊が該当されている。"狩人"という20数年あまりの浅い歴史の組織で早乙女希という存在は主戦力となっている。なぜならば早乙女希は現在確認できている日本の歴史の中で鬼退治をしていた一族の末裔であった。

日本では公に公開されていないが数千年前から鬼の存在が示唆されている資料が山ほどある。だが、ほとんどが創造された話だと思われていた。

しかし、ある一つの本によってそれは覆された。

その本は室町幕府の官僚が書いたとされる報告書なるもの。それに記されていた内容は鬼狩りという言葉と関わっている一族が書かれていた。その複数ある一族のうちが早乙女家であった。そして、早乙女家内では鬼という存在がいることを後世まで語り継がれていた。歴史を絶やさないためであろう。さらに、鬼が現れた時のために護身術も教育していた。

当時の早乙女家のもの達はこんなもの役に立たないと思っていた。だが、30年前の出来事でその必要性が明らかになった。

今、希は目の前にいる瀕死の鬼に自分の家系を話しそうになった。正直、休暇が欲しくて愚痴をこぼしたかったのだ。だが、仕事をすればボーナスが貰える。希は小刀についた血を拭き取る。

「…おい、あんた…。この階には鬼がいただろ?」

狼鬼は質問する。

「あー…いたけど全員殺した。私だけではないけど」

「嘘だろ…何人かは能力覚醒者やぞ!?」

「あんなのを能力持ちなんていうの?能力の扱い方も正直下手くそだったよ」

「仲間を…バカにしやがった…」

「こっちは人間殺されて他の隊で負傷者出てるんだ。罵倒しなきゃやってられないよ」

狼鬼の毛並みが大きく逆立つ。より一層、狼の顔へと変貌していく。希は小刀を軽く持ち、もう片方の手で柄のない刀身を持つ。

「お前ら狩人はそうやっていつもいつも俺たちを見下し、鬼を腫れ物に扱い、生きづらい世の中を作ってきてるんだ!」

狼鬼は希に向かって飛び掛る。希は貧乏ダンスでもするかのように避け、狼鬼の太ももに柄のない刀身を突き刺す。

「ちっ!あんにゃろう!」

「それ、抜いとかないとしんどくなるよ?」

希は小刀の柄にある小さいボタンを押した。おしたと同時に狼鬼に刺さっていた刀身が太ももから背中にかけて回りながら肉を切り裂いていく。

「ああ!!!」

「戻っておいで私の子」

刀身は狼鬼の体から離れ、希の手の中に戻ってくる。

「なんだよ、それ.…」

「君は…"狩人"の隊員を今まで何人殺した?」

「…数えたことは無い…20人だったかな…」

「彼らの持ってる武器はきっとあんたたちが見た事のある武器だろうね…でもね、その武器は支給品なのね。彼らはまだレベルアップできる存在だったの…だけど…あんたら鬼は…」

「それは…なんなんだよ!」

「これ?これはね、私が少尉に上がって直ぐに作った武器…オーダーウェポン…さぁ…殺してあげる…」

狼鬼は恐怖を覚えてた死という感覚をより一層感じ始める。狼鬼はそこから走り出す。下まで一気に降りて生き残ってる鬼たちと合流する。なんなら、近くにいる隊員を食い殺そうと思った。


ブゥン。


狼鬼の足にさっきの刀身がまた刺さる。急いで狼鬼はその刀身を抜こうとする。だが、刀身はまた回転し、狼鬼の手を切り落し、地面に落ちる。狼鬼は血を垂らしながら下に降りていく。早乙女はその場で立ちつくしていた。

「はぁ…やっぱり正面戦闘は不向きだな。さてと、連絡しようか…」




狼鬼は下の階に降りていく。急いで降りていく。

「ぎっ…狐!どこにいる!?生きてるんだろォ!?」

仲間の鬼を叫ぶ。だが、狼鬼の視界に倒れた血まみれの男がいた。それは狐と呼ばれていた鬼だった。狼鬼は急いで狐鬼に近づく。

「おい!どうしたぁ!?誰にやられた!?」

「兄さん……早くしない…と…」

「どうしだんだよ!?なぁ!?」

近くの階段から登ってくる音がする。登ってきたのは狩人の威吹二等兵だった。狼鬼は急いでそこから逃げ出す。狐を置いて。他に生きてる鬼を探して助けに戻ろう。そう思った。後ろから銃声が聞こえる。振り向くと狐鬼に銃を撃った隊員がいた。もう逃げることだけを考えよう。戻った先は先程戦った場所。そこだと気づいた瞬間、目の前に光が反射してることに気づく。その反射はスコープによるものであり、スコープの所有者は荷台に下敷きになっていた健太二等兵だった。

「な…」

言葉が出ようとした瞬間、狼鬼の右肩が吹き飛ぶ。奴が使っていたのはスナイパーライフル。その銃の弾が命中した。

「ぐぅ…あああ!!」

狼鬼は奴に向かって走る。2発目。2発目は左脚に命中し吹き飛ぶ。狼鬼は急いで脚を拾い、くっつける。近くで隠れていた近藤中尉が現れ、狼鬼の顔面を殴る。狼鬼はよろめき、倒れ込みかける。

「なんでだ…なんでお前らはァ!!」

「健太!撃て!」

重低音が鳴り響く。狼鬼は自分の脳天に何かが当たったことを感じた。当たったことを感じると頭の中が暖かい何かで満たされるのをしる。そして、生きてきた記憶が走馬灯として蘇ってくる。あの日を境に自分が変わってしまったことを思い出す。どこで道を間違えたのだろうか。もっと違う世界を見ることが出来たのではないか。視界が真っ暗になる。そして、自分が世界から切り離されることがわかった。






20分前の戻る。


健太の父親は警察官だ。警察官でも鬼の犯行で起きた事件の調査を主に仕事としていた。健太は父親が帰るのを心待ちにしていた。いつも。帰ってくるが毎度傷を作って帰ってくる。いつか死んでしまうのではないかと苦しくなっていた。健太はいつしか「鬼という存在がなくなればいい」と思うようになった。中学になって鬼が学校に現れたことで自分の進路がそこで決まったと感じた。自分は"狩人"に入って隊員として鬼を駆逐しよう、夢を持っていた。しかし、自分の不注意で死にかけるとは思っていなかった。

「片桐さん…健太なんとかなりますか?」

両手が血だらけになった龍也がグリーンチームの医療グループ所属の片桐に問いかける。片桐は骨折してる足の骨を生理食塩水で洗い一時的に閉創しようとしていた。

「X線モバイルカメラで不明瞭だけど骨折の確認はできてる…あと内臓の破裂も。内臓は何がやられているかは分からない…ここでの治療は骨折へのアプローチしかできない」

「それじゃあ…」

「助かる。この子は助かる。まだ若い芽は積ませない。急いで下に下ろそう」

「待ってください…俺はまだ…やれます!」

健太は声を荒らげて懇願する。健太は自分の体がどうなっているのか分かっている。だけど、このまま黙って下がることは出来ない。

「だけど、君。今の君は出血が酷いんだ!?このままだと出血死してしまうよ!?」

「俺は…隊員として死にたいんです…戦って死にたいんです」

「健太…それは違うよ…」

竜也が健太に語りかける。

「死んだら終わるんだぞ…?もう、会えなくなるんだぞ…?」

「…俺は死んでもいいと思ってる…。俺が隊員になりたいって思ってなったんだ…だから、死んでもいいんだ…」

「…本当に戦うんだな?」

片桐は真剣な眼差しで健太に問いかける。

「はい…戦います!」

「わかった…今から骨折へのアプローチと少しだが内臓破裂へのアプローチもする」

「どれくらいかかるんですか?」

「5分だ。ナノマシンを君の体内に入れて治療箇所を見つけて治療させる。だが、これはあくまで応急処置だ」

「はい…」

「こちら海斗です…。わかりました…」

海斗少尉に無線が入る。海斗少尉はこちらに近づいてくる。

「さっきの狼鬼が下に向かっているらしい。さすがに早乙女大尉でも仕留めきれなかった…」

「龍也…スナイパーライフル、あるよね?」

「ああ…ある…」

「貸してくれ…俺があいつを仕留める」

「俺が衝撃を抑える…しっかり狙って撃てよ」

そして、現在に至る。

また裏設定を。

狩人という組織を作ったのは防衛省ではなく当時の大学生が立ち上げました。なので狩人の隊員は公務員じゃないよ。

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