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レジェンドオブカーボニア  作者: 天水覚理
第一章
18/48

1-13

「ここが例の遺跡とやらか」


 デールは車を降りると、掘り返された大きな穴の底にある建造物を眺めながら呟く。


「デール様十分注意なさってください。街での情報によりますと、この遺跡の発掘作業中に遺跡の中から怪物が出てきて作業員が殺されたとの事です」


 兵士の一人が街で得た情報を報告する。それを聴いたデールは「ふん」と鼻を鳴らした。


「さっきの立ち入り禁止のテープはその為か……で? 俺にどう注意しろと? 俺が殺されるような怪物がこの中にいるんだとしたら、先に入っていった連中はとっくに死んでるぞ?」


 デールは自信ありげにそう言う。部下もデールの実力を知っているのか「それもそうですね」と同意した。


「デール様! こちらに!」


 穴の縁にいたもう一人の兵士がデールを呼んだ。デールは自分を呼んだ兵士のもとへと移動する。


「どうした?」


「これを見てください。穴の底へと降りて行った跡です。まだ新しい。近くには二人分の足跡も残っていました。しかも、一つは足跡が小さい。女性のものと思われます」


 その報告を聴いたデールは何の躊躇もなく、穴の底へと降りて行った。


「デ、デール様?」


「グズグズするな。お前達も来い。さっさと調べて、さっさと任務を遂行して帰るぞ」


 先を行ってしまったデールの後を追い、兵士たちも穴の底へと降りて行く。先に底に着いたデールは地面をキョロキョロと見渡すと、まだ新しい足跡を見つけ、それを追っていく。そして、とある入り口の前で足を止めた。


「ここか」


 入り口前に立つデールに穴を降りてきた部下が追いつくが、デールは追いついた部下に見向きもせず、遺跡の中へと足を運んだ。部下達もマイペースなデールに遅れまいと、慌てて中へと入っていく。




「ものすごく今更なんだけどさ、ここって何の施設なんだ?」


 長い通路を進む途中、サヴェロは腰に帯びているアイオスに話しかけた。


『どうやらここは兵器工場だったようです』


 アイオスの返答を聴いてメリダが「兵器工場?」と首を傾げる。


「武器を作ってたのか? 今のとこ、武器っぽいものは見当たらないけど」


『先程怪物達と戦闘になった場所、あそこに置かれていた箱の中身は、当時使われていた武器が入っていました』


「へぇ、そんな物が入っていたのか。でも、武器が入ってるなんてよくわかったな」


『レーダーで索敵をするついでに調べていましたので』


 サヴェロとアイオスが話している間にメリダが「じゃあさ」と割り込む。


「武器を作っている所だったらさ、私達が探している月に行く為の乗り物なんて無いんじゃないの?」


『確かにメリダ様の言う通り、乗り物自体は無いかもしれません。ですが、乗り物の情報ならばあるかもしれません』


「情報ってどういう事?」


『はい。恐らくここはカーボニア軍管轄の兵器工場だと思われます。そして、軍の施設ならば軍が保有していたであろう月へ行く手段の情報も何かしらの形で残っている可能性があります』


「となると、その情報が眠っている場所を探さないといけない訳か……この施設は結構広そうだし、大変だな」


 うーんと唸り困り顔をするサヴェロだったが、そこにアイオスが『大丈夫です』と言う。


『レーダーでこの施設の全体像を大方把握しました。この施設の情報が集積されている場所も予想できます』


「本当に?」とサヴェロが驚いたように聞き返す。


『はい。私が道案内をしますので、お二人はその通りに進んでください』


 それを聴いたサヴェロとメリダは「うん」と頷き、アイオスの道案内のもと、遺跡の深部へと進んで行った。




 一方、サヴェロ達を追うデールは遺跡を進み、サヴェロが怪物達と戦った場所に足を踏み入れていた。


「これは……何の生き物だ? 見た事がないな」


 デールはサヴェロが倒した怪物の死体をまじまじと観察していた。


「確かに、こんな動物見た事がありませんね。これが、現地住民の言っていた化け物の事でしょう」


 少し離れた場所で、別の怪物の死体を見ていた部下がそう述べる。


「しかし、どの化け物も何か強い力で殴られた痕がありますね。こいつら以上の化け物がいるという事ですかね?」


「もしくは、ウィスを使う奴がいるか……なるほど、あの仮面野郎が言っていた事もあながち間違いじゃなさそうだ」


 デールはしゃがみこんで怪物の死体を観察しながら呟く。その表情はどこか嬉しそうにも見えた。


 と、その時だった。帝国兵達が気を緩めた一瞬、物陰から一体の怪物が飛び出してきた。隠れていたのか、はたまたどこかの隠し通路から入ってきたのか、怪物は帝国兵に気付かれる事なく接近し、隙をついて襲い掛かったのだ。


「ッ! 化け物だ!」


 それに気が付いた一人の帝国兵が声を上げるが……遅い。怪物は物陰から飛び出すと、一番無防備になっている――しゃがみこんですぐに動けそうにないデールに狙いを定め、飛び掛かった。


「デール様ァ!」


近くにいた帝国兵が助けに入ろうと駆け寄るが、間に合わなかった。怪物は鋭い爪をデールの後頭部めがけて突き出し、爪の先端がデールに触れようとした瞬間「パァン」という何かがはじける音と共に青白い閃光が走った。


その後、場はシンと静まり返り、誰もが微動だにしなかった。それは襲い掛かってきた怪物も例外ではない。鋭い爪をデールの手前でピタリと止め動かなくなっていた。


「うるさいぞお前ら。大声で喚くな」


 帝国兵全員が言葉を失う中、デールはウンザリとした声でそう言った。


「ふん。これが例の化け物か。確かに、一般人では銃器を持っていても苦戦しそうだ」


 デールはしゃがんだままの姿勢で襲い掛かってきた怪物を見上げる。怪物は襲い掛かってきた体制のままピクリとも動かない。それもそのはず、怪物は立ったまま絶命していたのだ。


「さて、先を急ぐぞ。化け物の正体もわかった事だし、ターゲットもまだ生きているはずだ。もう少し進む速度を上げる」


 デールは立ち上がると、一人奥へと足早に進んで行ってしまった。部下達もそれに続く。


 一人の部下がデールの後を追う為、デールが殺した怪物の横を通り過ぎようとすると、肉が焦げるような匂いが鼻を突いた。その部下は思わず足を止め、直立不動で死んでいる怪物に目をやる。このような恐ろしい怪物を目もくれず瞬殺する自分の上官に、部下は改めて畏敬の念を抱いた。

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