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やさしい兄

そして、お城の侍女には、貴族の令嬢が行儀見習いとして、結婚するまでに半年から1年程度勤めることがある。


「当たり前だ。お前は知らないかもしれないが、女官というのも責任が重くて厳しい仕事なんだぞ。お前のような若い娘にすぐ務まるような仕事ではないんだ。」

ややあきれ顔になった父が言う。


「だって、学園を卒業して、侍女なんて、貴族令嬢のお決まりコースの一つじゃない?なんだか楽勝な仕事っぽいし、私は腰掛けで仕事しているように見られたくないんですけど…。」


「マリー、どんな仕事でも取り組み方が大切だよ。兄さまはマリーが真面目でたくさんの可能性を持っているってわかっている。だから、まずはどんな形でも一歩を踏み出してごらん。

その一歩が行きたい場所につながるかどうかはマリー次第だと思うよ。」

兄のルーカスはマリーと同じ若草色の瞳をやさしく細めて言った。


「お兄様ありがとう。」

兄のやさしい瞳は、過去世で自分を守りながら死んだ幼馴染の騎士に似ているとマリー思った。もっとも彼の瞳は茶色で少し寂しげな感じがあったが。


「では、お父様、侍女勤めでお願いします!そして侍女長に認められたら必ず!政務官見習いへの推薦状を書いてくださいね!」

「……わかった。ただし、しっかり1年間勤めて、侍女長に認められたら、という条件ははずさないからな。お城ではブランシェ家の令嬢としてふさわしい振る舞いを忘れないように……。」

「はぁ~い、もちろんです。」

瞳を輝かせ、頬を紅潮させる娘に対し、何とも言えない不安げな表情を浮かべる父であった。


そして、マリーがお城に上がる日は一か月後と決まった。


「マリー、お城に上がったらいそがしくて、しばらくはお前の好きな街歩きもできなくなるだろう。久しぶりに私と一緒に街へ出ないか?何か餞別のプレゼントも買ってあげよう。」

登城が一週間後に迫った天気の良い日にルーカスがマリーを街歩きに誘ってくれた。


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