大事な進路
〝華麗に活躍するんだったら、やっぱり王宮付の女官かしら?
でも配属されたところで、直接お仕えする王族の方が裏で意地悪だったりしたら苦労しちゃうかもしれないし…。そうするといっそ高級官僚を目指しちゃう?大臣は無理にしても大臣補佐とかになれたら最高よね。〟
マリーの立身出世の意欲は周囲の学友たちに比べれば、はるかに高いものだったので、授業にも試験にも真面目に取り組んだ。そのかいあって成績は常に学年で10番以内をキープしてはいた。
けれども、学園の卒業時に、国の政務官見習いとして配属してもらえる推薦をもらうには、学年で3番以内の成績が必要なのだった。
マリーはがんばった……しかし、卒業時の結局最終成績は7番だった…。
マリーのことを愛情深く育ててくれたあたたかい両親は、マリーについては、学園を卒業後、普通にお見合いをして普通に縁談をまとめ、普通に花嫁として送り出すものと思っている。
〝いっそ私が一人っ子だったら、お父様の後を継いで女伯爵にでもなって、ばりばり所領のために働いちゃうんだけどな~〟
マリーの国では男性の跡継ぎがいない場合は一代限りの女性領主は認められている。
けれどもマリーのブランシェ伯爵家には、マリーより5つ年上の兄・ルーカスがいて、跡継ぎに関しては何の問題もなかった。
〝政務官見習いとして政務部に入れるように、推薦状をお願いするしかないのかしら?〟
常識的な父が貴族令嬢の自分が政務官として働くことを許してくれるとは思えなかった。
諸外国から比べて、マリーの国では少しずつ女性の社会進出が進んできたものの、まだまだ男性と同じように活躍している女性は、役人の世界でも、商いの世界でも、学者の世界でもごく少数だった。
〝でも、これしか道はなさそうだし、当たってくだけろ!?かしらね〟