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ドキドキの始まりですか?

 「相手に与える影響については、現時点では不明です。今後検討していく必要があるでしょう。

しかし、悪いものではないと考えます。おそらくは、治癒力が促進されたり、心の安定がもたらされたりするなど、よい影響があるかと予測できます。」


「ということは、神官長の見立てでは、マリー嬢は人に害をなすことはなく、むしろ良き力を発揮する存在であるということでよいか?」


「はい。」


アルベールは更に質問を続けた。

「では、ドラゴンについてはどうだ?今回のドラゴンにも良い影響を及ぼし、コントロールできたということか?」


「ドラゴンについて私は専門外なので、判断が難しいのですが、コントロールというよりは、言霊の力で、異種間でも話が通じた…ということではないかと…。」


「この力が暴走するということはないのか?」


「この力は相手を操ったり破壊するようなものではなく、癒す方向にのみ使われる性質のようですので、ご懸念には及ばないでしょう。

おそらくは、神殿に伝わっている古の〝言霊の聖女さま〟のような力ではないでしょうか?」


〝聖女〟という言葉を聞き、マリーとカイルの瞳が見開かれた。


〝いやいや、聖女さま扱いはもう本当に勘弁して欲しいんですけど…!!〟

〝No More 聖女さま!!〟

 とマリーは口に出しそうになったが、危うくこらえた。


神官長の話を聞き、アルベールは満足した表情を浮かべ、マリーに向けてニヤリと笑った。

「だそうだ、マリー・ブランシェ伯爵令嬢。よかったな、これで王太子として、君の王宮での勤務の許可を出すことができる。

当然、今後は私の観察下におかれることにはなるがな。」

「え~!?だから!私はただの、単なる貴族令嬢なんですけど…。」


〝そんなわけあるかい!?〟

と、カイルがとっさに口をはさみたくなったが、こらえることができたのは日頃の騎士訓練の賜物であろう…。


 アルベールは更にニヤリとした笑みを深くした。

「君がそう言い続けることは、今のところは認めてあげよう。これからも私は君という謎に挑戦しつづけるだけだからね。」


 アルベールの碧玉の瞳がキラリと光った。


〝なんだかキザなセリフだけど、ハンサムな王子様が口にすると全く違和感がないわね…〟

喉の渇きを覚えたマリーはゴクゴクとすっかり冷めてしまった紅茶を飲んだ。


「王宮での勤務は、元々の予定通りに開始しよう。体の方も問題ないようだからね。」

というアルベールの言葉に

「はい…仰せのままに。」とマリーは答えた。


話が終わり、マリーは王太子ご一行を見送りに玄関まで向かった。

一行と一緒に階段を降り始めると、

〝太ももがっ…!〟

そう、大腿部の筋肉痛は、階段を降りるときに予想外の強さで襲ってくるのだ。

思うように足に力が入らず、マリーは階段を踏み外してしまった。


落ちる!と思った瞬間、斜め前で階段を降りていたカイルが振り向きマリーの肩を抱きとめてくれた。カイルの胸と両腕はクッションのようにマリーにかかる衝撃を和らげてくれる。

カイルの、柑橘系と森林の香りのブレンドのようなコロンがふわりと香った。


カイルのしっかりとした胸板と、腕の筋肉を感じ、マリーはすぐにカイルから離れた。


「ありがとうございます…。騎士様。」

マリーの頬が急に熱をもった。


「気をつけて。やっぱり君は目を離すと危ないね…。」

カイルがやさしく微笑んだ。

そして、その微笑みがマリーの目に入ると、マリーの胸はドキンと一つ大きく跳ねた。


マリーの王宮での勤務開始は5日後に迫っていた…。


次話でようやく主人公の王城勤務が始まります。

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