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書き途中のがあるのに、またあたらしいシナリオを書き始めてしまいました。

なんか途中でまた中断しそうな気がしますが飽きっぽいんで……とりあえずスミマセン。

血生臭い。

辺りは血に染まり、まだ血が乾かない冷たいコンクリートの上にはうめき声をあげるチンピラ。

なかには事切れているのもいる。

肩や腹にナイフで切り裂かれ、赤黒く変色していたりうめき声も相成って不気味さを増したその一角はまるで地獄絵図のようだ。

辺りを見回しまだ奥の方に人がいるのを確認した俺は倒れているチンピラに目を合わせないように奥へと歩き始めた。


「…た、助けてくれ。腹を刺されて、痛ぇんだ。」


まだ息のあるチンピラが俺に助けを求めた。

だが、俺は彼らを助けるために来たわけ無かったのでそのまま無視をする。

寧ろ逆で俺はこいつらに引導を渡すためここに来ている。

まあ、殺すために来たわけでもないため後で病院に連絡しようか。


「おい助けろよ。なあ、助けやがれ」


後ろから怒声が響き渡るが俺はこいつらに撃たれた挙げ句、大切な人を奪われているため多少罰の意味を込めて彼等を無視して歩き続けた。






血に染まったL字路を抜け、少し開けた場所に出た俺はここにきた理由であり従兄弟であるさかき 秋水しゅうすいを見つけた。

秋水は左手にチンピラの首に手を掛け、つり上げていた。

吊り上げられたチンピラは他のチンピラとは違い、明らかに急所のみ刺されているみたいで、当の本人は辛うじて息が有るように見えたがそう長くはないだろう。


「…秋水」


秋水はチンピラを投げ棄てゆっくりとこちらに顔を向ける。

秋水の顔はチンピラたちの血で赤く染まり、笑っていた。

しかし、その瞳には何も写しておらず笑い方もチンピラたちに対する優越感から笑っているのではなく、精神不安定からくるまるでシリアルキラーのような笑い方だった。


「あれ?もう来たのか咲。速いね。」

俺の一番嫌いな自分の名前を呼ばれ、腹立たしかったが秋水の顔が普通に戻っていることにとりあえず安堵する。


「ああ、お前のことが気になったんでね」

「ありがとう。心配してくれて。で、何しに来たのかい?」

「それはこちらの台詞だ。お前こそ何をしてるんだ」

「何って敵討ちだよ。雅の敵を取ったんだよ。 こいつらに殺された、ね」


また、あの壊れた嘲笑。

たとえ俺に向けられたもので無いと分かっていても背筋が凍り付く。余りの悪寒に声を出そうにも上手く出てくれない。

だけど俺は秋水に言いたいことがあった。

出てくれない声を無理矢理出そうとして、掠れて消え入りそうな声でそれを発した。


「何で……。秋水、お前は約束したじゃないか。絶対に殺さない、半殺しにして警察につきだすって」

「それは思い出したら腹がたったからさ。二週間前の雅が死んだときのことをね」


二週間前の月曜日。

それは俺の記憶に新しく自分の弱さを不甲斐なく思った日。

榊 秋水の妹であり俺の従姉妹でもあるさかき みやびが死んだ日。

今でも雅の最後の言葉が耳を離れない。


「その顔。思い出してるようだね。辛いだろう。痛いだろう。悲しいだろう。変わることのない楽しかった日々が理不尽にも破壊された、こんな雑魚に」

「だけど殺してはだめだ!。こんな奴らと同じになってしまう」

「きれいごとをどう言おうと咲の勝手だ。だけど他人に押し付けるのはあまり感心しない………っ!!」


急に秋水の表情が固まる。

秋水の視線は俺に……いや、その奥に向けられて……。

振り向いた先に居たのは先程の秋水に投げ棄てられた血だらけチンピラ。

そのチンピラは憎悪を込めた目で一瞥くれるとニヤリと笑う。もう一度お前の大切な人を奪ってやる……そう言いたそうな瞳を受け、でもその瞳は俺ではなく秋水に向けられていることを感じた。

秋水の大切な人……いったい誰が殺されるのか?


「…っ」


不意にチンピラが握っている物が目に入る。

鉄でできたL字型のそれ。

それはちょっと反ったL字型でスパイ映画でよくみる物だ。

ご丁寧にピンもチンピラの手に収まっている。


ゴロゴロ……


俺の足下に何か転がってきた。

転がってきたそれは緑色を基調とし、特徴的な丸い形。


「咲っ」


突如それは爆発し、発生した炎と衝撃は秋水の声を呑み込む。

爆発したのは手榴弾で、殺される秋水の大切な人は俺。

気付いた時にはもう遅く、秋水の声と同じように炎に呑み込まれて……


俺はこの世界から消えた。




まさかの手榴弾の爆発で残ったのは爆風に巻き込まれて死に絶えたチンピラや吹き飛んだビルや路地の破片。


「咲ぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」


そして額から血を流し、悲愴な叫び声をあげる榊 秋水だけだった。


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