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ランダム転生でダンジョンマスター!  作者: 犬養泳治
プロローグ
5/14

《分析》の可能性

 驚いたことにダンジョンマスターはダンジョン内なら移動は自由らしい。ついでに倉庫を使うのも一瞬だった。実際に目で見て、あれを《倉庫》に入れたいな、と思うだけで収納されたのだ。


《倉庫》

・ポーション×5 ・ポーションⅡ×1 ・布袋×3 ・革袋×3 ・大剣×4 ・ナイフ×1 ・魔法石×8 ・毛布×2


「コレ、イル?」


 ライカンスロープが革袋を差し出してきた。どうやら男の死体を引きずりながら来たらしい。差し出してきた革袋は黒骸騎士が切り裂いたものに似ていた。


「戦っているときは気付きませんでしたが、この革袋はアイテム袋だったのですね。中身を取り出しますか?」


「そのアイテム袋ってなに?」


「アイテム袋は……なんというか、主の《倉庫》の劣化版のようなものです。入れられる容量も、内部でどのように時間が経過するかも完全にピンきりですが、見た目よりも多く入って、内部は時間がゆっくり経過する袋の総称です」


 すっごいファンタジーだなぁと思いながら顔の前につき出されたアイテム袋を受け取る。中を覗き込むと、何も見えずにただただ真っ黒だった。


「これって手を入れないとダメ……?」


 袋を開けても完全に光が入っていない。その異質さが恐ろしくて躊躇していると、


「カセ」


 焦れたライカンスロープに引ったくられた。両手で持って軽く覗き込んでいたのに、気付けばアイテム袋はライカンスロープの左手にあった。

 どしゃ、と右手に引っ掻けていた男を手放し、そのまま袋の中に突っ込んだ。そして口を下に、底を上に、ひっくり返した状態にして右手を引き抜いた。

 大量の試験管のような形の瓶や透き通った青色の小石。袋なんかが一気に出てきた。剣が入っていない分、細々したものが多い気がする。


「一旦すべて、主の《倉庫》に入れて頂けますか?我々はこの死体をザライ殿にお渡ししてきます」



 ということで俺は、コアのある部屋に戻ってきた。

 ダンジョンメニューを開けばすぐに転移出来るのだから、本当に便利なスキルだ。ライカンスロープと黒骸騎士が来るまで少しかかるだろうから、《倉庫》に入れた物を《分析》で視ていようか。


 《倉庫》から取り出すのは簡単だった。取り出したい物を選択するだけ。手の中に出てきた。

 まずはポーションからだ。これはさっき1本だけ《分析》してポーションⅡというのが視えた。二人の分を合わせて未分析のものが15本ある。


《分析》

ポーションⅡ×9

ポーションⅢ×6


 初めに《分析》した分をいれると、ポーションは全部で16本だ。

 このまま魔法石というのも《分析》していく。魔法石は親指くらいの大きさの、透き通った青色をしている。ガラスみたいだがそれよりも重量がある。魔法石は20個ある。


《分析》

浄化×4 魔除け×6 通信×4 結界×6


「主、ザライ殿に死体をお渡ししました。どうすればよいでしょうか?」


 黒骸騎士から連絡が来る。姿が見えないのに急に声が聞こえるのは驚くな。


「こっちに来てくれ」


「了解しました」


 コアがある部屋にはダンジョンマスターとダンジョンマスターが許可した者だけが入れるようになっている。こうして毎回許可しなければ、黒骸騎士とライカンスロープは入ってこれないのだ。


「失礼します、主」


 黒骸騎士とライカンスロープが入ってきた。ライカンスロープは話すのが苦手なのか、もっぱら黒骸騎士が話している。


「とりあえず黒骸騎士、お前の武器がいるな。大剣とナイフしかないんだが、大剣で良いか?」


「もちろんです、主。感謝します」


 良かった。これで大剣は使えませんとか言われたら、どうしようもないからな。

 ロイのアイテム袋から出てきた大剣4本を地面に並べていく。


「どれが良いか選んでくれ」


「ふむ……」


 並べられた4本を、じっくりと眺めたり持ち上げたりしている。振っては下ろし、振っては持ち変えて、何度か持ち変えた1本で小さく頷いた。


「主、これにします」


 そう言って持ち上げた大剣は、4本のなかでずば抜けて大きな剣だった。持ち手は40cm以上、刃は1.5mはあるとにかく大きな剣だ。だが、その大きさを除けば特に特徴はない。装飾は無く、鈍い光沢を放つ両刃、光を吸収するかのように黒い刀身を持っている。


《分析》

アスカロン[A]

・要求ステータス Str500 Dex300

・+Str100 +ダメージ300


 うん? かなり詳しい情報が得られた。これまでは名前だけだったのに。

 ダンジョンブックと黒骸騎士からの情報、なにより《分析》を使って理由を調べた。


《分析》

分析Ⅱ

・対象についての観察時間、所有情報量で得られる情報が変動する。

・レベル上昇に伴い、必要量が減少する。


 ということだった。ついでにアスカロンの《分析》時に気になったことについても調べてみた。


アイテムランク

・アイテムにもランクが有り、I~Sまである。Sへいくほど良質なアイテムだということ。

・アスカロンは上から二つ目のAランク


要求ステータス

・アイテムやスキルを使用するときに必要となるステータス。

・このステータスが足りていないと、本来の半分程度の効果と、一部のステータスが減少する。


+ダメージ

・敵を攻撃時、HPを追加で値分削る。


 アスカロンはかなり良い武器のようだ。特に追加でHPを削るとか凶悪過ぎる。黒骸騎士のHPが1,500を越えたくらい。5、6回攻撃すれば死である。


 ブンブンとアスカロンを振り回している黒骸騎士を見ていると、ライカンスロープがこちらを見ていることに気付いた。


「オレモ、ナニカ、ホシイ」


 当然と言えば当然である。黒骸騎士だけが好きなものを貰って、ライカンスロープが貰えないではおかしいだろう。どちらもきちんと俺の命令通りにしてくれたのに。


「剣欲しいの?」


「イラナイ、カリ、シタイ」


 カリ? 仮、借り、駆り……


「主、恐らくは狩り、狩猟のことでは?」


「なるほど、狼だしな」


 でも狩りってどうすればいいんだろう? そういえばダンジョンの他の階で鹿とか熊とかのモンスターならいるけど……。少しならいいけど繰り返しだときついな。


「それならパントリーを強化するのはどうですか?」


「パントリーを強化? それっていったい、いやどうせなら《分析》で調べてみる」


《分析》

パントリー

・一定範囲を全てのモンスターが食べられる謎の餌が生成される空間に指定する。

・追加でDPを注ぐことで、餌を生き物に変更できる。


 なるほど、こういうことか。一度強化すれば、それ以上はDPも必要無さそうだし、これで良いだろうか?


「ソレデ、イイ」


「ゴブリンたちのパントリーも強化するのはどうでしょう? パントリーの生き物ではレベルは上がりませんが、倒す過程でスキルのレベルは上がると思います」


 良い考えだ。どうせならゴブリンたちも強くなって欲しい。

 ライカンスロープ用に隔離階層を用意しようか。


「パントリーだけでなく模擬戦や訓練も出来るでしょうね。でもそれでも場所は余ると思いますよ?」


 俺の生前の記憶に何かないだろうか。ボス部屋にザライを設置したように、唐突に思い付いたりしないものか。


「とりあえずいろいろやってみよう。お前たちのおかげでDPも増えたことだしな」

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