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ランダム転生でダンジョンマスター!  作者: 犬養泳治
折れず曲がらぬ風の刃
14/14

オーガ戦、リベンジ

 初めて2階層に潜った日の稼ぎは、これまでを遥かに上回るものだった。


ー4,380G


 更に丸1日をケビンのレベル上げに使った。


 今日はまた、オーガに挑戦する日だ。


《分析》

ケビン Lv19

HP 252

MP 300

Str 26

Def 25

Spe 46

Dex 47

Mag 60

剣術Ⅰ 水魔法Ⅱ 風魔法Ⅱ


 ステータス的にはオーガに劣らない。

 更に、


「ナオキさん、新しい剣を買ったんです。きちんと鋼が使われていて、装飾を抑えて値段を下げてありますが、商店の方がいうにはStr+8だそうです」


 そう言うケビンは両手で大切そうに一本の剣を持っていた。

 これまで使っていた剣と比べても、大きさにほとんど変化はないのに頑強なイメージを受ける。

 これから5日間は食費を減らさないと……と言うケビンに対して直樹は、


(ご飯に関してはダンジョンで適当に捕まえればいいんじゃないかな……。てか武器まで強化したらさすがに過剰じゃない?)


 これは、俺がダンジョン探索をゲーム感覚で、そしてこの世界の人々が本当に命懸けで向き合っているからこその認識の違いなのかもしれない。

 自分の命をかけているんだから、少しでも安全率を上げたいという思いと、少しでも多く稼ぎたいという思いが重なったのが、レベル上げと装備を充実させることなのかもしれない。

 しかもそれが、ステータスとして明確に現れるなら尚更だろう。


「慣らしでオークを2、3体狩った後、オーガに挑戦します。オーガを安定して狩れるようになったら、3階層に向かいましょう。きっと収入も増えるはずです」


 剣って高いもんね。

 しかもかなりまともな剣みたいだし、これまで使っていた物とは比べ物にならないくらいの値段がしただろう。


「オーガがスキルを使いだしたら、優位はかなり埋められると思った方がいい。ケビンはかなりSpeが高いみたいだから、始めから急所を狙ってなるべく早く倒そう」


「はい。今回も正面からいくつもりですが、オーガの動作自体はそれほど速くないのはわかっています。オーガのリーチと大きい手はなるべく距離を詰め続けることでそこまで脅威ではなくなるはずです。長くそうしていることは出来ないので、短期決戦しかありません」


 ケビンもいろいろ考えているようだ。


 2階層で剣の慣らしを行っている。


「問題は特に無いですね。大きさは同じようなものを選びましたし、最近レベルが上がってStrも伸びたお陰で、重さもほとんど違和感を感じません」


 そう言って、試し切りに消えていったオークの魔石を拾うケビン。

 レベルを上げ、剣を新調した彼にとって、少し前まで苦戦していたオークは相手ではなくなっていた。


「オーガを探しましょう。今度は勝ちます」



 見つけた。

 木々に遮られた視界の端から急に現れた。

 向こうも驚いたのか数瞬固まっていたが、ケビンが剣を構えると戦闘意識に切り替わったようだ。


「ガァァァアアアッ!」


 飛び掛かって腕を伸ばしてくる。

 オーガの大きな手のひらに捕まれば、そのStrもあって抜け出すのは簡単ではない。


 ケビンは敢えてオーガに近づき距離を変えることで捕まるのを回避し、その右腕の肘を斬りつけた。

 力を込めて伸ばした腕の関節を、内側から鉄の棒で殴り付けられ、それどころか切り裂かれた結果、その右腕は大きく外側へ跳ねられた。

 その開いた空間に体を入れることで残った左手からの攻撃を避けたケビンは、オーガの右肩に剣を突き立てた。


「ギァアアアアアッ!?」


 たまらず悲鳴を上げるオーガ。

 これでもう右腕は使い物にならないだろう。

 生物としての生存本能よりも人間を殺すことに比重をおきがちなモンスターは、たとえ腕の感覚が無くても振り回してでも攻撃してくる。

 肩から壊すことでそれを避けるのだ。


 近付いたケビンに噛み付こうとするオーガに対し、ケビンは動かない右腕の方に移動しオーガの腹部を斬りつけた。


 これが決定打になった。

 バックリと破れた横腹から血と共に()()がこぼれ落ちていく。

 それでも無理矢理ケビンの方に体をひねったとたん、一気に血が吹き出し地面に倒れ伏した。

 ケビンは警戒しながらオーガの足の方に回り、何度か足裏を突いたり削ったりして様子を見る。

 完全に死んだことを確認し、ケビンは大きく息を吐いた。


「かなり、上手くいきました。力勝負になっても、多分押し切れると思います」


 ケビンは刃に付いた血を拭いながら話す。

 その合間に何度も確認するように手を握ったり開いたりしている。

 この間戦ったときは完全に負けていたのだ。

 その成長具合は、端から見ていて恐ろしい。


「3階層へ向かいましょう。その間に出会ったモンスターを狩っていくということで」


 やけに進みたがるな……?

 まあ、新しい剣をもっと使いたい&お金を稼がなくちゃならないんだからこんなものか。


「3階層のモンスターについては知ってる?」


「はい。接近戦を得意とする『ラフベア』。罠を張り、頭上から襲い来る『ビックスパイダー』。助走距離が長いほど突進威力が増す『チャージディア』の三種類ですね。警戒範囲が一気に増え、難易度も上がると聞いています」


 それだけじゃない。

 3階層は『森』。基本的に斜面になっていて、足場に気を付けないと踏ん張りが利かずに体が流れるだろう。


「そういえばこの剣を買ったときに聞いたんですが、このダンジョン、『スライムの穴』って呼ばれ出しているみたいですね」


 ふと思い出したようにケビンが話す。


「それってやっぱり、このそこらじゅうにいるスライムから来てる?」


「そうですね。スライムって基本的に1階層にいるかいないかって感じらしくて、このダンジョンみたいにどこまで潜ってもいるのは相当珍しいみたいです」


 それはなぁ、俺もここまで大量のスライムを放つつもりは無かったんだよ。

 全てはザライのせいだ。

 1,250体のスライムの集合体は、はじめの方に来た侵入者を吸収させたお陰で50体くらい増殖して、余剰に買っていた分も合わせると300体になった。

 それは1階層に放ってたんだけど、あいつら勝手に階層を移動し始めたんだよ。

 なんでも密集し過ぎると、餌が無くなるからってことで、離れようとするらしい。

 あいつら地面の草とかモンスターの食べ残しとかを食べるから別に大丈夫だと思うんだけど。ダンジョンの草木はすぐに再生するし。

 でも習性ならしょうがないから、1~3階層まで広がったのまでは良かったんだよ。

 でも気付いたら、作りかけの9階層や10階層までスライムがいた。


ザライ スライム(1,283)

HP 12,830

MP 0

Str 1

Def 1

Spe 1

Dex 1

Mag 1

再生Ⅲ 溶解Ⅵ 吸収Ⅵ 増殖Ⅳ 不壊(ふかい)Ⅰ 共有Ⅰ 鉄身(てっしん)Ⅰ 


 なんかザライ、地味に増えてるんだよね、HP(合体数)とスキルが。

 これ、どうやらダンジョンの壁を溶かして吸収した結果らしい。


《分析》

ダンジョンの壁

HP 1,000,000

不壊Ⅴ 自己修復Ⅴ


 ダンジョンの壁を削ってスキルレベルが上がる。

 吸収していると増殖が可能になる。

 でもボス部屋に隙間は無いから増殖した端からダンジョンを昇りだす。

 少し出来た隙間に増殖したスライムを入れてだんだんとボス部屋を広げている。←now!


 その結果、どこに目を向けてもスライムがいるダンジョンが出来上がったわけだ。


 スライムの穴、納得です。

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