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……ップしました》
《スキル:石化無効を取得しました》
え?何か聞こえた気がした。
意識を取り戻した俺が周りを見回すと、そこは自分の城の宝物庫だった。
「何がどうなったんだ……?」
その問に答える者はいない。
宝物庫を出た。廊下は静まり返っていて誰の気配もない。
「セバスチャーン!」
セバスチャンを呼んでみたが、来ない。
いつも呼べばすぐ来るはずなのに、何故来ないんだ?
「おーい!誰か居ないのかー!?」
行ったことのある部屋を見て回り、最後に玄関まで来てみたがやはり誰もいない。
今の状況が全く分からない。
ズズーン!
南の方から地響きのような低い音が聞こえた。
何か手がかりがあるかもしれない!南に向かって走る。
最南端の門まで来ると門は壊されていた。
そこでよく知る者達の顔を発見した。
アンナ、ルネ、マルク君だ。
だが、どうやら声をかけられる状況ではなさそうだ。
何故ならデーモンや魔物の大群と戦っているから。
まずは敵を無力化すべきだろう。
壊れかけの外壁の上に立ち、ステータス弱化の装備を全て外す。
魔力操作で5000個の魔力塊を生み出す。
「ブラストカッター!」
強烈な風の刃が5000個発生し、周辺の敵を全て八つ裂きにした。
周辺に魔物の気配がないことを確認して地面に降りる。
「コメットさん!!」
「リーダー!」
「コ、コメットさんが動いてる!」
「皆さんお待たせしました。この状況は……!」
状況について聞こうと思ったが、3人が抱きついてきたので何も聞けなくなってしまった。
少しして3人が落ち着いてから話を聞く。
「コメットさんは、国境の要塞で石化の術を受けて石になってしまったんです」
「普通の石化じゃない。薬も回復魔法も効かなかった」
アンナが説明し、ルネが補足説明する。
「それで、石化したコメットさんをハティが咥えて逃げて来たので、ヴァリアスまで運んだんです」
「あれからもう半年経った」
「コメットさんが居ない半年間でエディア共和国のほとんどの都市は帝国に壊されました」
「え!?シャトラインや首都ロートスも?」
「はい、街は壊されました。ですが、住民はこのヴァリアスに避難しました。この場所はドラゴンさん達やセバスチャンさん達に守られていたので安全なのです」
「なるほど、それでさっきは戦っていたというわけですね?」
「はい」
帝国め、俺が居ない間に好き勝手やってくれたようだ。
「状況がやっと理解できました。それでは準備をしたら反撃に出ます」
少し疲れた様子の3人に一通りの神聖魔法をかけてあげる。
「ハイヒール、リカバー、ディスペル、プロテクション、マジックレジスト」
「3人はここを守っていて下さい。俺は敵を排除してきます」
「分かりました。絶対に無事に戻って来てください」
その言葉に頷くと、外壁に沿って敵の気配がする方向に走った。




