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 次の日、目を覚ますと疲れは取れていたが、少し寝不足でボーっとしていたい気分だった。


少しボーっとしていると脳が覚醒して少しスッキリした。


 パーティの皆はレベルアップ出来たかな?


 武器を渡しておきたいけど、どこに行ったのか分からないんだよね。


 こんな時、情報収集を専門とする部隊が居ると便利なんだけどなぁ。


 そういえば、使用人達はシャトライン兵との戦いの時、結構強そうな感じがしていたことを思い出した。


「セバスチャーン!」


「はい、コメット様」


「使用人達って情報収集とか出来る?」


「勿論でございます」


「そうだったんだ。じゃあ、俺のパーティの皆が今どこに居るかわかる?」


「はい、既に把握しております。コメット様の大事な従魔であるハティもおりますからな」


「さすがセバスチャン、話が早いね。それで場所はどこ?」


「つい昨日までシルバーアンデッド墓地におりました。本日はヴァリアスに向かっているところのようです」


 そうか、無事にレベル上げは終わったようで良かった。


「じゃあ、今日はゆっくり休んでもらって、明日城に来てもらうように伝えておいてくれ」


「畏まりました」


「また、調べてほしいことがあったら使用人にお願いしてもいいかい?」


「勿論です。コメット様の為ならば、どんなことでも完遂するでしょう」


 俺が知らない内にセバスチャンは恐ろしい部隊を作り上げていたようだ。


 まさか、俺のことも監視しているのか……!?


 見られていると思うと、あまりアホなことが出来なくなってしまうじゃないか!


「分かった、その時は頼むよ。俺はちょっと試したいことがあるから、工房に行くよ」


「いってらっしゃいませ」


 ふう、セバスチャンは出来る男過ぎて、俺が少しでもミスしたら失望されそうで恐い。


 まぁ、そんなこと考えても仕方がない。


 今はただやりたいことをやるとしよう。


 そう、今やりたいのはずばり大規模農業である。


 何故そうなったかというと、死霊魔法のおかげで技術的に可能となったからである。


 今までは、エンジンなどの動力源がない為、どうしてもゴブリンキングなどの労働力に任せてしまっていた。


 いくら魔物でも、疲労は溜まっていく。


 しかし、アンデッドであるスケルトンならば、無限の体力で働き続けることが出来るはずだ。


 まずは、エンジンを作ろう。


 鋼鉄を使ってエンジンの箱を作る。箱の中には小型の自転車を並べる。自転車を漕ぐのは小型のスケルトン達だ。


「クリエイトアンデッド」

「クリエイトアンデッド」

「クリエイトアンデッド」


 そのスケルトン達を動力源として、エンジンに通したクランクシャフトを回転させる。


 スケルトンは素材をスパルトイの骨粉にすることで強力な出力を出すことが出来る。


 小型のスパルトイと言っても過言ではない。


 一番難しいのは小型の自転車だったが、簡素化を繰り返しなんとか作成出来た。


 スケルトンエンジンが出来上がったので、簡単な耕運機を作ってみた。


 何も耕していない場所で動かしてみると、物凄い速度で耕すことが出来た。


 これは素晴らしい!トラクターなんて作ったらもっと楽しいだろうな。


「うひょおお!もっと速度を!ケイデンスを上げろ!」


 畑候補として整地してあった土地は、数時間で全て耕されたのであった。



 あまりに楽しくなって、全て耕してしまった。


 耕運機はいくつか作成し、オークキングに託した。


 耕運機を使うオークキングの姿はとてもシュールだ。


 耕運機が作れるなら自動車も作れそうだけど、この世界にはまだ早すぎる技術だし、動力源がアンデッドっていうのも問題あるし、やめておこう。


 もう日が暮れてしまった。思ったよりも時間が過ぎてしまった。


 明日に備えて今日は早めに寝てしまおう。



 翌日、部屋をノックする音で目が覚めた。予定よりも長く寝てしまっていたようだ。


「んー、どうぞ」


 少しの寝ぼけながら返事をすると


「おはようございます。コメット様のパーティの皆様が応接室でお待ちです」


「ふぁ〜、ああ、分かったよ。顔を洗って準備したら行くから少し待ってもらってくれ」


「畏まりました。皆様にはそうお伝えします」


 セバスチャンは背筋の良い姿勢で部屋を出て行った。


 こちらは顔を洗って、着替えて、3人分の武器を持って応接室に向かった。本当は耕運機も持っていって小一時間自慢したいところだけど我慢した。


「おはようございます。すみません、寝てました」


 3人に付いていったハティが走り寄ってきたので頭を撫でて肩に乗せる。


「おはようございます。コメットさんが寝坊なんて珍しいですね」


「アンナさん、コメットさんに対して寝坊だなんて恐れ多いですよ!ガクガクブルブル……!」


 マルク君は俺のことを恐がっているのだろうか?


「リーダー、それなに?」


 ルネが俺の持つ袋を指差して言う。


「ふふーん!これこそ今回皆さんを呼んだ理由なんです!」


 袋から全ての武器を取り出してテーブルに並べる。


「「「おおー!」」」


「この片手剣と盾がアンナ用。片手剣は俺のプロテウスと同じ素材で作ってあります。盾はロックドラゴンの鱗です。物理、魔法攻撃に対する耐性が高いです」


「凄い……こんなに素晴らしい武器を貰っていいんですか?」


「はい、気にせず貰ってください」


 アンナは嬉しそうに剣と盾を受け取った。


「次はルネの杖、この杖は周囲の魔力を吸収して貯め込む性質があります。その状態で魔法を使うと10倍の威力になります。」


「ありがと」


 ルネは無表情だけど、どことなく嬉しそうに見える。


「マルク君の短剣は一番苦労しましたよ。ストームドラゴンの牙で作った短剣で、速度向上の効果があるんです。2振りで効果は2倍です」


「あびばどうございばず!」


 マルク君、何故号泣している?


 3人に武器を渡し終えて、一通り説明を終わると、セバスチャンが部屋に入ってきた。


「コメット様、冒険者ギルド長のガルググ様がお見えになりました。急用とのことです」


「この部屋に呼んでくれ」


「畏まりました」


 セバスチャンが出ていき、数分後に息を切らしたギルド長がやってきた。


「大変だコメット様!」

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