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共和国の反応を待っている間、暇なので何をしよう?
あ、パーティの皆の武器を新しくしないと敵が強すぎてレベル上げが出来ないんだっけ?
アンナは片手剣と盾の装備だ。剣はプロテウスの片手剣バージョンでいいか。盾はロックドラゴンの鱗で作るとしよう。
ルネには魔力を集める特性の魔隕鉄と魔力を貯め込む魔リグナムバイタの素材で新しい杖を作ろう。
マルク君の武器は短剣の二刀だけど、素早さが上がる効果が欲しいと思う。
だが、風属性の素材が足りない。風竜は別の大陸の一番高い山に居るらしい。
よし、テイムしに行こうか!
久しぶりに全力で走ろうと思う。
解呪の御札を使用する。ステータスを10分の1にするサンプソンの指輪と同じ効果を持つ弱化のネックレスを外す。
これだけステータスが高いと空気を蹴る事が出来る。
本気で走ると地上にダメージを与える可能性が高いので空中を走る事にする。
「せーのっ!」
掛け声と同時に上空3000メートルまで上がる。
空気を蹴って西に進む。今居る大陸はパンディア大陸と呼ばれているらしい。
今向かっているのは未知の大陸である。人が居るかどうかも怪しい。
空気を何度も蹴ることでどんどん加速していく。
今なんか音速を超えたらしき衝撃があったが構わず加速し続ける。
今マッハ4くらいだろうか?
2時間ほど飛び続けると次の大陸が見えた。
次に一番高そうな山を探す。
自分の飛んでいる高さよりもきっと高い山だろう。
鷹の目スキルで強化された視力で探し続けること1時間が経過した。
あった!きっとあの山だ。高さ8000メートルはありそうな山がそびえ立っていた。
イエティの事を思い出し、少し憂鬱になったが対策として隠遁のローブを装備して山頂付近に降り立つ。
こんな寒い場所に居るのは風竜じゃなくて氷竜なんじゃないのかと思ったりもしたが、風も十分強いことに気付いた。
隠遁のローブは脱いでおく。代わりにアースドラゴンマントを装備する。
「おーい!竜は居ませんかー!?」
自分が竜だったら絶対こんな質問に返事はしないだろうな。と思う問いかけをする。
「ブォオオオオオオオオ」
低い笛の音のようなものが聞こえる。
その音が段々と大きくなり、上空から聞こえていることに気がついた。
「上か!」
上を見上げると幅25メートルはありそうな翼を広げたドラゴンがこちらを睨んでいた。
ドラゴンの頭には角があり、角に穴が開いている為、風が通り抜けると「ブオオオオ」という音が鳴っているようだ。
「鑑定」
【ストームドラゴン】
LV:300
HP:48000
MP:30000
STR:300
VIT:100
DEX:200
AGI:1800
INT:200
LUK:100
スキル:風魔法7 大旋風
伝説の古龍の一種。風魔法を吸収する風の結界を纏っている。
今までのドラゴンの中でも最強だ。
だが、今の俺のステータスは通常の100倍だ。全く問題はないだろう。
ストームドラゴンは正気を失っているのか何も話すこともなく襲いかかってきた。
「ブオオオオオオ」
笛の音が鳴り響き、目の前に巨大なトルネードが発生した。
トルネードをあえて受けてみた。体がぐるぐる回って浮いていく。少し楽しい。
まぁ、低レベルの冒険者がこんなの食らったらバラバラになってしまうんだろうけど。
トルネードが収まって、地面に着地する。
「次は何をするのかな?」
期待した目でストームドラゴンを見る。
「ブオオオオオオオオオオ」
さっきより長い笛の音が聞こえる。
ストームドラゴンの前方に空気が圧縮された玉が出来上がる。どんどん空気が圧縮されていく。
キイイイイイインというジェット機のような音が聞こえる。
真空の刃を無数に振りまく凶悪な玉が完成したようだ。
その玉がこちらに撃ち出される。
やっぱりこの技もあえて受けてみよう。
両手で玉を受ける。
無数の真空刃で腕や体が切りつけられる。
しかし、全くの無傷。俺の防御力を突き抜けることはできなかったようだ。
アースドラゴンの防具は傷だらけになってしまったので魔力を常時流して修復させる。
よし、ストームドラゴンの実力はなんとなく分かったので目的の物をまず貰う。
素早く近づき手刀で牙を2本折る。
次にテイムすることにする。
「仲間にな〜れ!」
ストームドラゴンにデコピンする。
たったそれだけでストームドラゴンは気絶した。
やっぱり、ステータスが高すぎるな。デコピンでも下手をすると殺してしまいそうだ。
「ハイヒール」
ハイヒールのおかげで折った牙は元通りになった。もう何本か貰っておこうかな……。
しばらくするとストームドラゴンが目を覚ました。
「おはよう、俺の言葉分かる?」
「妾を従魔としたのはお主か?」
「そうだ、俺はコメット。今後ともよろしく!」
「コメット殿か、よろしく頼む」
「じゃあ、俺の領地ヴァリアスに帰ろう、付いてきてくれ」
「ちょっと待つのじゃ。ここにある秘宝を持っていかんのか?」
「秘宝?」
見回すと古びた箱が置かれていた。
「貰っていいのか?」
「妾はもうここを守る必要がなくなった。秘宝はコメット殿のものじゃ」
「分かった。ありがたく貰っていく」
吹雪がひどいので箱は開けずにそのまま持って帰ることにした。
「この箱持ってってもらえる?」
「妾の体に括りつけるがよい」
ストームドラゴンの首に紐を通して箱を固定する。
「ありがとう。じゃあ、行こう」
来た時と同じように領地の方角に飛ぶ。今回は速度は控えめにする。
「コメット殿は空を飛べるんじゃな」
「まぁね」
その後、1日かけてゆっくりと帰宅した。
試行錯誤の末、3人の武器は無事に完成した。
マルク君の武器はストームドラゴンの牙を使って速度上昇効果のある2振りの短剣が出来た。
今度、3人が戻ってきたら武器を渡そうと思う。
ストームドラゴンの住居(神殿)は既に作成済みだ。帰宅してから最初に作ったのだ。
「妾の家はないのか?」と怒り出したから、本当に急いで最高品質で作りましたとも。
ちなみにストームドラゴンの秘宝は宝物庫に入れておいた。中身を見るのは楽しみとして取っておく事にした。
元老院の使者はそろそろ訪れるだろうか。




