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洞窟内は時間感覚が狂うが、朝になったようだ。
ルネが一番早く起きてきた。
「リーダーおはよう」
「おはようございます。体調はどうですか?」
「……お腹空いた」
「昨日焼いた肉を温めますから、待っていてください」
「……」
焚き火で温めたオークジェネラルの串焼きは一晩経っても美味しそうだ。
「どうぞ」
「ありがと。昨日はごめんなさい」
「いいですよ。魔術師たる者、誰でも魔道書を見つけたら読みたくなるものです。そして読んでしまったら試さずにはいられない」
「あの後、どうなったの?」
「巨大な骸骨が現れたので倒しました。骨粉は回収済みです。死霊魔法を骨粉にかけないでくださいね。肥料にしたいので」
「もう死霊魔法は使いません」
「いやいや、死霊魔法を捨てるなんてとんでもない。もっと練習すべきですよ」
「いいの?」
「いいですよ。俺も死霊魔法は鍛錬するつもりです」
「じゃあ、練習する」
「次回は1体分の骨に死霊魔法を使ってみるといいですよ」
「分かった」
そんな事を話していると他の2人が起きた。2人にも串焼きを渡す。
「おはようございます。今日は次の階層に進みます」
「分かりました。頑張ります!」
「僕はまだここの階層がいいなぁ」
「マルク君、決定事項です。諦めてください」
食事を済ませて、野営の片付けをした後、下の階層に進む階段へ向かう。
階段の前で一旦立ち止まる。
「俺が先に下の様子を見てきます。皆はここで待っていてください」
「分かりました」
頷く3人に背を向けて階段を降りる。
階段の先には既に3体の魔物が彷徨いている。
「鑑定」
【シルバースケルトン】
LV:70
HP:10000
MP:2000
STR:200
VIT:140
DEX:100
AGI:100
INT:70
LUK:30
スキル:強撃
スケルトンが進化した姿。骨が金属でコーティングされており、物理・魔法への耐性が高い。
【シルバースケルトンアーチャー】
LV:75
HP:9000
MP:3000
STR:70
VIT:140
DEX:200
AGI:100
INT:70
LUK:60
スキル:急所狙い
スケルトンアーチャーが進化した姿。骨が金属でコーティングされており、物理・魔法への耐性が高い。
2体のシルバースケルトンと1体のシルバースケルトンアーチャーのようだ。
気配を消して階段を戻る。
「シルバースケルトンとシルバースケルトンアーチャーが居ました。シルバースケルトンから倒してください」
「「「はい!(ワン!)」」」
先頭で階段を降りると、手を叩いて注目させる。
俺が攻撃すると下手すると倒してしまう。でも、敵のターゲットはこちらに向いてほしい。
あ、あれがいいかもしれない!魔法大学のダンジョンボスから手に入れた【呪われし宝珠】だったか。
魔力を流して相手に呪いがかけられるはずだ。そうすれば程良い継続ダメージでヘイトが稼げそうだ。
【呪われし宝珠】に魔力を込めるとシルバースケルトンに呪いがかかった。
同じ要領で全ての敵に呪いをかけた。
スケルトン達は一定時間でビクンビクンしている。継続ダメージが効いているね。
「1体ずつ集中攻撃してください!」
3人とも慣れた連携攻撃で1体ずつ確実に倒していく。
最後に残ったアーチャーは弓を破壊して安全に倒せた。
この階層でもマルク君方式の敵寄せで狩り続ける。
このペースでレベル上げをすればすぐにLV100程度にはなるだろう。
LV100は冒険者が生涯をかけてやっと到達できる頂点と言われているそうだ。
この場所の敵が特別に経験値を貯め込んでいたのだろうか。
「敵もほとんど見なくなりましたね。皆はレベルいくつになりました?」
「3人ともLV83になりました」
「そういえば、コメットさんってレベルいくつなんですか?」
「たしかに、気になる」
なんてこった!ついにその質問をされてしまったか。
嘘をつくのも悪いし、何て答えたらいいのだろう。こうなったら正直に言うしかないか。
「実はLV65535なんだ」
「リーダーそのギャグつまらない」
「そんなに隠したい事なんですか?」
「僕はコメットさんのこと見損ないました」
どうしてこうなった。
「まぁ、レベルが全てではないですよ。スキルや戦術で覆されたりしますからね」
そろそろこの階層ではレベルが上がりにくくなってきたようだ。
次の階層に進むことにしよう。




