069
次の日、シャトライン冒険者ギルド前で全員集合してから説明を行った。
「……というわけで、今日からパワーレベリングをします!」
「「お、おー!」」
驚異的な魔物討伐数によって3人は既に銀級に昇格している。
「アンナには俺が作ったシルバーロングソードをあげます」
「あ、ありがとうございます」
「マルク君にはシルバーダガーを2振りあげます」
「ありがとうございます」
「ルネには新しい魔法を教えましょう」
「ありがと」
「場所はシルバーアンデッド墓地です」
「えっ!冒険者ギルドで初心者は絶対に行くなって言われている場所ですよ!?」
「大丈夫です。俺が敵の攻撃を全部弾くので。さぁ、早く現地に行きたいのでハティに乗って下さい。ハティ!巨大化してくれ」
「ウオォーーーーン!」
巨大化したハティに3人を乗せる。
そしてシルバーアンデッド墓地へ走る。
歩いて3日間かかるが、ハティの速度に合わせて走り続けて2時間で到着した。
「は、速すぎる……おえっ」
マルク君、酔ってしまうとは情けない。
「少し休憩したら行きましょう。ここはちょっと雰囲気が悪いですからね」
周囲は霧に覆われ薄暗い。シルバーアンデッド墓地と呼ばれる場所は洞窟となっており、両脇に趣味の悪いドクロのモニュメントが置かれている。
マルク君は気分が悪いらしく青ざめているが、この雰囲気も苦手なようでダブルパンチを受けているようだ。
「さて、出発しましょう!」
「「おー!(ぉ〜)」」
洞窟に入ると、更に暗い。
コメットは目が良い為、そこまで苦労しないのだが他の3人は全く見えないようだ。
敵から発見されやすくなるが仕方がない。
「ファイア」
コメットは頭上に火魔法を発生させ続けることで明かりとして利用した。
一般的には貴重な魔力をこんな事には使わないが、膨大な魔力を持つコメットだからこそ出来る力技である。
「リーダーは非常識」
ルネが何か言っているが気にしない。
「コメットさん、ありがとうございます!」
アンナは素直でよろしい。
「多分、もう少ししたら敵が寄って来ます。戦闘準備をしてください」
「ひいぃぃ!」
「マルク君の悲鳴に魔物が反応したようです!来ました!」
カタカタと音を鳴らしながらスケルトンが3体現れる。
鑑定してみる。
【スケルトン】
LV:20
HP:2500
MP:1
STR:60
VIT:40
DEX:40
AGI:30
INT:3
LUK:10
スキル:なし
一度死んだ者が白骨化し甦った魔物。関節が弱い。
筋肉がないせいか、カクカクとぎこちない動きで近寄ってくる。
スケルトンの手にはショートソードが握られている。囲まれれば銀級冒険者には脅威だ。
コメットは魔法剣プロテウスを二刀モードにして両方にロックドラゴンの牙をセットした。
コメットはスケルトンのショートソードを剣で迎え打つ。
カィン!
スケルトンのショートソードはアッサリと折れるというか斬れてしまった。
「うわっ!」
斬れた刃先が飛んできて逆に危ない。
「初めて使ったけど、切れ味がヤバいな」
スケルトンは剣が無くなったことも構わずに突撃してくる。
「3人とも攻撃開始!」
「えいっ!」
「ひいっ!」
アンナが敵の足を切り飛ばして転ばせる。
マルク君が攻撃を巧みに回避し、関節を斬りつける。
コメットが最後の骨を蹴って1箇所に集める。
「火の力よ 爆散せよ ファイアボール!」
ルネの魔法でスケルトン達は一掃された。
「良い連携ですねぇ。これならどんどん進められそうです。あ、討伐証明部位は顎の骨ですから拾ってください」
パワーレベリングの始まりである。
手順はこうだ。
1. ルネがマルク君を後ろから驚かせる。
2. すると、マルク君は情けない声で叫ぶ。
3. 敵が集まってくる。
4. 倒す。
これを繰り返すだけであら不思議、レベルが上がってしまうという。
デメリットとしてはマルク君の喉がダメージを負ってしまうことだけである。
「ハイヒール!」
マルク君の喉にハイヒールをかけてあげる。
これで永久機関(笑)の出来上がりである。
3時間後、迷宮の様に入り組んだ道を進み続けた結果、下の階への階段が現れた。
下に降りると早速魔物が見えた。
あれはたしか、スケルトンナイトだったな。
スケルトンナイト2体と見たことがない骨が1体居る。
「鑑定」
【スパルトイ】
LV:60
HP:9500
MP:3000
STR:100
VIT:100
DEX:100
AGI:100
INT:50
LUK:90
スキル:死剣
竜の歯から生まれた骸骨戦士。竜牙兵とも呼ばれる。
これは強いな。間違いなく3人には荷が重い。
だが、俺が攻撃を全て受ければなんとか倒せそうだ。
「皆聞いてください。あの剣を持っているのがスケルトンナイトでLV50です。1体しかいない黒い骨がスパルトイでLV60です」
「「!?」」
驚き息を呑む3人。
「でも、俺が全ての攻撃を受けるので大丈夫です。3人は俺に攻撃が当たってもいいので攻撃し続けて下さい」
「魔法もいいの?」
ルネが尋ねる。
「もちろん、魔法も気にせずバンバン撃ってください。じゃあ、いいですか?行きますよ!」
スケルトンナイトの剣をプロテウスで切り落とす。
まずは弱い方から無力化したほうが後が楽なのだ。
スパルトイがこちらに気付いたがもう遅い。こちらはもうスパルトイに剣が届く距離だ。
スパルトイが持つ槍を切り刻む。
武器がなくなった骨達はもう素手でぐるぐるパンチをするしかない。
「ハティそこの1体は頼んだ!」
「ワン!」
1体のスケルトンナイトはハティに任せる。
攻撃を避けているとマルク君の銀球の投擲が来た。
銀球はスケルトンナイトに当たり大ダメージを与えたようだ。当たった箇所がボロボロと崩れている。
アンナもシルバーロングソードで同じスケルトンナイトを斬りつける。
ルネはファイアアローで攻撃する。
俺は敵の攻撃も味方の攻撃も回避しつつ敵の注意をひく。
しばらくすると残りはスパルトイだけになった。
同じやり方でスパルトイも難なく倒せた。
マルク君方式のパワーレベリングをここでも行った。
3人のレベルは通常ではありえない速度で上がったようだ。
「レベルはいくつになりました?」
「みんなLV55になりました!」
優秀な壁役と特化武器があれば、これだけのレベリングが出来るということが分かった。
「よーし、この階層で敵が全滅するまで狩りましょう!」
「「「おー!(ワン!)」」」




