065
コメットのパーティの集合場所は冒険者ギルド前である。
「こんにち「ワン!」」
「こんにちは〜コメットさん、ハティちゃん」
「こんにちは」
アンナとルネは既に待っていた。
「2人とも昨日のスライムの核は納品しました?」
「はい、数が多かったので驚かれました!」
「リーダー、お願いがある」
ルネが深刻そうな顔をしている。
「ん?」
「ボクに魔法を教えてほしい」
「ああ、いいですよ。元々そのつもりでしたし」
深刻な表情から嬉しそうな顔に変わった。
「ありがとう」
「それくらいいいですよ。何せ俺は魔法大学の特別顧問ですから」
「魔法を教えてくれるのは嬉しいけど、嘘はよくない」
また嘘だと思われた。悲しい。
「ところで、マルク君は来ないんでしょうか?」
「アンナ達がここに来てからは見てないよ」
「とりあえず待とうか」
10分ほど待つと泣きながら走ってくるマルク君。
ジャンピング土下座をしながら、遅れた理由を話し出した。
「ずびばぜんでしだー!お金がなくて装備が買えなくて狩りに行くのに武器すらもないんでずー!なんとかお金を作ろうとしたけど無理でじだ……」
「なんだ、マルク君の武器ならここに作ってありますよ」
そう言ってマルク君用に作った短剣を2振りを見せる。
「ええええええ!!」
「マルク君は多分回避の能力が高いから、盗賊職の方向に進んだほうが強くなれそうだと思ってね」
「ありがとうございまず!一生ついていきばす!」
ハンカチと短剣2振りを渡す。
「ボク達の武器もリーダーが作った」
「そ、そうなんだ。強そうな杖だね」
立ち直ったマルクを連れて、ゴブリンが住む森へ向かう。
ちなみにマルクのパーティ登録は昨日の内に済ませてある。
ゴブリンの気配がする場所はもう分かっているので、少し手前で止まる。
「ここに1匹ずつ連れて来るので、まずはアンナが倒してみてください」
「分かりました」
片手剣を持ち、盾を構えるアンナ。
「ハティ、ゴブリンを1匹だけ追い立ててくれ」
「ウォン!」
勇ましく吠えたハティは走って行き、3分後森の奥から1匹のゴブリンがこちらに走ってきた。
「はっ!」
後ろに気を取られているゴブリンに対してほぼ不意打ちの形でアンナの剣撃が決まった。
「グギャアアア!」
袈裟斬りにされたゴブリンは瀕死の状態だ。
「えい!」
次の一撃でゴブリンの首は落とされた。
討伐証明部位の耳を切り取って回収するアンナ。魔石の取り方も教える。
「ゴブリンが相手でも問題なさそうですね」
ハティにはアンナが合図したら1匹連れてくるように指示しておいた。
「しばらくアンナ1人でゴブリンを狩っていてください」
「分かりました!」
次はルネだ。
「よし、じゃあルネに魔法を教えますね」
ルネは頷き、魔力感知に集中する。
「火の力よ ファイア」
詠唱有りで魔法を見せる。目の前で火が生まれる。
「魔法感知で魔力の動きが見えましたか?」
「うん、なんとなく……」
「じゃあ、やってみてください」
ルネは集中して、魔力を操作していく。
だが、魔力が塊になりきる前に発動しようとしてしまう。
「火の力よ ファイア」
物凄く小さな火が出た。
「ルネ、魔力が集まる前に発動したせいで小さな火になったのです。魔力をしっかり集めてもう一度やってみてください」
ルネは頷いて、魔力を手のひらに集める。
十分集まったところで魔法を発動する。
「火の力よ ファイア」
今度は大きな火が出た。
「成功です!」
「ありがと」
「じゃあ、次はファイアアローです」
同様に魔力を集めて、詠唱する。
「火の力よ 敵を貫け ファイアアロー」
火の矢が生まれて前方に飛んでいく。
ルネも真似をする。
「火の力よ 敵を貫け ファイアアロー」
無事、火の矢が生まれて飛んでいった。
「おめでとうございます。あとはスキルのレベルを上げてください」
あとは森で火魔法を使うのは危険なので、ウィンドカッターを教えた。
ルネにはしばらく練習した後、ゴブリン退治に合流するように指示した。
ところでマルクは何をしていたかというと、スライムに対して石を投擲して核を壊すという修行をしてもらっている。
「ひいい〜!当たらないよ〜!」
今は苦戦しているけど、すぐに投擲のレベルが上がってスライムも倒せるようになると思う。
さて、スライムとゴブリンを集める作業に入ろうかな。
5時間後、大量の魔石とゴブリンの耳、スライムの核が集まった。
「皆、お疲れ様。今日の狩りは終了です。ギルドに戻りましょう」
「「はい!(ワン!)」」
よく見ると、マルク君が居ない。
「おーい!マルク君ー!」
「ここでーす。助けてくださーい」
遠くから、声が聞こえる。
声のするほうに歩いていくとそこには
スライムまみれのマルク君が居た。
若干溶かされている気がする。服が溶けてボロボロになっている。
「マルク君、スライムに負けてしまったんですか……」
スライムの核をつまみ上げて割ってやると、マルク君に絡みついているスライムはドロっと地面に流れた。
「ありがどうございばず!」
ボロボロで泣きながら感謝してくるマルク君。
「無事(?)で良かったですよ」
「マルク君、大丈夫ですか?」
「マルク、カッコ悪い……」
アンナとルネが声をかけている。ルネは精神攻撃するのはやめようね。
「でも、その格好じゃ街に入れないかもしれないな」
いつも裁縫のレベル上げ用に持っている布を使って簡単な上下の服を作る。
「早っ!しかも上手です!」
「リーダー、何者……?」
「マルク君、これを着てください」
「何から何まで貰ってしまってすみません」
「さあ、帰って今日の稼ぎを分配しましょう」
今日はスライム50匹、ゴブリン120匹、魔石120個だった。
合計で77銀貨となった。3人に25銀貨ずつ渡した。残りの2銀貨をコメットが貰う。
「コメットさんは聖人ですか?」
「いいえ、そんなんじゃないですよ」
お金はセバスチャンが勝手に増やしてくれるから不要なだけである。むしろ使い切れないから困っている。
「レベルはどれくらい上がりました?」
「アンナはLV10になりました!」
「ボクは9」
「僕はまだLV5です」
「皆、順調みたいですね。明日も頑張りましょう!」
「「「はい!(ワン!)」」」




