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 翌日、冒険者ギルドに行くとアンナが居た。


「おはようございます」


「おはようございます。コメットさん、昨日はありがとうございました。お母さんの体調はすっかり良くなりました」


「それは良かった。パーティとしての活動はどうします?」


「元々お金は必要だったので、冒険者も続ける予定です。パーティも出来れば続けたいです」


「分かりました。それでは今日から依頼を受けていくことにします」


「頑張ります!」


 アンナが気合を入れるポーズをしている。


「ところで、レベルはいくつですか?」


「え〜っと……1です」


 アンナは膝から崩れ落ちた。リアクションが大きい。


 アンナを助け起こしてあげる。


「分かりました。最初は簡単な依頼でレベル上げをしましょう」


 たしか、ゴブリンなんかの低級な魔物は依頼を受けなくても討伐証明部位を持っていけば依頼達成だったな。


 歩き出そうとすると、いつの間にか目の前にはルネが居た。


「ボクもパーティメンバー」


「そうですね。ルネも一緒に行きましょう。ちなみにレベルは?」


 ルネは少しもじもじした後、答えた。


「1」


 それを聞いたアンナが何故か膝から崩れ落ちた。


「何故アンナが崩れ落ちる!?アンナの事じゃないから!」


 またアンナを助け起こして冒険者ギルドを出た。


「今から低級の魔物を倒してレベル上げをしようと思います。まずはお互いに冒険者登録証に書いた得意武器とスキルを教えてください」


「ボクは魔力感知と魔力操作」


 何故か胸を張って答えるルネ。


「アンナは、特になし。です」


「なるほど、一応俺も言っておきます。格闘、剣、短剣、槍、弓、斧、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、闇魔法、あと書かれてないですが神聖魔法です」


「……嘘」


「嘘はよくありませんよ」


 何故か信じてもらえなかった。


「まぁ、本題に戻そう。ルネは後衛でアンナは前衛を目指す方針でいいですか?」


 こくりと頷く2人。


「2人は何か武器は持ってますか?」


 今度は首を振る2人。シンクロ率が凄い。


「じゃあ、適当に作ってあげますね」


「えっ!?」


「作れるんですか?」


「はい、じゃあ少し待っていてください」


 ダッシュで自宅に戻る。


 ルネの杖の材料は魔リグナムバイタでいいか。


 魔力を込めると重くなるから、出来るだけ小さく細く作る。ハ○ーポッターの杖のようになった。


 アンナの武器はオーソドックスに片手剣でいいか。素材は硬度が高いウルツァイトにしよう。


 あとはラウンドシールドも作っておくか。


 今まで出番のなかった魔スギを使って表面はウルツァイトでコーティングしたラウンドシールドを作成した。


 ダッシュでシャトラインに戻る。


「あ!コメットさん!突然走り去るからどうしようかと思ってたんですよ!」


 アンナが怒っている。ルネもなんとなく頬を膨らませているような?


「ごめん、これを作って来ました。どうぞ」


 ルネに杖を、アンナに剣と盾を渡した。


「なんだか、普通に買ったら高そう気がするんですけど」


「この杖凄い……」


「では出発!」


「「おー!」」


 シャトラインは割と大きな街だ。大きな街の周辺は魔物はほとんど居ない。


「2人とも、狩りたい魔物とか意見があれば聞きますよ」


「ドラゴン……」


 ルネが何か言っているが聞かなかったことにする。


「冒険者ギルドの受付のお姉さんはスライムがおすすめって言ってました」


 スライム!ファンタジーといえばスライムだというのに会ったことが無かった!


「そうですか!じゃあ、スライムにしましょう。スライムはどの辺りに居るんです?」


「ジメッとした森に居ると聞きました」


「では、森に行きましょう」



 1時間ほど歩いて森に着いた。


 少し歩くと気配察知に反応があった。


「あっちに魔物が居るみたいです。行ってみましょう」


 気配のある方向に走るとそこにはゼリーのような球体。しかも群れだ。


「スライム……」


 ルネが呟いた。


 これが、夢にまで見たスライム!


「これがスライム!初めて見ました。どうやって倒すのでしょう?」


「核を壊す」


 ルネが倒し方を知っていたようだ。


「なるほど。ではアンナ、剣で倒してみて下さい」


「分かりました。やってみますね」


 アンナが剣を振りかぶる。


「えーい!」


 スライムの核が一刀両断された。


 なかなか筋が良い。


「倒すのは問題なさそうですね。じゃあ、次はルネ」


「魔法使えないけど」


「その杖に魔力操作で魔力を通してみて」


「うん」


「これで杖の硬度が増してスライムの核くらいなら砕けるはず。やってみてください」


「……本当だ」


 ルネが無言でスライムの核を叩き割った。


「スライムならソロでも倒せそうなので、各自で狩りましょう。ちなみに討伐証明部位は?」


「核」


「じゃあ、壊れた核も回収してください。はいスタート!ハティも手伝ってくれ!」


 アンナとルネのレベリングがスタートした。


 コメットとハティは周辺を走り回り、スライムを捕獲して2人の近くに置く。


 2人はスライムを倒して核を回収する。


 その作業を繰り返した。


「もうそろそろ帰ろう」


 森は日が暮れ始めるとすぐに真っ暗になる。それを考慮して早めに終了する。


 帰りながら2人のレベルを確認する。


「2人ともLVはいくつになりました?」


「アンナはLV5になりました!」


「ボクもLV5」


「いい感じに上がりましたね。明日はゴブリンでも狩りましょう」


「「はい!」」


 少し歩くと


「ぎゃー!誰か助けてー!」


 誰かが助けを呼ぶ声が聞こえた。


 これだ!これを待ってたんだ!


 作戦はこうである。


 1. 助けを求めている冒険者を助ける


 2.パーティメンバーに勧誘する


 3.パーティが増える


 とても簡単ですね。


「絶対助けに行きましょう!」


 そう言って走り出す。


 すぐに木々の隙間から助けを求める人が見えた。


「助けに来ましたよ!」


 その場に飛び込むと涙目の青年がホブゴブリンに襲われているところだった。


 青年は膝がガクガク震え、涙と鼻水を垂れ流しているが、ホブゴブリンの攻撃をギリギリ回避している。


 すぐ助ける予定だったが、見入ってしまった。


「コメットさん助けないんですか?」


 アンナの言葉にハッと我に返る。


「ファイアアロー」


 ホブゴブリンは火の矢に貫かれ全身が炎に包まれる。


「無詠唱……?」


 後ろからルネの呟きが聞こえるが、今はこちらが先決だ。


「大丈夫ですか?」


「僕生きてる!生きてる!僕!」


 大事なことなので2回言ったのだろうか。


「もうすぐ夕暮れです。まずは森から出ましょう」


「あ、うん、そうだね」


 歩きながら話を聞く。


「それで、どうしてあんなことに?」


「先日、冒険者になったんだ。でも、どこのパーティも入れてくれず、生活費も底をついてしまったので、魔物を狩りに来たんです」


「君のレベルは知らないけれど、無謀な事をしてしまったようですね」


「はい、今は後悔しています……」


「俺はコメットです。パーティメンバーを募集しているんですが、入りませんか?」


「僕はマルクです。僕なんかが入ってもいいんですか?」


「はい、他の2人も今朝までレベル1でした」


「入れてくれるのでしたら是非、よろしくお願いします!」


「こちらこそ、よろしくお願いします。こっちがアンナ、そっちがルネです」


「アンナです!よろしくお願いします」


「ルネ、よろしく」


「マルクです。よろしくお願いします!」


 パーティメンバーを増やすことが出来た。


 明日からは引き続きレベル上げだ!

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