061
現在、冒険者風の人達の後ろを尾行中。
もちろん、隠遁のローブを着ている状態だ。ハティもローブの中に隠している。
何組かの冒険者達を見て一番強そうな人達についていく事にした。
「待ってよーライモンド!」
神官のような服装の女が小走りで先頭を歩く剣士風の男、ライモンドに追いつく。
「ソニアが遅すぎるんだ。これじゃあ夕暮れまでに戻ってこれないぞ。この森で野宿したいのか?」
「野宿は絶対に嫌だからね!オリバーもそう思うでしょ?」
オリバーと呼ばれた大剣を背負う大柄な男は答える。
「俺は野宿でも構わん」
「えー!」
「あっしは野宿は嫌ですぜ」
「さすがサビーノもっと言ってやってよ」
盗賊風の男はサビーノのという名前のようだ。
「お前らが何と言おうが、依頼を達成するまでは帰らないぞ。嫌ならさっさとジャイアントビーの巣を見つけろ」
目的はジャイアントビーの巣のようだ。ハチミツでも採るのかな?
ライモンド一行は森を進んでいく。
そこに熊に似た魔獣が現れた。
こっそり鑑定。
【オウルベア】
LV:30
HP:4700
MP:3000
STR:100
VIT:40
DEX:40
AGI:10
INT:70
LUK:30
スキル:風魔法3 爪攻撃
頭はフクロウ、体は熊の姿をした魔獣。巨体だが素早く、凶暴だが賢い。
「オウルベアだ!散開しろ!いつも通り俺が囮をする!オリバー合わせろ!サビーノは毒を頼む!」
ソニアは後衛のようだ。なかなか連携が取れていていいパーティのようだ。
オウルベアが風魔法を放つ。
ライモンドはそれをラウンドシールドで弾く。
ライモンドが片手剣で斬りかかる。注意を引く為か正面から頭を狙っている。
オウルベアは風魔法で迎撃しようとした、その時
「フォ!?」
両脇に大剣と毒の短剣が刺さっていた。
オウルベアは驚き、混乱して暴れたが、次第に弱り力尽きた。
「ふう、みんな怪我はないよな?もしあったらソニアに見てもらえ」
「あっしは大丈夫です」
「……」
寡黙な男オリバーは既にオウルベアの魔石と皮を剥いでいる。
5分後。
「よし、巣探しを再開するぞ」
ジャイアントビーの巣探しに戻ったようだ。
しばらく歩くとジャイアントビーを発見した。
「いたぞ。バレないように尾行だ」
ジャイアントビーを追いかけて行くとジャイアントビーの巣を見つけた。
ジャイアントビーの大きさが約30センチある。巣の大きさは直径12メートルはありそうだ。
「あったぞ。煙で燻して大人しくさせよう」
蜂に煙が効く理由は、蜂は煙のにおいを嗅いだ瞬間、山火事が起きたと思い込み、本能的に命の危険を感じるからと言われている。
こんなに大きな巣に煙が効くのだろうか?
冒険者達は悪戦苦闘しながらも火を起こし煙を発生させている。
しかし、巣から出てくる蜂は全く弱っていない。元気いっぱいだ。
「ねえ、ライモンド。ライモンドってば!」
「なんだソニア、口よりも手を動かせ!」
「周りを囲まれてる気がするんだけど……」
ライモンドは焚き火へと向けていた視線をガバッと起こす。
「こ、これはマズいぞ!オリバーを先頭にして逃げろー!俺が殿を務める!」
「分かった!」
オリバーが走り始める。
ライモンドは襲い来るジャイアントビーを斬り払い、盾でガードしながら後退する。
この状況で無事に逃げられている時点で、さすがは熟練の冒険者と言えるだろう。
逃げていく冒険者達をコメットは見送った。冒険者に対する興味よりもハチミツに対する興味が勝ったからである。
「ハティ、ハチミツ欲しいかい?」
「ワン!」
「そうか、欲しいか。どうやって蜂を追い出すかなぁ」
さっきの冒険者達は巣の出入口よりも遠くで焚き火を行い煙を出していた。
もっと出入口の近くで煙を出すことが出来れば上手くいくはずだ。
まず、青々とした葉っぱがついた枝を持ってくる。枯れていない葉のほうが煙が出るのである。
次に土魔法でジャイアントビーの巣の出入口まで階段を作る。
出入口付近で火魔法を使い葉っぱに火を付ける。風魔法も併用して巣の中に煙を送り込む。
弱った蜂がポトポトと落ちてくる。
蜂は危険なので大きめの袋に入れておく。大きめの袋はいつでも持つようにしている。
しばらくすると、女王蜂らしき大きめの蜂が出てきた。
女王蜂を見て良い事を閃いた。テイムすればいつでもハチミツ食べ放題じゃないか。
女王蜂は意識も朦朧としていたので仲間になーれビンタで意識を取り戻させた。
後は巣を貰うだけである。巣は傷つけずに入口付近のハチミツをビンに詰める。
さっきの冒険者達が少し可哀想に思えたので、必要なだけハチミツを採ったら巣は分けてあげようと思う。
「よし!ハティ行くぞ!」
地面のハチミツを舐めていたハティを呼び戻す。
冒険者達が逃げた方向に走っていくと、座って休憩中の彼らを見つけた。
「こんにち「ワン!」」
「犬を肩に乗せて挨拶に合わせて犬が吠える芸をする変人……まさかあんたシャトラインで噂の変人ミスリル級冒険者か?」
ライモンドが答える。
そんな噂が広まっているのか……。
「いいえ、違います」
「え!違うのか!?」
「はい、きっと別人です」
「そうなのか……?」
「そんなことより、蜂の巣はいらんかえ〜?」
「いらんかえ!?ああ、たしかに俺達はジャイアントビーの巣を探してたんだ。そいつを売ってくれるのか?」
「いいですよ。金貨1枚でどうですか?」
「安っ!安すぎて怪しい。偽物を売りつける気か?」
「安さには理由があります。肩に犬を乗せたミスリル級冒険者は良い奴だと噂を広めてください。決して変人ではない、と」
「なるほど、そういうことか。まぁ、それくらいならいいだろう。その話、乗った!」
ガッチリと握手をする。手には金貨1枚が渡されていた。
少し離れた場所に置いてある蜂の巣まで案内する。
「うわっ!ジャイアントクイーンビーだ!」
「きゃああああああ!」
巣の近くで休憩させていたテイム済みの女王蜂に驚いたようだ。
「テイムしてあるから大丈夫ですよ」
「ま、マジかよ……ジャイアントクイーンビーをテイムするなんて聞いたことないぞ」
「これから自宅に帰って、巣を作らせればハチミツが食べ放題になる予定なんです」
「そりゃすごいな!絶対真似出来ねぇけどさ」
「それじゃあ、巣をどうぞ。ハチミツもたっぷり残っていると思いますよ」
「おう、ありがとよ。じゃあな」
「またどこかで」
4人で協力して巣を運んで行くのを見送って、コメットは自宅に帰った。
「ジャイアントクイーンビーさん、名前が長いからハチ子さんでいいか」
ハチ子が頷いたように見えた。
「ハチ子さん、早速だけどまた巣を作ってほしい。壁の内側だったらどこでもいいから」
仮死状態だったジャイアントビー達をヒールで回復してやる。
「ハチ子さんの子供達も元気にしたから、ハチミツ集めをよろしく!」
ハチ子が再度頷き、ジャイアントビー達と共に飛んで行った。
「セバスチャーーン!」
「何か御用でしょうか?」
呼べばどこにでも来るそれがセバスチャン。
「ジャイアントクイーンビーのハチ子をテイムしてハチミツを作らせているから、販売はお願いするよ」
「畏まりました」
ハチミツはこれでオーケーだ。
街も見て回ったし、次は何をしようかな?新プロテウスでも作ろうかな。




