051 閑話1 白亜紀の思い出
とある白亜紀の日、コメットはウィルソンとぶらり2人旅をしていた。ちなみにウィルソンとはテイムした小型の恐竜である。
広い盆地にたどり着いた時に、見たこともないほど大きな恐竜がいた。
あまりに大きい為、近づいても足元は見えていないのではないかと思える。
大きさを例えるなら、マンションの4階にちょうど恐竜の頭が来るのではなかろうか。
「鑑定」
【ティタノサウルス】
LV:4000
HP:530000
MP:1
STR:1000
VIT:30000
DEX:1000
AGI:1000
INT:1000
LUK:2000
スキル:踏みつけ のしかかり
全長21メートル。その名はギリシア神話の巨神、「ティーターン」に由来する。背中に皮骨からなる装甲を持っている。
VIT:30000ってめちゃくちゃ防御力が高いな!
こいつの戦闘力、じゃなくてHPは53万……だと……!
鑑定結果にもあるように、たしかに背中の広範囲に装甲が見える。
飛行タイプの恐竜から身を守る為の装甲なのだろうか?
とても興味深い恐竜である。
そして思ってしまった。背中に乗ってみたいと。
「ティタノサウルスいいなぁー!」
出来れば仲良くなって、一緒に旅をするのもいいかもしれない。
基本的に熱帯雨林のジャングルをかき分けて旅をしなければならないのだ。
地面を歩くよりも大きな恐竜に乗せてもらったほうが快適だと思ってしまうのは無理もないだろう。
「行くぞ!ウィルソン!あの恐竜をテイムしよう」
「キュイ!」
近づくとティタノサウルスが歩く度に震度5はありそうな揺れが起こっている。
迫力が凄すぎる。21メートルの巨大ロボが動いているようなものだ。ガン○ムが18メートルらしいのでそれよりも大きい。
テイムするには大好物で仲良くなるか、強力な攻撃で意識を奪って無理やりテイムする方法がある。今回はどちらにしようかな。
仲良くなりたいので、最初は大好物を用意してみようと思う。
ティタノサウルスは基本的に高所の木の葉を食べている。きっとそれが好物のはずだ。
ティタノサウルスが食べている木を鑑定してみる。
「鑑定」
【メタセコイア】
ヒノキ科またはスギ科のメタセコイア属の落葉樹。樹高は生長すると高さ30メートル、直径1.5メートルになる。秋に赤茶色に紅葉した後、落葉する。
20メートルほどジャンプして枝ごと葉を採取する。
次にティタノサウルスに葉を与えなければならないのだが、頭の位置が高くて難しい。ウィルソンを肩に乗せてティタノサウルスの背中に飛び乗る。
そのまま走ってティタノサウルスの頭に登る。途中で俺たちに気付いたティタノサウルスは頭を振り払う。
何も掴まる部分がない為、簡単に落とされてしまった。
思ったよりも難しいな。餌作戦はやめて武力行使で行くしかないか。
そうと決まれば次の作戦に移るわけだが、攻撃で意識を刈り取る必要がある。
よくやるのは脳を揺らして気絶させる方法だ。
しかし、ティタノサウルスの脳の位置は高すぎて、よじ登ろうとした場合、先程のように簡単に振り落とされてしまうだろう。
こうなったらジャンプして直接殴るしかなさそうだ。
「よしウィルソン!お前はティタノサウルスの背中で気を引いてくれ!俺は正面からジャンプして殴る!」
「キュイ!」
ウィルソンをティタノサウルスの背中に降ろす。ウィルソンは鳴き声で気を引きながら、ティタノサウルスの背中を走り回る。
ティタノサウルスはウィルソンに気付き、頭を大きく振っている。
「よくやった!ウィルソン!」
その振りに合わせてカウンターの右フックをお見舞いする。
「仲間にな〜れ!」
さすがにダメージが通ったようで、ティタノサウルスは気絶し倒れてしまった。
無事に仲間にすることが出来たようだ。
数ヶ月後、ティタノサウルスの背中にクッションや家具やハンモックを設置し、優雅で快適な旅をするコメットの姿があった。




