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2ヶ月後、魔法大学に戻ることにした。並列魔法や他の魔法のレベルは上がらなかった。代わりにセバスチャンから闇魔法を教えてもらった。
魔法大学に戻る前にやるべき事をやっておこう。
近場でオークの群れを殲滅してオーク肉を手に入れた。ゴブリン達に差し入れる為だ。
オークジェネラルをテイムしたので自宅の警備員にしようかな。教育はセバスチャンに任せることにする。
あとは、うーん、意外とやることは少ないな。セバスチャンが全部やってくれてるから助かるね。
コメットは走って魔法大学に戻った。
受付には相変わらずベルさん。
「ベルさん、お久しぶりです」
「コメット様、おかえりなさいませ。ファルダ様やザングドア学長が何度も探してましたよ」
「そうなんですか?ずっと外で鍛錬をしていたので何も知りませんでした。部屋で準備をしたらファルダさんのところに行ってみますね」
「はい、ファルダ様を見かけたらそう伝えておきますね」
「よろしくお願いします」
自分の部屋810号室に行き、風呂に入る。さっぱりしてからファルダさんの905号室に向かう。
呼び鈴を鳴らす。少し待つとファルダさんが出てくる。
「おお、生きていたかコメット君!」
「最初の挨拶がそれですかファルダさん」
「いや、突然姿を消したから暗殺されたという噂まで流れたんだ。先ほどの挨拶も仕方がないことだろう?」
「何も言わずに出て行ったのは申し訳ないです。俺を探していたとベルさんから聞いたのですが、何かありましたか?」
「まぁ、中に入りなさい。ここで話すような内容でもないのでね」
ファルダさんの部屋はいつも通りの森だ。森の中にテーブルと椅子がある。2人とも椅子に座ったところでファルダさんが話し始めた。
「実は君を狙っていた連中が誰なのか分かったんだ」
「え!本当ですか!?」
「犯人はギグルラというトカゲ獣人だ。だが、黒幕は別に居る。彼女だけで行える規模じゃないからね」
「ふむふむ、なるほど」
「いくつかの証拠と共に彼女を問い詰めたが、黙秘して何も口を割らなかった」
「そうですか」
「推測だが、君自身の力を利用する為に誘拐を企てているんじゃないかと思っている」
「誘拐ですか〜面倒ですね」
「コ、コメット君は冷静だね。君は狙われている状況なのだよ?」
「ええ、理解してます。多分なんとかなりますよ!」
「そうか。でも、何か困ったときは頼ってくれたまえ」
「分かりました。ありがとうございます。学長にも大丈夫ですとお伝え下さい」
コメットはそう言って席を立つ。
「ああ、分かった」
「では、これにて失礼します」
ファルダさんの部屋を出てたところで誰かの視線と気配を察知する。
もうお出ましですか〜。
自室で魔道書を読んでいたかったのに!
このイライラはぶつけさせて貰おうかな!?
さて、それでは人気の無い薄暗がりの場所へ行こう。
20階の会議室に行く。そこでしばらく待っていると、5人の仮面の方達が入ってくる。そして最後にトカゲ獣人の女魔術師ギグルラも入ってくる。
「私達を誘い込んだのは間違いよ。あなたはここで捕らえられて、私達に協力することになるわ。あなたの意思など関係なくね!」
仮面全員が詠唱を始める。
「アハハ!ビビって魔法の詠唱すら出来ないのね!それじゃ、おやすみなさい」
コメットの体に色々な魔法がかけられる。闇魔法に水魔法など、状態異常系の魔法が多いようだ。キラキラとコメットが輝くようにも見える。
「おおー、キレイだなー!」
「は!?なんで!?」
「さて、なんでだろうね!」
仕込杖イチの刀を抜いて斬撃を飛ばす。斬撃は仮面達全員に当たった。
バタバタと気絶する仮面達。ギグルラは驚きで声も出ないようだ。
「さてと、お前に指示した奴は誰だ?」
「はん!言うわけがないじゃないか!」
「本当にいいんだな?どうなっても知らないぞ」
30分後、ガチガチという音がする。
「もう許して下さい。本当に知らないんですー!」
体が氷漬けになったギグルラがガチガチと震えている。
トカゲは変温動物である。変温動物とは、外部の温度により体温が変化する動物のことをさす。
トカゲ獣人は寒さに弱いのではと試してみたが、ここまで弱いとは思わなかった。拷問はしたくなかったので、ある意味助かった!
でも、黒幕は分からなかった。こんな感じで襲撃者を捕縛していけば最後にボスが出てくるはずだ。
コメットは自分の計画に満足げに頷いて、捕縛した者達を連行して行くのだった。




