039
1年間のノルマを達成したコメットは、しばらくのんびりした。
そして、最近自宅に帰っていないことに気づいた。そうだ、自宅に帰ろう。5ヶ月ぶりくらいかな?
魔法大学を出て、2時間ほど走ると自宅(?)に着いた。
なぜ疑問系なのかというと、見た目が全く変わっていたからである。
まず寝るだけだった小さな家が、なんということでしょう。匠の技によって城に変わっているではありませんか。本当になんということ……?
そして、倉庫も数倍の大きさになりAm○zon倉庫のような大きさに。
畑も拡張されすぎて地平線が見える。あれ?買った土地より広くない?まずくない?
「ただいま」
「おかえりなさいませ。コメット様」
「セバスチャン、調子はどう?」
「順調でございます。生産した野菜や家畜を売ることで利益が出ております。コメット様から預かった資産は土地の購入にも使いましたが、元の10倍以上に増えております」
「え、渡した10白金貨が100白金貨になったってこと?」
「はい、家畜の品種改良によって良質な肉を安定生産しております。ブランド化にも成功し、貴族からの注文も増えております」
「品種改良成功したのか」
「はい、それにこの土地の土は魔力も豊富でして、美味しさもありますが、錬金術の素材にもなるようで、高く売れるのです」
うーん、安く売って人口増やして技術革新を図ろうとしたんだけど、まぁいいか。
思った以上にセバスチャンは有能なヴァンパイアロードだった。
「さすがセバスチャン。褒美として、俺の血を少しだけ分けてやろう」
コップに血を入れて渡してやる。
「なんと、コメット様の血を分けていただけるとは。私の魂が朽ち果てるまで忠誠を誓います」
「頼りにしているよ」
セバスチャンが血を飲むと体が光りだす。
《従魔がヴァンパイアデュークに進化しました》
進化してしまった。血が欲しいって言ってたからあげただけなのに。鑑定してみる。
【ヴァンパイアデューク】
LV:500
HP:81500
MP:76400
STR:600
VIT:300
DEX:300
AGI:1000
INT:2000
LUK:300
スキル:闇魔法6
生命の根源である血を吸い、栄養源とする不死の存在。ヴァンパイアロードの進化した種族。光を克服した。聖属性攻撃に弱い。
以前はLV100だったのにLV500になってる!
「セバスチャン大丈夫?御主人のこと覚えてる?襲ってきたりしないよね?」
しばらく無言で俯いていたセバスチャンが顔を上げる。
「まるで生まれ変わったかのような最高の気分です。コメット様ありがとうございました」
いつもよりテンションが上がっているセバスチャンが少し怖いので逃げることにする。
「じゃあ、俺はゴブリン達を見てくるから!」
小走りで立ち去るコメットであった。
ゴブリンキングの様子を見に行く。すごく真面目に働いている。今度、オーク肉でも差し入れようかな。今は邪魔しちゃ悪いのでそっと隠遁のローブを装備した。
しばらくは自宅で並列魔法の鍛錬をしよう。農具はもう十分な在庫があるから、セバスチャンに何が欲しいか聞いてみよう。
「セバスチャン、今から並列魔法の鍛錬の為に農具とかを作ろうと思うんだけど、何が欲しい?武器以外で」
「それでしたら鋼鉄のインゴットでお願いします。よく売れそうですので」
この時、セバスチャンは魔法大学で鋼鉄の需要が高まっていることを知っていたのだ。恐るべしセバスチャン情報網。
それならまずは鉱石関係を掘って来なきゃいけない。鋼鉄を作るなら木炭も必要だ。炭窯で木炭を作り始めておく。
次に坑道に降りていき、東に掘り進める。以前ワイバーンを討伐したデヴィック鉱山の近くまで掘る。
その後は斜め下に掘り進めながらブランチマイニングを行う。ミスリル鉱石がザクザク出てくる。十分な量が取れた。
ミスリルは今必要じゃないが、採れるなら採っておきたいという貧乏性な部分が出てしまった。
自宅まで戻るとセバスチャンに指示する。
「この坑道を東に進むとデヴィック鉱山の近くまで続いているんだけど、鉄鉱石やミスリル鉱石が採れるからゴブリンキングに採掘させといて」
「畏まりました」
坑道の中は換気が必要だ。自分が居れば風魔法で換気出来るが、ゴブリンキングには出来ないだろうな。
まずは扇風機を作ろう。鋼鉄でプロペラと歯車とラチェットとボールベアリングと筐体を作成した。
大きめの扇風機(手動式)が完成した。取っ手をぐるぐる回せばプロペラが回って風が生まれる。それを坑道の入口に設置しておく。
坑道の奥に空気穴も開けておく、人や魔物が入り込まないように穴は小さくしておく。
ふう、やっと本題の並列魔法の鍛錬だ!
コメットは満足するまで鍛錬を続けた。




