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そもそも、この世界の杖をちゃんと見たことが無い事に気付いた。
まずは武器屋で調査だということでやって参りましたシャトラインの武器防具屋。
「こんにちはー」
「……らっしゃい」
いつ来ても安心の無愛想だな。
杖のコーナーを見る。やはり素材が木の物が多い。
こっそり鑑定。
【エントの杖】
樹木を守る木の牧人であるエントの枝を使った杖。土魔法の威力が上がる。
なるほど、魔物の枝を使うこともあるのか。
もう一つ鑑定。
【ウムドレビの杖】
猛毒を周囲にまき、樹液も猛毒であるウムドレビを素材にした杖。毒耐性の高いヒュドラの革で持ち手を保護している。
この杖は近接戦闘も考慮しているっぽいな。
いくつかの杖を見て帰宅した。続きは明日にする。
翌朝、木を探す旅に出る。場所は、コメットが目覚めた場所。隕石が落ちた中心地に行ってみることにした。
あの場所は魔力が多く、植物や魔物の生命力が強いと感じた。
もしかしたら良質な素材を手に入れられる。
空中を飛んで最短距離で行く。片道2時間で行けた。
鑑定しながら歩く。
【魔スギの枝】
魔力を多く含んだスギの木の枝。常緑針葉樹。風魔法に対して耐性がある。
使い道は思いつかないが、魔スギを1本ゲットしておく。
何か魔力を感じる石を見つけた。
鑑定。
【魔隕鉄】
魔力を多量に含む隕石の欠片。周囲の魔力を集める能力がある。どんな属性とも親和性が高い。非常に希少。
鑑定。
【魔リグナムバイタ】
魔力を大量に含み、非常に硬く重い木。魔力を貯め込む性質と魔力をよく通す性質がある。魔力を貯めるほど硬く重くなる。
これは良さそうだ。決定!
同じ素材を出来るだけ集めて帰宅した。
「コメット3分クッキング!皆さま、こんにちは。今日は杖を作っていきたいと思います」
「魔リグナムバイタと魔隕鉄とミスリル鉱石を用意してください」
「魔リグナムバイタを杖の形に整えます。次は魔隕鉄を球体にし研磨します。ミスリル鉱石は鍛造で刀にします」
「こちらに各自出来上がったものが用意してありますので、それを組み立てて完成です!」
「仕込杖イチと名付けよう鑑定」
【仕込杖イチ】
周囲から魔力を吸収し、より硬く重くなる。全ての属性魔法の威力が10倍になる。刀として使用すると吸魔の斬撃を飛ばすことが出来る。
これはなかなか凄い物が出来た気がする。素材の組み合わせが良かったな。
よし、これで無事に約束の日に間に合った。




