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 ――第一王子の刺客である隠密魔法部隊が退却してから2週間が経過した。プライドの高い第一王子がこのまま引き下がるとは到底思えない。そろそろ何か仕掛けて来るだろうと思っていた。そして、その為の準備も完璧に整えていた。


『マスター、多数の侵入者です。人数は既に100名を超えて増加中。恐らく第一王子の刺客と推測されます』


「分かった。全員をマスタールームに転移させてくれ」


『転移実行』


 マスタールームに転移すると何故か目の前に付与術の師匠であるティナがタオル一枚の姿で立っていた。


「「え?」」


 お互いに状況が理解できずに居たが、先に我に返ったのはティナだった。


「きゃあああああ!」


 そして、俺の頬に超速ビンタが炸裂する。物理無効スキル先生は空気を読んだのか発動してくれず、バチクソ痛い。


「ちょっと待ってください師匠! これは誤解です! イノセントのせいです!」


「他人のせいにしようっていうの!?」


『全員をマスタールームに転移させてくれ。そう指示されたので実行したまでです』


 わざわざ、俺のセリフ部分は録音された俺の声だった。


「誠に申し訳ありませんでしたー!!」


 俺は傷が広がる前にめちゃくちゃ土下座した。


『馬鹿マスター。そろそろ侵入者が進み始めたようです。モニターに映します』


「今、馬鹿って言った? 後で覚えておけよ……。うーむ、あれはもう軍隊だよな。マリアさん、彼らが何者か分かりますか?」


「彼らのマントに描かれているのは間違いなく王家の紋章です。つまり、王家直属の軍だと思います。まさか、第一王子が軍まで動かすなんて……」


 よく見ると以前見たことがある赤髪の女がいた。オリハルコン級の冒険者、ええっと、ナントカ剣のナントカだったっけ? いや、それだと結局よく分からないことになるか。そいつ等の姿が見える。


「猛火剣のカミラ……。第一王子が飼っているオリハルコン級冒険者達も居るようだな」


 凄いじゃないかロスキタス。名前を覚えているだなんて! まぁ、俺も知ってたけどね。


 イイ湯加減のカピバラとでも覚えておこう。俺の優秀な頭脳ならばきっと連想ゲームのように「イイ湯加減」を「猛火剣」、「カピバラ」を「カミラ」に変換してくれるはずだ。


「いいですね。今回の為に特別にダンジョンを改造しておきましたので、それを試すという意味でも相手にとって不足なしです。じゃあイノセント、始めてくれ」


『承知しました。手動罠、発動します』


 俺が指示を出すと、イノセントが罠を発動させる。モニターを見ると、緩やかな上り坂に突如として大鉄球が出現し、坂の下に居る軍隊に向かって転がり始める。


「後退だ! 後退せよ!!」


「下がれええええ! 早くしろおおお!」


 当初は整然と並ぶ軍隊だった第一王子の軍だったが、巨大な鉄球を見るや我先にと逃げ始めた。しかし、軍であること、いや群であることが災いした。通路は狭いのだ。大勢の人間が一斉に逃げようとしたらどうなるのか、想像に難くない。案の定、通路は人で詰まった。


「うわあああああああ」


 兵士たちはパニック状態に陥り叫んだ。鉄球が兵士たちを押し潰す寸前


「イノセント!」


『はい、手動消滅』


 巨大鉄球はまるで幻かのように消えた。それを見た兵士たちはポカーンと口を開けたまま呆然としている。

 第一王子の軍の混乱状態が落ち着くまでしばらくの時間が必要だった。巨大鉄球による被害は無かったが、狭い通路に人が集中したことにより人がすし詰め状態になり、呼吸困難になる者や骨折する者が続出した。


「これでかなり時間稼ぎになったな」


『はい、順調に魔力吸収しています。約3時間で魔力吸収が完了します』


「コメット様、大丈夫そうですか?」


「はい、想定通りです。この後は進軍速度がかなり遅くなるはずですから、勝手に自滅してくれると思います」


「ですが……魔法国の大将、中将クラスは別格だと思います。今回は第一魔法軍のヴァルター大将、フェッツ中将、ゾイゼ中将が居るみたいです。ほら、画面のそこに居る方々です」


「大将が来てるんですか!? 向こうもかなり本気みたいですね〜」


 マリアさんが指差す方向を見ると、たしかに他の雑兵とは一線を画する雰囲気を纏った男が立っていた。装備も凄そうだ。


「これはスペシャルな罠を発動出来そうですね」


 俺はせっかく用意した罠が無駄にならずに済みそうだとニヤリとするのだった。

新作「イエスマンのおっさんが異世界でNOと言えるようになったら、最強になりました」


https://ncode.syosetu.com/n5189iu/


公開致しました!


スカッと面白い作品を心がけました!


是非読んでみてください。



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