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「モニターに映してくれ」


『映しました』


 大型モニターを見ると6人の黒装束の男達が何やら相談している。


 そして少しすると1人がダンジョンから出ていった。恐らく伝令係か何かだろう。


「あっ、あの人たち動いたよ!」


 ルート君が大型モニターを指差して声を上げた。見ると、黒装束5人がダンジョン1階を進みだした。


「第一王子の隠密魔法部隊ですね」


 マリアさんは奴等の素性を知っているらしい。


「へぇ〜、隠密魔法部隊ですか。お手並み拝見といきますか。そろそろ罠が発動しますよ」


 黒装束たちは迷路を走っている。ゆっくり行けばいいのに、マリアさんとルート君を見失って焦っているのかな。


 最初の罠は巧妙に隠されている。ゆっくり慎重に罠に警戒しないと罠を見つけることは出来ないだろう。


 なんて考えていると先頭の黒装束が罠のエリアに突っ込んだ。


「ぐあ!!」


 地面から棘が飛び出し、先頭の黒装束の両足を穿いた。他の黒装束が慌てて助け出している。回復魔法は使えないようでポーションを使って回復している。


 その後はダミーの罠がわざと見えるように設置されており、黒装束たちはゆっくりと慎重に進んでいく。


「罠が発動していないようじゃぞ」


 ギミックが気になるのかシャーリンちゃんが話しかけてくる。


「そうですね。あれはダミー罠です。1階は1つを除いて全部ダミー罠です」


「全部本物の罠のほうがいいじゃろ」


「まぁ、そうとも言い切れないんですよ。あまりに罠が多かったり危険度が高かったりすると人が来なくなってしまうんですよね。それに本物とダミーでは設置に必要な魔力が段違いですしね」


「なるほどのぅ」


「それに、最大の罠は1階全体の魔力吸収機能なんですよ!」


「まりょくきゅうしゅうきのー?」


 ルート君にはまだ分からないか。せっかくだから説明しておこう。


「そうそう。その場所に居るだけで勝手に魔力が吸収されてしまうんですよ。しかも吸収量は最大に設定しています。もし魔力が空になったらどうなると思いますか?」


「うーーーん、わかりません」


「正解は生命力が吸収されるんです。生命力が0になる前にダンジョンから逃げ出さないと死んじゃうので気をつけましょう」


「わ、わかりました」


「あ、魔力吸収機能は低階層と中階層だけなので高階層に居る俺達は大丈夫ですよ」


 なんて話をしていると黒装束たちが苦しみ始めた。魔力を全て吸収され、生命力が減り始めたのだろう。


 黒装束たちが苦しみ始めたのを見て、俺が仕掛けた罠の効果は、まさに思い通りだったと確信した。


「ちょっと良いアイデアが思い浮かんだので行ってきますね。イノセント、俺を奴らの近くに転送してくれ」


『転送実行』


 一瞬で視界が変わり、見覚えのある1階に来た。黒装束の奴等は少し先のほうに居るので俺のほうから近づいていく。


「何だ? 誰かがやってくるぞ」


 男達の中の一人が口を開いた。


「コメットと申します。第一王子の隠密魔法部隊の方々ですよね?」


「隠密魔法部隊とは何のことでしょうか? 私達は、マリア様とルート様の護衛です。これ以上お邪魔はしません。ただ、マリア様とルート様、それとあなたの従者を引き渡していただきたい」


 男は慇懃無礼な態度で、傍らにいる仲間達も無表情であった。マリアさんとルート君に護衛が居るという話も出ていないので明らかに嘘だ。それにどうして俺の従者まで差し出す必要があるのか。建前上の理由と第一王子に言い渡された指令がごっちゃになっているのかな。


「引き渡す、とはどういう意味ですか? 俺が彼らを匿っているとでも言うのですか?」


 俺が問いかけると、男は少し笑った。


「そのままの意味です。彼らは、我々にとって重要な人物なのです。彼らを引き渡していただければ、ここにいる者達には手出しはさせません。それが最善の方法だと思います」


 男は見下したような目つきで俺を見て、言葉を終えた。その内容には若干の脅しも含まれている。


 俺のステータスはかなり低く偽装されており、彼らからすれば雑魚だと思われていてもおかしくない。


「最善の方法は、さっさとこのダンジョンを脱出することだと思いますよ。もうすぐあなた方の体力は底をつきます。その前に情報を持ち帰らないと第一王子に情報を渡すことすら出来ませんよ?」


「……わかりました。今回は引き下がります。しかし、マリア様とルート様、そしてあなたの従者は、必ず手に入れます。それでは、ごきげんよう」


 男達は優雅な仕草で去ろうとしたが、体力低下のせいでよろけながら去って行った。これで第一王子にこの場所の事が報告されるだろう。だが、それでいい。彼らにはダンジョン攻略を頑張ってもらい、貴重な魔力の供給源になってもらわないといけないのである。



 次の日からマリアさんとルート君にもレベル上げをしてもらう事にした。特にルート君は前回無防備に魔法を受けて石化してしまったのだ。自衛出来る程度には強くなって貰わないといけないのだ。


「マリアさん、ルート君。今、城に戻るのは危険です。せめて自衛出来るくらいまでここでレベルを上げたほうがいいと思いますが、どうしますか?」


「うん、僕やるよ!」


「ルート様、さすがに危険です。私が強くなります。それでは駄目ですか?」


「うーん、僕はつよくなりたいんだ」


「……ルート様。わかりました。私が傍で待機します。危なくなったら止めます。それでも強くなりたいですか?」


「うん!」


「はぁ……仕方がないですね」


「方針は決まったようですね。じゃあ、イノセント準備は頼むよ」


『承知致しました』


 草原に闘技場が1つ追加された。マリアさんとルート君の分だ。使った魔力は第一王子の隠密魔法部隊から奪ったものだ。


 だが、魔力は全然足りない。レベル上げの為に配置している魔物はダンジョンの魔力で生み出している。罠の設置にも魔力が必要だ。とにかく何をするにも魔力が必要だ。


「第一王子の追手が早く来ないかなぁ〜」


 俺は独り言を呟くと、闘技場に戻るのだった。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

 コメットの修行パートに入りました。丁度よいので作者の修行パートにも入ろうかと思います。

 書きたいネタがたくさんあるので、ここらで新作を書いて消化したいと思います。

 その合間にコツコツと「始まりの眺望」も書き進めますので気長に待っていただけると助かります。

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