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――レベル上げを始めてから数日が経過した。そして毎朝全員で一緒に食事を取る事にした。
「どうですか? レベルは上がってますか?」
「順調だ。かなり全盛期に近づいていると感じる」
俺が全員に質問をするとロスキタスが最初に口を開く。
「ワシは魔導アーマー作成中じゃ。アダマンタイトが足りなくなりそうじゃ。後で出しといておくれ」
シャーリンちゃんはまだ魔導アーマーにかかりきりのようだ。
「わたしはレベル50を超えたわ! 付与術師でこのレベルって凄くない!?」
「あー、たしかに付与術師としては凄いかもしれないですね」
「その薄い反応は何よ。そういうあなたはレベルいくつなのよ?」
「319ですね。途中で魔法の実験をしたり武器を作ったりしていたので最高効率ではないですけど」
「さ、さんびゃくっ!?」
ティナ師匠は驚きすぎて言葉を失ってしまったようだ。
そんなタイミングで天から声が聞こえる。
『侵入者です』
イノセントからの警告だ。いつもはわざわざ伝えてきたりしないのだが珍しいな。
「イノセント、何かあったのか?」
『子供と女性でしたので、以前教えていただいたマスターの知り合いかと』
「オーケー、まずは見て確認しよう。みんなも来ますか?」
御意、はい、うむと全員肯定したので全員をマスタールームへ移動することにした。
「全員マスタールームへ転送してくれ」
転送後、俺は大型モニターを見る。他の皆は初めてのマスタールームを見てキョロキョロしている。
大型モニターには、予想していた通りマリアさんとルート君だった。置き手紙をしておいたから、いつか来るとは思っていたがちょっと早かったな。
「モニターに映っている2人をここに転移してくれ」
『承知致しました。転移実行』
「うわっ!」
「え!?」
マリアさんとルート君がマスタールームに転移してきた。
「数日ぶりですね。マリアさん、ルート君」
「コメット様!? 何がどうなっているんですか? 私達はダンジョン1階を歩いていたはずなんですが……」
「ここはダンジョンのマスタールームです。どうやら俺がここのダンジョンマスターに認定されたみたいで、丁度いいからこのダンジョンでレベル上げをしているんですよ」
「ダンジョンマスター……そ、そんなことがあるのですか……」
そんな会話をしているとイノセントが近づいてきた。
『侵入者です』
「いや、マリアさんとルート君は俺の知り合いだって……」
『いえ、新たな侵入者です。マリア様とルート様の後を尾行していた者達です』
なるほど、いや、当然尾行されているよね。せっかくなのでダンジョンで歓迎会を開いてあげようか。




