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「ロスキタス、アレは本当に不味いですよ」


「某の勘は逃げよと告げているが……」


 今の戦力ではどんな戦略・戦術を取ろうとも間違いなく負けるだろう。俺が何人かを引き連れて全力で逃げればなんとか逃げ切れるかもしれないが、その他大勢は犠牲になってしまう。さすがにその選択はない。


 ならば戦うしかない。それにどんなに小さな光であろうとも希望はある。あの女性達ならきっとやってくれるはずだ。万が一の場合でも王を連れて逃げるだろうし、見かけないもう一人も……。


 人は希望さえあればどんな困難にも立ち向かうことが出来る。俺は決意した。


「もう逃げ場はないですよ。戦うしかありません」


「某は主君の命に従うまでだ。一言命じるだけでよい」


「分かりました。では、自分の命を大事にしつつ全力で敵を倒してください」


「承った」


 俺とロスキタスは王城の城壁から荒れ果ててしまった城下町飛び降りると全力で走り出す。敵が強さと比較し、城壁など意味をなさないと推測したからだ。


「コメット様が……! 我々もドワーフ騎士団の意地を見せるのだ! 開門ー!」


 ドワーフ騎士団長ヴァリングの声が後ろから聞こえてくる。正直なところ足手まといではあるが、この状況では言っても聞かないだろう。


 アダマンタイトゴーレムもまだ壊されていないようで奮闘しているのが見えた。


 俺は王都入口の大門を通ろうとしている巨大な蝉ヒュージイビルシケイダを最初のターゲットに決めた。そこで仕留めれば巨大な死骸が門の障害物になると考えたからだ。


「ロスキタス! あの大きいのを狙います! 援護してください!」


「御意!」


 俺の行く手を阻むかのように邪魔をするジャイアントイビルシケイダの生き残りをロスキタスが槍の一振りで蹴散らす。


 ロスキタスは暇さえあれば修練しているだけあって今ではレベル220を超えて槍術のスキルレベルも順調に上がっているらしい。更に義足の魔道具も使いこなし身体能力が常人の域を遥かに超えている。


「さすがロスキタス。その調子でお願いします」


 ロスキタスは返事の代わりに新たに現れた魔物を斬り捨てた。


 戦闘をロスキタスに任せている間に俺は魔導擲弾と特製の槍斧を準備する。


 俺達が王都の門にたどり着いた頃には既に最初のヒュージイビルシケイダは門を通り過ぎており、今は2体目が門に差し掛かろうとしていた。


魔導擲弾(ファイアボール)!」


 俺が1体目のヒュージイビルシケイダのの関節を狙って魔導擲弾を投げつけるとあっさりと関節は破壊され、ヒュージイビルシケイダはバランスを崩し倒れた。


「ロスキタス!」


「はっ!」


 ロスキタスは倒れたヒュージイビルシケイダの目に槍を深く突き刺しトドメを刺した。


 そしてその間に俺は更に先に進む。2体目が門を通っている今が最高の攻撃タイミングだからだ。



「魔導擲弾! 魔導擲弾!」


 ヒュージイビルシケイダの両足を破壊した。そして更に俺は踏み込む。


「槍斧火球!!」


 槍斧がヒュージイビルシケイダの眉間に深く突き刺さると内部で大爆発を起こす。


 門の中央に大きな死骸が出来上がった。


「これでなんとか時間を稼げるかな」


 俺が一安心していると門の向こう側の圧力が強まる。


『邪魔だ……消えよ! トリプルアースニードル!』


 声が聞こえたと思ったら3つの巨大な棘が門の死骸を貫き吹き飛ばした。


 そして元凶が門の向こうから姿を現した。

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