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「コーティングした魔導擲弾はアイテムボックスに収納しておくとして、あとは片手剣と……複数の敵を一度に倒せるような武器が欲しいな。槍斧なんてどうだろう」
槍斧とは、槍の穂先に斧頭、その反対側に突起が取り付けられている武器だ。状況に応じた用途の広さが特徴的な長柄武器であり、実用性が高い。
「槍術と斧術も習得済みだから丁度良いかもしれない」
あ、良い事を思いついた。
「柄はミスリルにして魔力を通しやすくして、斧の真ん中に穴を開けたら斬りつけた瞬間に穴にファイアボールを発生させて爆発させる事が可能なのでは……? 考えるより作った方が早いか!」
俺は早速、先程魔導擲弾を作った時の鉄の余りと帝国で購入した少量のミスリルを使って槍斧を作った。鉄には炭を混ぜて鋼にしてある。
俺はまたベランダに出ると「ちょっと行ってきます」とロスキタスに伝えて先程ミニチュアロケットランチャーの検証をした空き地に飛び降りた。
「ロックウォール」
適当な攻撃対象として岩の壁を作り出す。ついでに先程出来上がったクレーターも平らな地面に直しておいた。
俺は作ったばかりの槍斧を岩壁に向けて構える。
「さて、どうなるかな? ほいっ!!」
岩壁を袈裟斬りにすると岩壁を3割ほど斬ったところで刃が止まった。
「ここでファイアボール!」
ボンッ!!
岩壁は内部からの爆発により半分程が消し飛んだ。
「あちゃ〜、威力的には申し分ないんだけど、斧が耐えられなかったかぁ」
槍斧の斧部分がバラバラに砕け散ってしまった。
「斧の中央に穴を開けてるから強度も落ちてるだろうし素材が鉄だもんな。当たり前か」
俺はすぐに部屋に戻って斧部分を作り直す。
「次は斧部分をアダマンタイトで作ろう。アダマンタイトの素材がこれで無くなってしまうけど仕方がない。片手剣は諦めよう」
同じデザインの槍斧を再度作成した。そして空き地に降りて再度岩壁を作り出す。
「槍斧火球!」
ちょっとそれっぽく技名を付けて岩壁を切り裂くと岩壁の半分ほどまで斬り込みファイアボールが炸裂したことで岩壁は跡形もなくなった。
「おお! 斧も無事だ。さすがアダマンタイトだな!」
遠距離用武器と近距離用武器が用意出来た。これで後は何だっけ? 何か忘れているような気もするけど、まぁいいか。
あとは第2ラウンドが始まるのを待つだけだ。




