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「ロックウォール!」


 石の壁を作り出し、飛び散るガラス片や倒れる家具から全員を守った。


「ライト! 皆さん無事ですか? 怪我をした方にはヒールをします!」


 四方をロックウォールで囲んだせいで真っ暗になったので明かり(ライト)の魔法を使った。ドワーフ国王は宰相に抱きついて怯えている。大臣達は割と冷静なようだ。


「こんな大事な時に地震とは……」


「これだけの大地震じゃ。多数の被害が出ていてもおかしくないぞい」


「たしかに! ベランダに出たい、この壁を消してくれ」


 ロックウォールを消して欲しいようなので、要望通りにすることにしよう。


「アースディグ」


 壁を崩す魔法は世の中のどこかにあるのかもしれないが、俺はまだ覚えていなかったので穴掘りの魔法で穴を開けた。その穴を出て窓の外を確認する。


「なんということじゃ……」


「落ちてきた岩で町がめちゃくちゃだ……」


「ここも危険かもしれません。国王を安全な場所へ!」


「たしかにその通りですね。分かりました。国王、こちらです」


 俺が指示を出すと、宰相はすぐに国王を連れて出ていった。


「コメット様、我々はどうすればいいですか?」


 ドワーフ騎士団団長が不安げな顔で俺に質問してくる。魔物の襲来と自然災害が同時にやってきた場合、どうすればいいのか判断が難しいか。だが、基本的な方針は変えないほうがいいだろう。


「余震はまた発生するかもしれませんが、同じ規模の地震が発生する確率は低いです。地震の心配をするよりも、魔物の対策を進めた方が良いでしょう。魔物の襲来は必ず来ますから。基本的な方針は先程の会議の通り、城下町を盾にして魔物を一掃する方向で良いと思います」


「そ、そうですね! さすがはコメット様、ご聡明な判断です!」


「守るべき町も既にあの有様だ……その作戦を承認するしかないですな」


 一番反対していた財務大臣であるガニが承認の意思を示すと、他の反対していた者も承認した。


「魔砲塔の配置を急げと伝えろ! 私もすぐに向かう! コメット様、私は準備がありますので失礼します」


 ヴァリングがドワーフ騎士団に指示を出し、部屋から出て行った。俺も準備をしなければならない。まずはこの作戦の決定をマリアさん達に伝えなければいけないだろう。それと出来れば自分用の武器も用意したいところだ。シャーリンちゃんは何処に行ったのかよく分からないが何処かに引き篭もって研究しているのだろうか。


「ロスキタス、とりあえず作戦の決定をマリアさん達に伝えに行きましょう」


「御意。マリア殿の場所はご存知で?」


「あ、そういえば知らないな」


「では、某が案内致す」


「じゃあ、よろしく」


 ロスキタスは広い城内を迷うことなくマリアさんの部屋まで案内してくれた。いつの間に城内を把握したのか、さすがはロスキタス。それはともかくマリアさんの部屋をノックする。


「マリアさん、居ますか?」


「はい、どうぞ入ってください」


 俺は部屋に入り、作戦が決まったことと詳細についてを伝えた。


「その作戦しかないとはいえ、自分の家や町が盾に使われるのは可哀想ですね……。それで私達はどうすればいいですか?」


「国王にお願いして、安全な場所に退避していてください。出来れば地上までの隠し避難経路があったりすると嬉しいんですけどね」


「分かりました。すぐに皆さんに伝えます。コメット様が無事に戻ってくる事を祈って待ってます」


「大丈夫です。俺をどうにか出来る魔物が居るとしたら神級のスキル持ちです。が、あの程度の魔物には無理でしょう」


 不老不死、物理無効をどうにか出来るとは思えないんだよな。まぁ、石化無効スキルとか無効系スキルが邪神に奪われたせいで若干の不安はあるんだけどね。


 状態異常耐性は出来るだけ早く手に入れないといけないな。


「というわけで、後はお願いします。俺は準備があるのでもう行きますね。用がある時は俺の部屋に来てくれれば恐らく居ます」


 俺は自室にあった鍛冶窯で武器を作る予定だ。マリアの部屋を出て自室に戻った。


「ロスキタスはどうしますか?」


 俺の部屋までついてきたロスキタス。準備する事はないのだろうかと聞いてみた。


「某は既に準備を終えている。傭兵時代からの癖なのだ。邪魔をしないようベランダで魔物の監視をしている事にする」


 さすが傭兵王と呼ばれるだけはある。常に戦闘の準備は出来ているということか。ロスキタスが魔物の動向を監視してくれるのであればこちらも安心して武器作成に集中出来る。


「監視を宜しくお願いします。こちらは武器作りに集中します」


 ロスキタスがベランダに出るのを見届けてから部屋の奥にあった鍛冶窯の所まで行く。


「さて、何を作ろうかな」


 俺は久しぶりの武器作りに少しワクワクしてきたのだった。

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