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202

 その後、黄金の魔導アーマーをこじ開けスネーキー子爵を取り出し、魔導アーマーはアイテムボックスへ格納した。


 スネーキー子爵はどうしようか迷ったが、このまま解放するとネルソンを処刑する可能性もありそうな為、仕方なく隷属化し「今回の争いは奴隷商会側の勘違いによって発生したものであり、ネルソンを即時解放すること」を命じておいた。もちろん太陽神の姿についても喋らないように指示を出した。


「ネルソンがここに居たらスネーキー子爵の主人に指定できたのになぁ」


 愚痴を言っても仕方がないので、俺は魔導列車に向かう。スネーキー子爵は帝都に戻るように指示を出してある。



 ――なんとか魔導列車まで戻ってきた。尾行がないか注意しながら戻ったので少し時間がかかってしまった。


「ただいま〜」


 魔導列車の周りには解放した奴隷や仲間達が居るようでいくつものテントが張られていた。


「太陽神様! おかえりなさいませ!」


「帝都と比べここでの生活は天国ですぞ! ありがとうございます太陽神様!」


 元奴隷の人々が挨拶とお礼を言いにやってくる。俺は一人一人に返事をしながら人波をかき分けてなんとか魔導列車に乗り込んだ。


「ただいま〜。ふう、こんなに解放した人達が居るとは知らずに驚きました」


「おかえりなさい、コメット様」


「おかえりなさい! コメット様!」


「やっと来たか、コメット殿を探しに行こうかとしていたところだぞ」


「……」


 マリアさんとルート君、カーラ、ロスキタスが列車内で待っていた。ロスキタスは無言で片膝をついている。


「すみません、遅れました。それとロスキタスさんはもう奴隷じゃないんですから、そんな事をしなくてもいいですよ。まぁ、奴隷だとしてもそんな事をさせるつもりはありませんが……」


「某はコメット様に忠誠を誓ったのだ。自らの意思で行っているにすぎない」


 ロスキタスはやめる気はないようだ。


「そ、そうですか。止めたいときはいつでも止めてくれていいですから。ところで、シャーリンちゃんの姿が見えないようですが?」


「シャーリンちゃんは魔導列車を改造しているようだぞ。奴隷が多すぎてこのままでは乗れない者が居るからな」


 カーラさんが答える。


「なるほど、さすがシャーリンちゃんですね。魔導列車まで改造出来るなんて」


 だが、よく考えるとこんなに大勢の奴隷を引き連れてマリアさん達の母国であるロディニア魔法国に行っても良いのだろうか。


 当初の計画では、助けた元奴隷達は砂漠にある世界樹のオアシスに行くかこの場で解放するかの二択を選択して貰っていた。それならば、その二択にロディニア魔法国に行く選択肢を加えて三択から選んで貰えばいいだろう。


「皆さんにお願いがあるのですが……」


 俺は元奴隷の方々に質問し答えを集計してきて欲しいと伝える。もちろん俺も集計を手伝う。太陽神の仮面を外して一般人になりすまして質問していった。



 ――3時間後。


「なんとか全員分集計が終わりました。オアシス組が531名、現地解放組が16名、ロディニア魔法国組が10名でした」


 マリアさんが集計結果を発表した。


「意外にオアシス組が多いですね」


「はい、太陽神様の加護が得られると噂が広まって皆さんオアシスに行く事を決めたようですね」


 なんてことだ! 太陽神の加護なんて約束したこともないし、出来ないぞ!


 だが、今更選択し直してくれというのも面倒だし、何か違う気がする。仕方がない、現地に着くまでの加護はどうにか保証しよう。着いた後は元ガルズーガの長に丸投げしよう。そうしよう。


「それだけの人数だったら、この魔導列車はオアシス行きに使ったほうが良さそうですね」


「コメット殿、とても言い出しにくい事なんだが、私は一度ガルズーガに帰ろうと思うのだ……」


 カーラが申し訳なさそうに切り出した。


「あ、はい。いいですよ」


「いいのか!? そんなにあっさりと許可されると逆にショックなんだが……」


「カーラさんは魔導アーマーから降りる事が目的でしたからね」


「それはそうなんだが、もう少し引き止めてくれても……」


 最後の方は声が小さくなりよく聞こえなかったが、ガルズーガがどうなったのか気になる気持ちは俺にもある。世界を見て回ったら一度帰るのも有りかもしれない。


「ああ、魔導列車の護衛も必要ですからカーラさんの魔導アーマーは乗って行ってくれていいですよ」


 ダークエルフしか乗れない魔導アーマーを持っていても宝の持ち腐れでしかないしね。


「そうか。魔導列車の護衛は任せてくれ。私が責任を持って送り届けると約束しよう」


「お願いします。ロスキタスはどうします? カーラと一緒にオアシスに行ってみますか?」


「某は主君と共に同行する所存だが、命令であれば何処へでも行こう」


「な、なるほど。じゃあ、ロディニア魔法国組かな。シャーリンちゃんにも聞いておいた方がいいですね」


 シャーリンちゃんは魔導アーマー目当てでオアシス行きを希望するかもしれない。出来ればアイテムボックスに入っている魔導アーマーを直して欲しいという気持ちもあるけど、本人の気持ちを優先すべきだろう。


 俺は魔導列車から出てシャーリンちゃんを探しに魔導列車後方に向かった。


「シャーリンちゃんはどこかな? ……あ、いたいた。え!?」


 魔導列車の後方には巨大な何かが建造されていた。そして機械チックな物がゴテゴテと付いている。


「な、なんだこれ!? シャーリンちゃんはこんなの作ってどうするつもりなんだ……?」


 俺は驚きのあまりしばらくその光景を呆然と眺めることになった。

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