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地下に居た奴隷達を救出し、シャーリンちゃんと共にネルソンゴーレム商会に帰還した。
「ただいま戻りましたー!」
「おかえりなさいませ。コメット様」
「おかえりなさい! コメット様!」
ネルソンゴーレム商会で留守番をしていたマリアさんとルート君が出迎えてくれた。
「ネルソンさんやカーラさんはまだ帰ってきてないですか?」
「はい、まだ帰ってきてません」
「コメット様は最短時間でアランデル奴隷商会を攻略されたのだ。他の者が遅れを取るのは致し方なかろう」
ロスキタスは作戦時の事を思い出しているのか目を閉じ頷きながら語った。
「そうかもしれないですね。じゃあ、ネルソンさんとカーラさんが戻るまで各自待機していてください」
「ワシはドリル君1号を改良しておるから後はよろしく!」
シャーリンはドリル型魔導アーマーを改良する為に部屋に戻って行った。
俺はどうしようかな? 奴隷商人や傭兵達を先になんとかしなきゃいけないか。
ちなみにアランデルや傭兵達は地下の牢屋行きだ。アランデル屋敷の庭を警備していた魔導アーマーは一部壊れていたが回収しアイテムボックスに入れておいた。アイテムボックスにどれだけ入るのか検証するとともに、いつか自分専用の魔導アーマーを作る時に必要な部品を確保する為だ。
アイテムボックスは魔導アーマー2体分を入れただけで一杯になってしまった。アイテムボックスのスキルレベルが上がれば容量が増えるのかもしれない。
「アイテムボックスはレアなスキルだけど、今回捕らえた連中の中にアイテムボックス持ちが居るかもしれない。よし! 今すぐにスキル吸収してしまおう!」
前回と同様に流れ作業でスキル吸収を行っていった結果、以下のスキルが手に入った。
隠密4(3→4)、体力回復上昇5(3→5)、千里眼(new)
千里眼は鷹の目の上位スキルのようで、更に遠くの物を見ることが出来るようになった。鷹の目のスキルは千里眼スキルに統合されたみたいだ。
スキルを持っていない者も多いし、スキルを持っていても剣術1とかで既に極めてしまったスキルが多いんだよねぇ。
そんなに視力が良くなったところで何の役に立つのかは分からないけど。もしかしたら超遠距離からの狙撃も可能かもしれない。超遠距離狙撃は視力よりもコリオリ力や風の影響など、弾道計算が大事だけど。魔法はその影響を受けるのか試してみるのもいいかもしれない。
「アイテムボックスは無かったかぁ。これでもう全員かな?」
俺が見回すと傭兵の影に隠れている男を見つけた。その男はアランデルだった。
「ゴーレム! そこに隠れている男を連れてきてください」
「や、やめろ! 俺に手を出すな! 俺に何かあればスネーキー子爵が黙っておらんぞ!」
スネーキー子爵? こいつの裏にはやはり貴族がいたのか。たしかに街の衛兵が助けに来なかったりしたのは不自然に思っていた。
「スネーキー子爵は魔導アーマー研究所の所長も兼任しているのだ! 俺に何かあれば魔導アーマー部隊がやってくるぞ!」
「はいはい、スキル吸収ー」
《スキル:アイテムボックス1を吸収しました。アイテムボックス1に統合されアイテムボックス2になりました》
「おお! アイテムボックス持ちだったのか。ラッキー!」
「くぁwせdrftgyふじこlp……!」
アランデルは謎の悲鳴を上げて倒れてしまった。
「これで最後かな?」
俺がアイテムボックスのレベルが上って喜んでいると
「ただいま戻りましたぞー!」
ネルソンが帰ってきたようだ。
「おかえりネルソンさん」
「おお、コメット様。そこに倒れているのは……アランデル奴隷商会のアランデルですか!?」
「はい、連行してきました。あ、そうだ! 隷属化!」
俺は倒れているアランデルに隷属化のスキルを使った。主人はネルソンだ。
「えっ、突然何を……?」
「アランデルはネルソンさんの奴隷にしておきました」
「ええええええええええええ!?」
「また邪魔をしてきたら困るじゃないですか? それに奴隷商会の最大手がアランデル奴隷商会ならアランデルを奴隷にしておけば他の奴隷商会を制御できるかもしれませんし」
「そ、そうですか。まぁ、そういうことなら分かりましたが、別に私が主人じゃなくても良かったような……」
まだ何かぶつぶつ言っているネルソンは放っておく。俺はこの帝国にずっと居るつもりはないので主人になるつもりはないんだ。すまないネルソン。
「えーっと、あと帰って来てないのはカーラさんだけかな?」
俺は話題を変えるべくまだ帰ってこないカーラの事を話題にした。
「まだカーラ様は帰ってきていないのですか!? 何かあったのでは……?」
「そう言われると少し心配になってきました……。カーラさんはたしかデュソリエ奴隷商会に向かったんでしたよね」
「そうですな。2番目に規模の大きな奴隷商会ですぞ。万が一……」
ネルソンがそう言いかけた時
「不味い事になった!! コメット殿は居るか!?」
カーラの声が地下室まで響いてきた。




