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019

 ガーマ帝国を出るまで休みなしで走ることにした。


 走ること3時間ようやく国境のようだ。国境近くには両国とも要塞があった。


 ガーマ帝国とエディア共和国は昔から仲が悪いらしい。


 更に帝国側には関所もあるようだ。武装した兵士が警備している。


 厄介事には巻き込まれたくないので、視認出来ない速度で走りながら跳躍する。


 関所を飛び越えることが出来た。


 そのまま走り続けるとエディア共和国の街が見えてきた。


 門番をしている兵士が見える。前回の事を思い出して少し嫌な気分になった。


 少し緊張しながら門を通ろうとするとやはり門番から声をかけられる


「こんにちは、ようこそ自由の街シャトラインへ。案内が必要ですか?」


 なんて親切な兵士さんなんだ。ガーマ帝国とは大違いだな。


「こんにちは。はい、田舎から出てきたばかりで、右も左も分からないんです」


 兵士はその返答にも慣れているようで、すぐに返事をしてくれる


「そうでしたか。では、まずは宿の確保をするのが良いでしょう」


 たしかにその通りだ。と、うんうんと頷くコメット。


「その後は街を散策してみて今後を決めるのも良いと思いますよ。例えば、商業ギルド、魔術師ギルド、冒険者ギルドも当然あります」


 ままま、魔術師ギルドだって!?この世界にはやっぱり魔法が存在してたんだ!


「わ、分かりました。まずは宿屋に行きます」


「おすすめはこのまま真っ直ぐ行った先の【兎と猪亭】ですよ」


「ありがとうございます。行ってみますね」


 言われた通りに歩いて行くと、【兎と猪亭】の看板を見つけた。


 扉を開けるとき、扉を壊さないように全力で手加減をする必要があった。


「いらっしゃいませー!」


 兎耳を付けた女性が店番のようだ。


 これはまさか、兎獣人というやつだろうか!?


 じーっと見てみたが判別はつかない。


「あの……お客さん?」


 怪訝そうな目で見てくる兎耳の人。


「す、すみません!田舎から出てきたばかりの田舎者でして!」


「ああ、そうだったんですか。獣人を見るのは初めてですか?」


「はい、(恐竜しかいないくらいの)ド田舎だったもので……」


 そういえば、帝国ではほとんど獣人を見ていないような……などと考えていると、兎獣人さんから声がかけられる。


「えーと、それでうちにご宿泊ですか?それとも食事ですか?宿泊は3銀貨、食事は50銅貨です」


「宿泊でお願いします。とりあえず3泊分お願いします」


「分かりました。銀貨9枚になります」


「すみません、白金貨しかなくて……」


「えっ……ちょっとそれは困ります」


 これは不味いな、田舎から来た設定が崩れてしまう。


「あ、冗談ですよ!田舎ジョークですよアハハハハ!……あっ、ちょっと急用を思い出しました。用事が終わったらまた来ますね!」


 急いで宿を飛び出す。


 ふう、危なかったぜ。ギリギリだったな。


 両替なんてどこに行けばいいんだ?銀行か?


 こういう時は、あの作戦で行くか!


 その名も「自動販売機に千円入れてお釣りを貰う作戦」


 要するに、何か買ってお釣りで金貨と銀貨にすればいいのだ。


 ちなみに白金貨は15枚あった。


 適当にブラブラ歩いていると、武器防具屋を見つけた。


「おおっ!武器防具だ!どんなのがあるんだろうな〜」


 フラっと立ち寄ってみることにした。




「らっしゃい」


 やる気が無さそうな声だ。


「どうも、勝手に見てもいいかい?」


「構わんよ。決まったら声をかけてくれ」


 そう言って店主は明後日の方向を見てボーっとし始めた。


 積極的に売る気は無いのだろう。


 とりあえず、短剣を探してみる。


 短剣は便利だ。木を削ったり皮を剥ぐのにも使えるし、武器にもなるしな。


 一番硬いのはどれだろうか?一つ手に取ってちょっと力を入れてみる


 グニャ


 あっ、ヤベッ


 逆方向に力を入れて元に戻して店主を見る。


 ふー大丈夫。バレてなかった。


 力を微調整して触ってみて一番硬そうな短剣を選ぶ。


 あとは、防具か。革の鎧一式でいいか。


 他はと見回すと、とある指輪を見つけた。


 何故か気になるというか、禍々しい雰囲気を感じた。


「ファンタジーといえば魔法の指輪だよな」


 鑑定と念じてみる。


【サンプソンの指輪】

 冤罪によって処刑された魔術師の指輪。呪われている。装備者は全ステータスが10分の1になる。


 これは!力が強すぎる自分の為にある装備じゃないか!これは買いだな。


 ステータスが高すぎて困っていたのだ。


「店主、これとこれとこれが欲しい」


「クロロ鉱の短剣とオーク革の防具一式と……この指輪は!あんたこれがどんな指輪か分かってるのか?」


「ああ、分かってる」


「そうか、何に使うつもりか聞かないが、返品は出来ないからな」


「大丈夫だ」


「短剣は8金貨、革の防具一式で3金貨、指輪が50銀貨だ。合計11金貨と50銀貨だ」


 白金貨1枚を差し出す。


「白金貨だと……まぁいい、お釣りだ」


 やった!金貨88枚と銀貨50枚を手に入れたぞ!


 早速、指輪を装備する。


「おい、あんた!呪いの指輪なんだぞ!一度装備したら簡単には外せないって分かってるのか?!」


「あ、やっぱり外せないの?それはちょっとだけ困るなー」


「そいつを外したければ教会で多額の寄付をして御札を貰うしかないぞ」


「なるほど、教えてくれてありがとう」


 そう言って、武器防具屋を出る。そして再度、宿屋へ向かう。


「さっきはすみませんでした。3泊で9銀貨でしたよね?」


 ささっと9銀貨を渡す。怪しまれる前に部屋へ行く作戦だ。


「はい、こちらが鍵です。5号室になります」


 鍵を受け取るとそそくさと部屋へ行く。


「ふぅ、なんとか作戦成功だな」


 徹夜で動き続けてさすがに眠い。もう限界だ寝よう。


 ベッドに倒れ込むと強制睡眠を使うまでもなく眠りに落ちた。


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