表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

183/254

183

 俺はいくつかのゴーレムを作った後、一旦カーラ達のところに報告しに行くことにした。


 目標がカーラの治療費であった場合、すぐに達成できるだろう。でも、ゴーレム事業の目標を奴隷解放とした場合、そこそこ時間がかかるはずだ。


 長く待たせる事になるので、事前に説明しておいたほうがいい。


「と言う訳で帰って来ましたー!」


「おかえりなさい」


「おかえりー!」


 マリアさんとルート君が挨拶を返した。ルート君は奴隷だった頃、痩せてほとんど言葉も発さない子供だったが、最近元気を取り戻しつつあるみたいだ。


「訳が分からないぞ! ちゃんと説明しろ!」


 カーラは相変わらずだった。


「帝都でゴーレム事業を始める事にしたんです。あと、奴隷制度も潰します!」


「コメット殿!? 騒ぎを起こさないようにあれほど言ったはずなんだが!?」


「え? あれはやれって意味じゃなかったんですか? それならそうと言って下さいよーもう手遅れですけど」


「なんてことだ……どうすれば……」


 カーラは頭を抱えてしまった。


「まぁ、なんとかなりますって!」


 俺は適当に励ましておいた。多分なんとかなるだろうしね。


「マリアさん、食料はどれくらい持ちそうですか?」


「食料はあと1ヶ月は大丈夫です。従魔達は自分で獲物を狩ってきてくれますし」


「それなら安心しました。また今度食料を持ってきますね」


 ネルソンに頼めばきっと食料を集められるだろう。クズ鉄も大量に集めてくれたし。


「よろしくお願いします」


 俺がマリアと話していると、カーラがやっと持ち直してやって来た。


「私はいつになったら魔導アーマーを降りられるのだ?」


「お金を作って、魔導アーマー技師を探してからですね。出来るだけ早く探しますよ。あ、もうこんな時間ですね。門が閉まる前に戻ります! じゃ!」


「ま、待て! 逃げるなー!」


 俺はもう用はないとばかりに急いで帝都に戻り、ゴーレム作りに精を出すのだった。



 ――俺がネルソンと出会ってから一週間、俺はずっとゴーレムを作り続けた。


 店主ネルソンはゴーレムを売り続けた。元々機械や魔導アーマーに慣れ親しんだ帝国ではゴーレムに対して全く忌避感がなく、ゴーレムは爆発的に売れた。


 店主ネルソンは報酬で店を拡張した。俺は莫大な利益で更に金属を買い集め、ゴーレムを量産した。


 その結果、俺はいくら使っても使い切れない程の資金を手に入れた。お土産代とカーラの魔導アーマーの費用くらい余裕であろう。


 それに、そろそろカーラやマリア達が心配だ。食料や水の備蓄はまだあるはずだが、不測の事態が起こる事もある。すぐに魔導アーマー技師を探して一旦戻ろう。


「本当に行ってしまうのですか?」


「ええ、そろそろ本来の目的の為に動かないと遅くなってしまいますから。それにゴーレムの在庫はまだまだあるでしょ?」


「はい、1万体ほど在庫はあります。利益はこの店で預かっておきますので、いつでも取りにいらしてください」


「うん、それよりもゴーレム販売を頼みますよ。多少強引に進めてくれてもいいですから」


「はい、分かりました。必ず成功させてみせます!」


「じゃあ、紹介してもらった闇技師のところに行ってくるよ」


 闇技師とは、帝国に管理されておらず、非正規に魔導アーマーを整備している技師のことだ。


「はい、助けてもらった御恩は一生忘れません! ありがとうございました!」


 店主ネルソンは地面に額をこすりつけてコメットを見送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ