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多少の資金は手に入った。でも、まだ足りない気がする。後はこの資金を元手に増やすのみだ!
俺の持っているスキルの中で何かお金を稼げそうな物はあるだろうか?
「ステータス!」
名前:コメット
職業:無し
年齢:18歳
LV:277
HP:43300
MP:42900
STR:300
VIT:100
DEX:200
AGI:500
INT:1400
LUK:32
スキル
格闘術10 剣術10 短剣術10 槍術10 弓術10 斧術10 投擲10 テイミング10 石化6 猛毒6 眠針6 毒尾6 強撃6 蟻地獄7(new) 大顎7(new) 名将の鼓舞1(new) 魔力操作10(7→10) 魔力感知10(7→10) 火魔法7(5→7) 水魔法7(5→7) 風魔法7(5→7) 土魔法7(5→7) 闇魔法7(5→7) 光魔法7(5→7) 神聖魔法5(new) 並列魔法6(new) 無詠唱6(new) コメット 物理無効 炎熱無効 氷結無効 風雷無効 痛覚無効 麻痺無効 毒無効 魔法無効 圧力無効 眠り耐性6 気配察知10 料理10 鍛冶10 木工10 石工10 革細工10 遊泳術10 鷹の目 無呼吸 強制睡眠 言語理解 鑑定10 不老不死 吸収
称号
〜省略〜
実は魔力操作10になったおかげで並列魔法と無詠唱が出来るようになり、おかげで神聖魔法も習得済みだが、今そのことは置いておく。
「石工は需要が少ないか。鍛冶は割と稼げそう。木工は最高品質の杖などが作成可能だけど、帝国は魔法を敵視してるんだっけ? じゃあ、駄目か」
うーん、鍛冶は有名にならないと高額では売れなさそうなんだよね。革細工も同じ理由で却下だ。
すぐに大金を手に入れるにはどうしたらいいだろうか……。
悩みながらメインストリートを歩いていると、前方に奴隷を連れた貴族らしき者達が歩いて来るのが見えた。大きな荷物を持たされている。
「おい! もっと早く運ばないか! もっと体力のある奴隷にすべきだった。家に帰ったら新しいのを買おう」
「お許しください! ご主人さま! どうか捨てないでください!」
「うるさい! この役立たずが!」
奴隷は主人に蹴られながら曲がり角に消えていった。
うーむ、やっぱり奴隷制度なんて無いほうがいいだろう。あ、良い事を思いついたぞ。お金も手に入るし、奴隷も不要になる一石二鳥の案が浮かんだ。
俺はさっそく鍛冶屋を探した。付近にいた住民らしき人に聞くと、メインストリートから少し外れた裏路地に1軒あるということが分かった。言われた通りに道を進み、鍛冶屋を発見することが出来た。
「ごめんくださーい」
鍛冶屋に入ると、カウンターで酒を飲んで潰れている男が居た。まさかコレが店主? 俺の挨拶にも無反応だ。
「ごめんくださーい!!」
「うお!? 借金なら返せねぇぞ! 商品が売れないんだからな!」
俺の大声に驚いて起きた店主は訳のわからないことを叫びだした。借金取りにでも追われているのだろうか? それにしても開き直りすぎて逆に凄いな。
「いえ、ちょっと買いたいものがあるのですが、それと相談もあります」
「へ? お客様でございますですか!?」
「お金ならありますよ。ほら」
目の前に500万コインを積み上げる。
「うほおおおおお! なんでも致しますよ! 何がご入用ですか!?」
「これで買えるだけのクズ鉄と鍛冶窯と鍛冶道具を貸して下さい」
「……へ!?」
酒で頭が回っていないのか、それとも予想外の答えに追いつけていないのか店主は開いた口が塞がらない。
「クズ鉄と鍛冶窯と鍛冶道具を貸して欲しいんです」
「な、何の為にですかい……?」
「今は答えられません。ですが、貸してもらえるのならすぐに分かりますよ」
「そ、そうですか。それなら、貸します」
「じゃあ、クズ鉄は大量に必要なので、よろしくお願いしますね。早急に!」
「は、ははい! かき集めてきます!」
店主は呂律が回らない状態で転がるように外に出ていった。よし、その間に鍛冶窯を借りて出来る準備をしておこう。
――数時間後、鍛冶屋店主のありったけの伝手を使って帝都中のクズ鉄が集まってきた。
俺はそのクズ鉄を溶かし、炭を混ぜて鋼鉄インゴットにしていく。その作業は徹夜で行われた。その結果、2000個の鋼鉄インゴットが完成した。
「こ、こんなに鋼鉄インゴットを生産してどうするんですかい?」
朝起きてきた店主が鋼鉄インゴットの山を見て質問してきた。
「こうするんですよ。クリエイトゴーレム!」
以前、クリスタルドラゴンのシリウスから教えてもらったゴーレム作成の魔法だ。鋼鉄インゴット1個で1体のゴーレムが完成した。その分、装甲は薄く非戦闘用となっている。
「ゴーレムは奴隷よりも力がありますし、例外はありますがどんな命令にも従います。ゴーレム、鋼鉄インゴットを1つ持って来てくれ」
ゴーレムが鋼鉄インゴットを1つ持ってくる。
「ええええええええ!?」
「ゴーレム。お前を買った人の命令を聞くようにしろ。ただし、人を傷つけるような命令は聞くな」
ロボット三原則というものに【人間への安全性】、【命令への服従】、【自己防衛】というものがある。自己防衛があると人間への安全性が揺らぐ可能性もあるので今回は無しにした。それに、ゴーレムは通常よりもあえて壊れやすくしてあるので、壊れた場合は再購入してもらう予定だ。
ゴーレムは頷いて待機状態となった。購入者の命令を聞くように命令したが、製作者の命令が最優先となっている。
「こ、これは凄い! 凄いとしか言えない!」
「驚かせてしまってすみません。店主にはもう一つお願いがあります。このゴーレムを貴族達に売って来てほしいのです。奴隷の相場よりも安くね」
「そ、そんなことをしたら……」
「はい、大儲け出来ますよ。それに奴隷の価値も下がると思います」
要するに需要と供給の問題だ。ゴーレムが広まれば奴隷の需要が下がり、奴隷の供給とのバランスが崩れて価格破壊をもたらすというわけだ。
奴隷の価値が底まで下がったら、ゴーレムを売ったお金で買い叩く。そして奴隷を解放してあげる作戦というわけだ。
「報酬は利益の一割でどうでしょうか?」
「私は何も創り出せないのですが、一割も貰えるので?」
「まぁ、それなりに忙しくなると思うので」
「分かりました! やります! やらせてください! 私はネルソンです」
昨日まで酒に溺れ濁った目をしていた店主は見違えるようにやる気に満ちあふれていた。
「コメットと申します。一緒に頑張りましょう!」
俺と店主ネルソンはがっしりと握手を交わした。




