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「うーん、今手持ちの物で何か売れる物なんてあったっけ?」


 背負い袋の中をごそごそと探ってみたが、売れそうなのは従魔達に作ってあげた地雷回避用の砂鋼の爪(予備)くらいしかない。魔導水筒は思い出の品なので売るつもりはない。太陽神の仮面があるじゃないかって? 太陽神の仮面を売るなんてとんでもない。


「まずは武器屋に行ってみるか! そこで相場とかも調べてみよう」


 メインストリートを少し歩くと武器防具屋を見つけた。戦争準備中だけあって、店の外にまで客が並んでいる。


 店の中に入ると案の定、帝国兵や冒険者風の男達でごった返していた。まるでバーゲンセールかのように武器を奪い合っている。


 そんな人達を横目に俺はカウンターで購入を待つ者達の列に並んだ。カウンターの奥には「武器防具買取強化月間」と書かれているのを見つけた。これなら少しは期待出来るかもしれない。


 暫く待つとやっと自分の番がきた。


「買取を希望します」


「おお! どんな武器ですかな?」


「これです」


 カウンターに砂鋼の爪を置く。帝国ではほとんど得られない砂鋼だ。果たしていくらで買い取ってもらえるのか。


「これは……素晴らしいですな。素材は希少な砂鋼。品質は最高級。ただ、惜しいのは爪を装備する人はほとんど居ないということくらいですか」


 これは従魔用の装備なので、どう考えても人にとっては大きすぎる。


「まぁ、そうですよね〜」


 若干諦めモードだ。


「ちょっと待った!」


 バーゲンセールに夢中になっていた帝国兵がこちらにやってくる。もしや、何か勘付かれたのか?


「なんですかな? 今はこのお客さんと交渉中なのですが」


「その爪を俺に売ってくれないか!? 魔導アーマーに装備させたらめちゃくちゃパワーアップしそうじゃねぇか!」


「む! たしかにそうかもしれませんな……」


 お? ちょっと雲行きが変わったか? ここはもうひと押しか。


「そうなんですよ。砂鋼の爪は魔導アーマー専用装備なんです! 東の名工が作った品でございます」


「おお! 俺の思った通りだな! 店主に売るより俺に売ってくれ! 50万コインは出すぞ」


「なんですと!? では私は60万コイン出しましょう」


「はぁ!? さっき微妙な顔してたくせに買取すんなよ! 70万コインだ!」


「私は帝国陸軍のアーデン少佐だ。話は聞かせてもらった。100万出そう」


「アーデン少佐!? 少佐にでしたらお譲りします!」


 買取を希望していた兵士は敬礼をして買取合戦から脱落したようだ。


「何の騒ぎじゃ!? よく分からんがワシも参加するぞ! 200万じゃ!」


 誰だかよく分からない爺さんが参加し始めた。それをキッカケに多くの客がオークションに参加し値段を吊り上げていく。


「毎度あり!」


 最終的に500万コインで謎の爺さんが落札していった。ただの砂鋼の爪なんだけどね。

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