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 というわけで、各奴隷村でスタンピードを巻き起こし、第四奴隷村と第五奴隷村を解放した。そして、元奴隷達には世界樹の街に行くか危険を覚悟で故郷に帰るか、それともその場に留まるかを選択してもらった。


 奴隷村を順調に解放していった俺は次の第六奴隷村に到着した時に違和感を覚えた。村が静かすぎるのだ。


「静かすぎますね。いつもなら帝国兵や奴隷の姿が見えるはずなのに」


「たしかにそうだな。私が上空から確認してこようか?」


 カーラの最新鋭魔導アーマーであれば空を飛ぶことも出来る。


「じゃあ、お願いします」


 カーラが空から奴隷村を偵察して帰ってきた。


「どうでしたか?」


「誰も居ないようだ。帝国兵も奴隷も全く姿が見えなかった」


 うーん、太陽神の噂を聞いて逃げたのだろうか? でも、俺達はスピード感重視で奴隷村を解放してきたので、対策を打たれるにはまだ早いように思う。


「もしかして……」


 マリアが何か知っているようだ。


「何か知ってるんですか?」


「以前、帝国兵が話しているのを聞いてしまったんですが、近々戦争が起こるので全ての奴隷を帝都に輸送して準備を始めるって話でした。もしかして、戦争の準備の為に移動してしまった後なのではないでしょうか?」


 戦争が始まるだって!? なるほど、だからあれほど強引に奴隷を集めていた訳か。


 奴隷を戦力として投入すれば帝国の兵士は消耗しないし、戦えない者は武器防具を作らせたり鉱山で働かせればいい。帝国のやり方は効率的だが、人間性の欠片もない。


「どの国と戦争をしようとしているんですか?」


「私達の祖国ロディニア魔法国です。帝国は魔導科学を発展させた国ですから、神秘的な魔法を敵視しているようです。あとは魔法国の保有する魔石を狙っていると聞いたことがあります」


 マリアさんとルート君が連れ去られた理由は、敵国の情報を得るためだったのかもしれない。


「なるほど、もう既に戦争は始まってしまったかもしれませんが今からでも帝都に行ってみましょう」


 他の奴隷村に行っても無駄に時間を浪費する可能性が高い。それなら早めに帝都に向かった方が得策だと考えた。


「そうですね……」


 マリアさんは不安そうだ。だが、今はどうしようもない。


「コメット殿、私の魔導アーマーの件は忘れていないだろな!?」


「さぁ、帝都に向けて出発しましょう!」


「コメット殿!? まさか見学する為だけに行くつもりじゃないだろうな!? コメット殿ー!?」


 俺達は帝都に向けて列車を走らせた。



 ――帝都から少し離れた位置で奪った列車は停止させて従魔達と列車は岩影に隠した。もちろん土魔法による隠蔽も行った。


 幾度ものスタンピードを起こしてきた従魔達は少しずつ数を減らして今では少数になってしまったが、成長・進化し少数精鋭になっている。


 例えば、群れのボスだったグレーターシンバはキングシンバに進化したし、サバンナエレファントはサバンナマンモスに進化した。マンモスの癖に毛が無い不思議。


 しかし、帝国の中枢である帝都は難攻不落の要塞である。いくら従魔達が強くても勝てないだろう。


「というわけで、不肖の身ながらこのコメットが偵察に行ってきますね!」


「いや、説明を求める! どうしてそうなった!?」


「だって、カーラさんの魔導アーマーは赤くて大きいので目立ちすぎるし、マリアさんとルート君は非力だから危険が危ないですよ!」


「なんか言葉が一部変だし、ちょっと調子に乗ってる感じがして何故か悔しい……しかし、筋は通っているか。仕方がない。くれぐれも騒ぎを起こすなよ? 頼んだぞ」


「分かってますよ。ちゃんとやってきますよ」


 カーラさんの期待には応えたい。しかし、最優先は観光だ。帝都はどんな都市なのだろうか。ワクワクしてきた!


「じゃあ、行ってきます!」


「絶対に騒ぎを起こすなよー!絶対だぞ!」


 はいはい、ちゃんと分かってますよ。ひらひらと手を振って帝都に向かった。

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