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 やっとガルズーガに到着した。


「うわー、これは凄いですね」


 大オアシスというだけあって、砂漠の真ん中に広大なオアシスが広がっている。だが、驚いたのはそこじゃない。都市全体が巨大な水のドームに覆われているのだ。遠くから見ると巨大な水滴の中に街があるように見える。


「私はここで生まれ育ったからよく分からんが、ここを訪れた客は皆同じような事を言うらしいな」


「この水のドームは何の為に?」


「水壁で覆うことで冷やした空気を逃さないようにしている。中は湿度と気温が一定に保たれているのだ。あとは中から触れても問題はないが、外から触れると水魔法で攻撃を受けることになるぞ」


 なるほど、街全体にクーラーが効いているのか。更に外敵にも対応している。凄い技術だ。どうやって発生させているんだろう? などと考えているといつの間にか街の入り口に到着していた。冷気を逃さない為か入り口は狭い。


「カーラです。オアシス調査から戻りました」


「ご苦労様です。ところで、そちらは?」


「この男はオアシスに居た遭難者だ。連れて行ってほしいと頼まれたので連れてきた。(おさ)はいつもの場所か?」


「ああ、いつもの場所にいるはずです。どうぞ、お通りください」


 カーラについていくと、この街をまとめている長が居るらしき家に入った。鍵もかかっていない家に入り奥へと進む。とある部屋に入ると、ベランダに繋がっており、ベランダにはトロピカルジュースを飲みながら日光浴をしているお爺さんが見えた。


「オアシス調査から戻りました」


「おお、カーラじゃな。お疲れさん。オアシスはどうじゃった?」


 長は振り向きもせずにビーチチェアに座ったまま話をしているようだ。


「枯れたはずのオアシスが復活していました」


「なんじゃって!? それは本当か!? ……む? そちらはどなたかのう?」


 慌てて振り向いた長はやっと俺に気づいたようだ。


「砂漠で遭難し、オアシスで助けを待っていたところ、カーラさんに助けていただきました。コメットと申します」


「おお、そうじゃったのか。それは大変だったのう」


「この男の言っていることは間違ってはいませんが、1点だけ問題があります」


 カーラが厳しい視線を向けてくる。


「問題とはなんじゃ?」


「グレータージャイアントスコーピオンを使役していました」


「グレータージャイアントスコーピオンじゃと!? そんなまさか! 人には絶対に従わない魔物じゃぞ!?」


「ですが事実です。私がこの目で見ました」


「むぅ、それでこの男は何を望むんじゃ? その力で街を脅すのか?」


「サソリ君は留守番をさせています。俺の望みは、うーん、街の観光ですかね」


 長の口がポカーンと開いた。スカーフで見えないがカーラも同じようなリアクションをしているらしい。


「あとはレベル上げとかスキル習得ですかね」


「ひゃっひゃっひゃ、面白い男じゃな。それだけの戦力を持っていながら、観光しに来たとはのう。特別にこの街の滞在を許可しよう! カーラはコメット君に観光案内してあげなさい」


「わ、分かりました」


 こうしてなんとかガルズーガに滞在することを許可された。しかも、観光案内付きだ。まぁ、本当のところは監視が目的なんだろうけど、俺としては裏の目的なんかないので探られても痛くも痒くもない。


 俺はカーラと共に長の家を出た。

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