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151/254

151 vsマルコリウス<セバスチャン視点>

 魔王マルコリウスの攻撃を私は真っ向から受け止めた。礼拝堂ではコメット様の邪魔になると考え、礼拝堂の外へ誘導する。


「あなたが私の相手ですか。たしか魔王マルコリウスでしたね。では私も名乗りましょう。偉大なるコメット様の忠実なる配下、セバスチャンと申します」


「そいつはご丁寧にありがとよ。だが、殺した相手の事はすぐに忘れることにしてんだ。悪いな!」


 マルコリウスの黒斧が横薙ぎに一閃するが、セバスチャンに軽々と避けられる。


「ご心配には及びません。私が勝ちますので」


 私は手に持った血剣でマルコリウスを袈裟懸けに斬った。肩から腰にかけて斜めに斬られ、普通の人間であれば致命傷だ。


「言うじゃねぇか」


 マルコリウスは何事も無かったかのように返事をする。その証拠に袈裟懸けに斬った傷は既に消えている。


「あなたの身体はどうなっているのですか?」


「俺の身体がどうなっているかなんて考えたこともねぇ! とにかく突っ込んで斬れば終わりだ!」


 有言実行。マルコリウスはただ突進し、私の血剣によって切り刻まれる。しかし、超回復によってすぐに傷は治りまた突進を繰り返す。


「オラオラ! どうした! もう俺の間合いだぜ!?」


 マルコリウスが黒斧を振り上げる。そして、斧を持つ腕の筋肉は盛り上がり3倍ほどの大きさに膨れ上がる。


「超怪力アックスバースト!」


 遅い。進化した私の運動能力であれば問題なく避けられる。紙一重で避け、血剣でマルコリウスの首を斬った。


「グハッ!」


 だが、ダメージを受けたのは私の方だった。黒斧が地面を砕き、瓦礫と衝撃波に襲われたのだ。


 そして、マルコリウスは自分の首を拾い上げ胴体に接合する。


「やるじゃねぇか! なかなか楽しめそうだ」


 マルコリウスは獰猛(どうもう)な笑みを浮かべて黒斧の連撃を繰り出してくる。私は全てカウンターで相手の急所と思われる箇所を攻撃した。しかし、マルコリウスは超回復で元に戻る。私は衝撃波で少しずつ体力が削られていく。


(このままだと不味いですね……これは賭けに出るしかないかもしれません)


 私は血剣を捨てて、無手となる。そして両手を大きく広げて相手を誘った。


「ほう、超怪力のスキルを持つ俺と力比べをしようってのか! おもしれぇ! やってやろうじゃねぇか!」


 マルコリウスも同じ構えで突進して来る。そしてガシッと両手をつかみ合い、力比べの体勢となった。しかし、マルコリウスの超怪力に敵うはずもなく徐々に押し込まれていく。


「ふっふっふ……あなたならきっと誘いに乗ってくると思いましたよ。アルティメットドレイン!」


 ヴァンパイアの得意技、吸血を極めた者にしか扱えないスキルである。私の両手からマルコリウスの血が吸収されていく。


「それがお前の秘策か! 俺の力がお前を砕くのが先か、お前の吸血が俺の血を吸い尽くすのが先か勝負ってわけだな!」


 マルコリウスは険しい表情をしながらも力で勝つつもりのようだ。


 アルティメットドレインは吸った血を自身の体力に変換し、回復することが出来る。バキボキと両手の骨が握り潰されるが、すぐに回復する。相手も超回復で血を作り出しているようだが、私の吸血量のほうが多い。


 徐々にマルコリウスの力が弱まっていく。


「く、くそがああああぁぁぁぁ……ぁぁ……」


 マルコリウスは全身の血を吸い尽くされ、ミイラのようになってしまった。私が掴んでいた両手を離すとゆっくりと倒れ、粉々に砕け散った。


「吸血量と超回復のどちらが強いか賭けでしたが、私の賭けが勝ったようですね」


 私はコメット様に加勢するべく急いで礼拝堂に向かうのだった。

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