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「ただいまー!」


「おかえりなさいませ、陛下」


 城のメイドが出迎えてくれた。


「セバスチャンの体調はどう?」


 エルフの里に出発してから3日間しか経っていないが、聞いてみる。


「体調は万全のようです。今は以前の3倍の早さで仕事をこなしているようです」


「3倍も!?」


 さすがセバスチャン。そういうことならもっと血を飲ませて進化させるという手も……。いや、仕事をさせる為に進化させるなんて可哀想だな。


「じゃあ、セバスチャンの居る場所まで案内よろしく」


「かしこまりました」


 メイドについていくと、シンプルだが品が良い扉の前で立ち止まった。ここがセバスチャンの執務室か? 初めて来た気がする。


「セバスチャン様、失礼致します。陛下をお連れしました」


「すみません。今、どうしても片付けなければならない仕事をしておりますが、それでもよければ入ってください」


 扉を開けて入ると、セバスチャンの分身が見えるほどに書類にサインをしているようだ。


「セバスチャン、元気になったようで良かったよ」


「はい、コメット様のおかげで死なずに済んだどころか、進化して以前よりも快適です」


「それは良かった。ところで、シリウスは帰ってきた?」


「シリウスはまだ帰って来ていません。もう少しかかるのかもしれませんね」


 そうか、まだシリウスが帰ってきていないのなら、まずは時空刀の試し切りに行こう。俺は、転移の指輪を使用しイノセントダンジョンへ飛んだ。


「おおー!」


 イノセントダンジョンの入り口には長蛇の列が出来ていた。冒険者達への宣伝が成功したのだろう。


「でも、このまま列に並ぶのは面倒だな」


 俺はもう一度転移の指輪を使用して、今度はダンジョンマスタールームに転移した。


「ダンジョンマスター、おかえりなさい」


「イノセント、お願いがあるんだけど」


「私に出来ることならなんなりと」


「この転移の指輪を改造して、ダンジョン内のどの階層にも転移出来るようにしてほしいんだ」


 転移の指輪をイノセントに渡す。


「可能です。すぐに設定を変更致します」


 イノセントは指輪を持って5分ほど目を閉じたままじっとしている。これで何か設定しているのだろうか?


 イノセントは目を開けると、こちらに指輪を返してきた。


「設定完了です」


「何もしていないように見えたけど、凄いな。ありがとう、ちょっと行ってくるよ」


 俺は迷わず49階に転移する。ジュラ紀の階層だ。さっそく獲物を見つけた。


「鑑定」


【アロサウルス】

 LV:1000

 HP:50000

 MP:1

 STR:6000

 VIT:1000

 DEX:1000

 AGI:1000

 INT:1

 LUK:1

 スキル:噛みつき

 二足歩行性で、鋭く大きな歯を多数備えた巨大な頭骨を持つ恐竜。最大12メートル。


 小型のティラノサウルスのような見た目だ。俺は時空刀を鞘から抜き放つとアロサウルスに全速力で接近する。


「せいっ!」


 時空刀でアロサウルスの脚を斬りつけると、ピタッとアロサウルスの動きが止まった。


「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……」


 ちょうど10秒でアロサウルスが動き始めた。何度か試したが、全て10秒だった。


 そして、アロサウルスが停止している間に拳で殴ってみたが、全くダメージが通らなかった。時間が停止しているからだろうか?


 停止中のアロサウルスを時空刀で再度斬ったらどうなるのだろうか?


「やってみよう。せいっ!」


 スパッ!


 アロサウルスの首が簡単に切れてしまった。ドスーンッという音と共にアロサウルスの首が地面に落ちた。


 ただし、アロサウルスの首から出血することはない。停止したままだ。


 10秒後、大量に出血した。アロサウルスは自分の身に何が起こったのか理解することもなく息絶えた。


「なるほど、時間停止中の相手を傷つけられるのは時空刀だけってことか」


 大体性能は分かったので転移の指輪で城に帰還した。


 そしてすぐに次の行動に移る。次はアクセサリーを作ることにした。何故なら、とても良いアイデアを考えついたからだ。


「もう手持ちのオリハルコンがないから宝物庫でも漁ろうか」


 宝物庫を漁ると、十分な量のオリハルコンを手に入れた。城の設備で手早くテムパスメタルを作り腕輪の形にする。更に秘密の仕掛けを細工して、最後に時空魔法付与を行う。


「完成した!」


【時空の腕輪】

 絶対に壊れない。腕輪のボタンを押すと針が飛び出て、装着者の時間を停止する。


 この腕輪を装備しておけば、どんな攻撃が来ても時間を停止して防御出来るという寸法である。せっかくなのでセバスチャンとシリウスの分も作成する。


「ふぅ、セバスチャンに腕輪を渡しに行こう」


 セバスチャンの部屋に行くと、そこにはシリウスが帰ってきていた。だが、いつものシリウスではないようなオーラが漂っている。そう、セバスチャンの進化した時のような感覚だ。


「おかえり、シリウス。もしかして、シリウスも進化した?」


「うむ、余は負けず嫌いでな。進化するのにかなり苦労したのだぞ」


【クリスタルフォトンドラゴン】

 LV:1000

 HP:150000

 MP:170000

 STR:1400

 VIT:6000

 DEX:600

 AGI:600

 INT:400

 LUK:200

 スキル:土魔法10 光魔法10 レーザーブレスバースト

 伝説の古龍の一種。身体がダイヤモンドで構成されている為、極めて防御力が高い。



「おめでとう! はいこれプレゼント」


 時空の腕輪を渡す。


「ほう、これは物凄い力を感じるぞ。ありがたく受け取っておこう」


「セバスチャンもどうぞ」


「ありがとうございます。家宝に致します」


 セバスチャンにも渡した。


「これは時空の腕輪と言って、ボタンを押すと装備者の時間が10秒間停止するんだ。停止中はどんな攻撃にも耐えられるから、いざという時にボタンを押してくれ」


「素晴らしい機能です。承知しました」


「余がダメージを負うような攻撃など滅多にないが、覚えておこう」


「よし、準備は整った。今日はもう遅いから明日の朝出発するから、そのつもりでいてくれ」


「畏まりました」


 その日は、何故か嫌な予感がして寝るまでに時間がかかった。

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