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「さて、作り始めようか。たしか、必要な物はオリハルコンと魔隕鉄、あとは……触媒?」


 触媒って何だ? たしか、『長い時間変化のなかった物』だったかな。


「長い時間変化のなかった物といえば、魔隕鉄だよな? だけど、それはもう材料に入っているしな」


 古くからある物を思いつく限り挙げてみる。


「ダイヤモンド、石油、化石、溶岩、うーむ、この中だと化石が古そうにも思うけど」


 よくよく考えると『古くからある物』と『長い時間変化のなかった物』は違うということに気づいた。


「どれも古い物だけど、変化がないかと言われるとどうだろうか? どれもゆっくりと変化してきた結果出来上がった物だよなぁ」


 なかなか思いつかない。


「一番古くからある物はこの星自身だけど、けっこう変化してきたのを見てるしな。ん? もしかして一番古いのは自分自身か?」


 レベルアップやスキル習得はしたけど、俺の身体は特に成長もしないし変化もないように思える。


「試しに俺の血を混ぜてみようか」


 オリハルコンはほとんど無いので一発勝負だ。オリハルコンと魔隕鉄を窯の中に入れる。


「圧縮ファイア!」


 超高温となって2つの金属は溶けて混ざる。そこに俺の血を数滴垂らしてみる。


 ジュワッと音がすると、青い炎が巻き起こった。炎は小さくなり消えると、そこには深い青色をした金属があった。


「大賢者の永遠と色が違うな、念のため鑑定してみるか」


【テムパスメタル】

 品質:S

 オリハルコンと魔隕鉄の合金。

 時空魔法を付与することが可能。未付与状態。

 最高品質であるため付与された魔法は永続する。


「品質S! 俺の血で正解だったみたいだな」


 それをテムパスハンマーと金床で叩いて刀の形にしていく。鋼とは違うので、何度も叩いたり焼入れしたりしなくても良さそうだ。最後に刃を研いで刃付けを行う。


「圧縮エンチャントストップ!」


 あ、マズい。つい癖で圧縮してしまった。時空魔法を付与すると刀は真っ黒に変色した。時間が停止しているせいで光の反射もしない為か、光沢感もない。


「名前は、時空刀でいいか。鑑定」


【時空刀】

 絶対に壊れない刀。どんな物質でも斬ることが出来る。斬った対象の時間を一定時間停止する。


「あ、『斬った対象の時間を停止』ってやっちゃったかなこれ」


 圧縮したせいだろうな。まぁ、多分強いからオッケー。


 出来上がった時空刀を持ってエルフの里に戻った。


 エルフの里で村長を探そうとすると、人だかりを見つけた。多分、ザングドア学長が居る気がする。そして、また何か問題を起こしている気がする。


 人だかりに近づくと、リンドールさんがザングドア学長の首を締めているようだ。


「コ、コメット君! 助けてくれぇ〜!」


 ザングドア学長が俺に助けを求めてくる。


「ザングドア学長、今度は何をしたんですか?」


 俺はまだ助けない。


「子供達が儂の家を飛ばしたいと言うもんじゃから、運転させてあげたらリンドールの家の上に墜落させよったんじゃ」


「それ自業自得じゃないですか……」


「そんなこと言わずに助けてれえええグエエエエエ」


 仕方がない。そろそろ助けないと顔が紫色になってきてるしな。


「リンドールさん、俺が代わりに家を作りますから、手を離してあげてくれませんか?」


「コメット様、この爺はこれで3回目なのですよ! もう我慢ならないのです!」


 今回が初じゃないのかよ!


「それはお気の毒に。でも、さすがにザングドア学長が死にそうなんで手を離してください」


 俺が間に割って入る。


「ハァハァ……取り乱してしまい申し訳ありませんでした」


「じゃあ、すぐに家を作るんで、使ってもいい木材をここに運んでください」


 その間に川で粘土を取って、遺跡の工房に行く。瓦を焼く為だ。出来上がった大量の瓦を持って、リンドール宅に戻る。


 圧倒的ステータスと木工スキルでゴリ押しして、純和風の武家屋敷を作ってあげた。


 ちょうどよく用意された魔(ひのき)を使った風呂も完備しており、入るだけで体力回復、ストレス軽減、INT向上の効果がある。


「な、何ですか! この建物は!」


 リンドールさんが驚いている。


「リンドールさんの家です」


「見たことがない建物だが、何故かエルフの里の自然と調和しているようにも思える……!なんて素晴らしい家なんだ」


「どうぞ、中も見てきてください。使い方は一応メモ書きを置いておきましたから」


 リンドールさんは家に入った。少しすると家の中から驚く声やむせび泣く声が聞こえたが気にしないことにした。


「いやぁ。コメット君、助かったわい」


「ザングドア学長、次に同じ事したら本当に刺されますよ」


「ふぉっふぉっふぉ! その時はその時じゃ! ところで、用事は済んだのかのう?」


「ええ、この時空刀が無事完成しました」


 時空刀をザングドア学長に見せる。


「ええのぅええのぅ! 儂にも一つ作ってくれんか?」


 ザングドア学長に時空刀を渡したら大きなトラブルが巻き起こることが簡単に予想出来た。


「駄目に決まってるじゃないですか。オリハルコンも足りないのですから」


「残念じゃ……」


 未練がましく時空刀を見つめてくるが、駄目な物は駄目である。


「さぁ、もう用事は済んだので帰りましょう。セバスチャンが回復しているかもしれないですしね」


 俺とザングドア学長はエルフの里に別れを告げ、ヴァリアス王国に戻った。

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